Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

夜間主総合 牧ゼミ・サンディエゴのスタディツアー (1) - ケースなどの事前課題編 -

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9月2日(日)から9月9日(日)までの8日間、WBS夜間主総合の牧ゼミは、スタディ・ツアーをサンディエゴでやります。サンディエゴのエコシステムを学ぶプロセスを通じて、「科学技術とアントレプレナーシップ」の知見を深めてもらって、それぞれの修士論文の水準向上に繋げてもらえればと思っています。

まず、海外のスタディ・ツアーでとても大事なのは、相手に会いたいと思ってもらえるようなレジュメをきちんと用意すること。ということで、みなさんにレジュメをまとめてもらって、それを事前にインタビュー・訪問相手に配布します。

そして、次にせっかく、こちらでスタディ・ツアーをやるんだから、実際に体験できるようなケースも扱いたいなと思って、以下の二つを事前課題とすることにしました。

 

[Bioinspiration]

Multimedia Case
Bioinspiration at the San Diego Zoo
Karim R. Lakhani; Vish V. Krishnan; Ruth Page
Pub Date: Sep 8, 2014
Product #: 614703-HTM-ENG
Discipline: Operations Management
Length: 60:00 min

https://hbsp.harvard.edu/product/614703-HTM-ENG

 

[Objective]

  • Understand what bioinspiration is and how it works.
  • Understand who benefits from bioinspiration and how.
  • Consider the best business model for the Center for Bioinspiration within San Diego Zoo Global.
  • Discuss bioinspiration as a source of innovation, focusing on functional thinking and analogy as useful tools for problem solving.

[Preparation Questions]

  • During the development of products and services, what are the typical steps for a problem-solving process? How is Bioinspiration different than other sources of innovation?
  • Why would firms work with the San Diego Zoo for product innovation help?
  • Is the current model of the Center for Bioinspiration the best model? What would you recommend should be its role within the zoo and/or its form interaction with clients?

[解説]

  • イノベーションを生み出す手法の一つとして、Bioinspirationはとても面白い手法と思っています。
  • 最近、授業で扱うケースは、紙媒体だけではなく、如何にマルチメディアを活用するか、ということにこだわっています。その意味でも面白いケースです。
  • サンディエゴ動物園が、こういった試みをしている、ということ自体がとても興味深いです。
  • このケースの著者は、僕の博士時代のアドバイザでもあるProf. Vish Krishnan。その意味でもとても思い入れのあるケースなのです。

 

[Benihana]

Benihana of Tokyo
W. Earl Sasser Jr.; John R. Klug
Pub Date: Oct 31, 1972
Product #: 673057-PDF-ENG
Discipline: Service Management
Length: 17 p

https://hbsp.harvard.edu/product/673057-PDF-ENG (英語)

https://www.casecenter.jp/ccj_user/case_detail.aspx?key=CCJB-HBS-70176-02 (日本語)

 

[Objective]

  • Learn how a well-designed operating system can fit into the competitive strategy of a business and help to deliver superior performance.

[Preparation Questions]

  • What are the differences between the Benihana production process and that of typical restaurant?
  • What are the production system in detail. What are the major design chjoices which generate operating efficiencies?

[解説]

  • ビジネススクールで使われるケースの中で、もっとも古典だけどれども、もっとも有名なものの一つ。
  • サービス・デザインを学ぶのにとても役立ち、Operationsでも良く使われるケースです。
  • 今回は、このケースを扱った直後に、そのままみんなでBenihanaに食事にいく、ということをやってみたいと思います (結構嫌な客になりそうな予感)。

 

STE Relay Column

私が代表を務める、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 科学技術とアントレプレナーシップ研究部会(STE)では、STE Relay Columnという企画をスタートしました。これは私が慶應にいた頃に考案して行なっていたSIV Relay Blogというものがあり、そのコンセプトを転用したものです。

この企画では、STEの活動を可視化するために、毎週研究部会の活動に参加するメンバーがミニ・コラムを執筆し、連載形式で公開する、というものです。

研究活動は、その活動の社会へのインパクトを外に示していくことがとても重要です

このSTE Relay Columnはそんな役割を果たしていくことができればと考えています。

以下のURLから過去のバックナンバーを見ることができます。

http://www.kanetaka-maki.org/column/

 

ということでこの企画を続けていくために、STEの研究活動に関わる皆さんに、日々執筆のお願いをしております。この執筆も実は少し工夫をしていて、以下のようなお願いをしています。

 

[執筆概要]

  • 1200字程度、もしくはそれ以上。分量が多い分には構いません。
  • どんなプロジェクトに関わっていて、具体的に何をやっているか、どんな思いを持ってやっているかをまとめてください。
  • タイトルを適宜決めて下さい。
  • 色々な人的ネットワークを可視化したいので、原稿の中には一緒に活動している方たちの個人を可能な限り積極的に出してください。
  • 写真と簡単なプロフィールを用意してください。
  • 提出先、質問などのお問い合わせ先は kanetaka-pr@kanetaka-maki.org となります。
  • 締め切りは、発行日の1週間前までとさせていただいております。
  • このコラムは皆様にボランタリーでお願いしており、謝金などはありませんので、ご了解下さい。

 

この中でも特に「色々な人的ネットワークを可視化したいので、原稿の中には一緒に活動している方たちの個人を可能な限り積極的に出してください。」という点がポイントで、これがうまく機能することで、このコラム連載が中心となって、コミュニティ作るとなる否決になっています。

 

高校生・大学生が視野を広げるための課外活動

来年度、高校生の授業を持つにあたって、高校生たちに「課外活動」の重要性を伝えたいと思っています。

学校の中に閉じ困らずに、元気の良い高校生や大学生がどんな活動をしていて、どんなコミュニティが人気あるのか。"Great Vantage Point"という言葉がシリコンバレーにはあります。"Vantage"というのは「頂き」という意味だから、"Great Vantage"というのは「大きな頂き」。そこから転じて、これからの世の中を変えそうな面白い人たちが集まっている場所、というような意味になります。そう言った場所に自分の身を置いて見ると、他の場所では見れなかった景色が見えるようになります。

若い頃に面白い人が集まっているコミュニティに関わっていると、そういった人的ネットワークを介して、どんどん新しい情報が入ってくるようになります。そうすると、自分が身近に交流するpeerも今までと変わったものになって、どんどん視野が広がって、キャリアも拓けていきます。ぜひ高校生にそういうチャンスを掴んで欲しいな、と。

恐らくなんだけれども、高校時代に部活動を頑張るというのは20世紀型の教育システムの名残で (もちろん今でも大事だと思う要素はたくさんあるけれども、全員にとって大事ではないと思う)、今の時代はもう少し幅広い学外での活動で世界を知ることの方が大切になっているように思います。

ちなみに、僕の場合、高校時代に、「ティーンズねっとわーく」というNHKの教育番組のスタジオ高校生として定期的に出ていて、そこの出演していた高校生のネットワークはとても刺激的でした。GII Junior Summit 95という世界の中高生が集まって未来のインターネット社会を議論するメンバーに選ばれたのも、実は後にMIT Media Labにつながったり、とっても大きなチャンスだったと思います。その他、小泉信三賞小論文コンテストや福澤諭吉弁論大会に出たりもしてました。生徒会の活動でも色々得たものがあります。

ということで、今の自分のネットワークの原点は高校時代の課外活動だったと自信を持って言えます。

でもさすがに今の高校生がどんな活動しているかを知ることは難しいので。そんな時に最近出会った慶應義塾大学理工学部の堀克紀さんが、高校時代や今も、色々な活動をやっていたので、ぜひ最近の高校生や大学生がいいな、と思う課外活動のリストを作ってもらいました。

これらは僕も中身を知らないから何か保証するわけじゃないけれども、こういう情報から高校や大学時代のネットワークが広がっていくのだと思います。作ってくれた堀さんに感謝!

ところで、ビジネススクールのようなコミュニティも、"Great Vantage Point"であり続けないといけないし、これ在学中だけじゃなくて、卒業生コミュニティまで含めて、そういう場になっていかないといけないと思っております。

そして、元気の良い高校生や大学生が今何を考えているかを知り、また良い人材を発掘していくことは、コミュニティ作りにおいても、ともて大切と思っています。こういうところから次の社会のリーダーが生まれていくと思います。

 

* 慶應義塾大学理工学部の堀克紀さん作成

 

 [高校]

  • SHOOT Summer school
  • 模擬国連/もぎこみゅ MUN HMUN (Harvard Model United Nation)

  

[大学生]

 

ゼミ合宿までの課題: 新聞の「おくやみ記事」を参考に、自分の未来の経歴をまとめてみる

 

MBAの役割は学生の皆さんのキャリア形成をサポートすること。ゼミはそのサポートの中核としての役割を担うものです。ゼミが始まるキックオフの合宿では、ぜひ皆さんが今後のキャリアにどんな展望を抱いているか、ということを本音で語り合う場にしたいと思います。

でも、「皆さんのキャリアプランは?」と聞いてもなかなか答えが出てこないと思うので、少し違ったアプローチを取りたいと思います。

合宿までの課題として、皆さんには、新聞の「おくやみ記事」を参考に、自分の未来の経歴をまとめてきてもらいます。新聞の「おくやみ記事」というのは、生前にその人物がどんな業績を残したかが簡潔にまとまっています。 自分の今後の人生をイメージしながら、自分がこれから達するであろう業績を記事としてまとめてみて下さい。

この課題は、米国のビジネススクールなどのコーチングにおいて用いられている課題を転用するものです。この設問に不快感を持った方はごめんなさい。米国のコンテクストと日本のコンテクストは異なるとも思います。でも、自分のこれからのキャリアを考えてもらうために、これ以上良い設問を今のところ思いついていません。 これからのキャリアの展望を聞かれるよりも、具体的に考えられると思います。

この設問で答えて欲しいことは言い換えれば、「あなたは何をもって人に覚えられたいか」ということです。そこを明確にしておくと、これからの人生の中で自分がどんな風に時間を使うと良いか、考える指標になるかと思います。

この課題は、その課題の性質上、オプションとしますので、出さなくても成績に不利になることはありません。また必要に応じて、設問自体を趣旨をかんがみた上で変えてもらっても構いません。例えば、「あなたは何をもって人に憶えられたいか」を箇条書きでまとめるなど。また「私は新聞のお悔やみ記事に載るような人生は過ごしたくありません。」という回答も100%尊重します。

 

日経新聞での「おくやみ記事」の例

ソニー創業者、名誉会長盛田昭夫氏死去。 掲載日:1999/10/04 媒体:日経産業新聞 ページ: 27 文字数:740  

ソニーの創業者の一人で社長・会長を歴任したファウンダー・名誉会長の盛田昭夫(もりた・あきお)氏が三日午前十時二十五分、東京都港区の東京都済生会中央病院で肺炎のため死去した。七十八歳だった。戦後、故・井深大氏と会社を興し、トランジスタラジオをはじめ革新的な電気製品を相次いで商品化。ソニーを高いブランド力と競争力を持つ国際企業に育て上げ、故・本田宗一郎氏とともに戦後日本を象徴する経営者として高い評価を集めた。(関連記事28面に)

自宅は東京都目黒区青葉台二ノ五ノ六。通夜は四日午後六時三十分から、告別式は五日正午からいずれも自宅で開く。喪主は長男、英夫(ひでお)氏。社葬は別途行うが、日取り、場所は未定。

盛田氏は一九二一年(大正十年)一月二十六日に名古屋市で生まれた。大阪大学理学部を四四年に卒業。旧海軍技術中尉時代に井深氏と知り合い、四六年に東京通信工業(現ソニー)を設立した。七一年に社長就任。七六年に会長、九四年十一月からはファウンダー・名誉会長に就任した。

豊富な海外人脈などを生かし、日本を代表する論客として対外活動でも功績を残した。六〇年代の日本製テレビの対米輸出ダンピング疑惑、七〇年代の米国のユニタリータックス(合算課税)への反対など日米貿易摩擦の解決に尽力した。八六年から九二年まで経団連副会長を務めた。平岩外四経団連会長(九〇年十二月―九四年五月)の後継最有力候補と目されていたが、九三年十一月に脳内出血で倒れ、公式の場から遠ざかった。日米経済協議会会長も務めた。九一年に勲一等瑞宝章を受章した。

「学歴無用論」「MADE IN JAPAN」などの著作があるが、石原慎太郎氏(現東京都知事)との共著「『NO』と言える日本」が米国で反発を買ったこともあった。

 

その他、過去の学生(学部生)の提出課題の例。学生からの提出された課題について、個人情報に関する部分を削除し、またいくつかの内容を組み合わせるなどの改編を行なっています。

 

XX氏は1985年X月XX日に東京で生まれ、4-10歳までアメリカで過ごした。XXXX大学を卒業した後に、XXXXに就職した。自分を誇れない日本人に疑問を感じ、「地元に対する帰属意識」が芽生えるきっかけとなる授業を開発し、全国の高校で普及させた、退職し、MBAを取得した後に2020年に教育とビジネスコンサルタントサービスを貧しい農村に提供するサービスをインドを中心に提供し、途上国支援の新しい形を提示した。

XXXの創業者で社長・会長を歴任したXXX(XXX・XXXX)氏と思われる遺体が30日の未明アフガニスタン北部で発見されました。死因は不明。63歳だった。2007年XXXX大学在学中に仲間数名とソーシャルマネージメントサービスのXXX株式会社を海外5カ国で同時に設立。設立時から世界的な展開を考えていた。同年に卒業後も同社の経営をする。創業3年目でマザーズに上場するとともにインターネットサービス主体から、今のXXXポケットの前身である個人倉庫サービスを開始。X氏は2030年に同社のすべての役職から引退。引退後は資産をもとに孤児院グループを世界各地に設立に奮闘する。

XXXXグループ会長、XXXX氏死去
XXXXグループ立ち上げの一人で、会長のXX氏が死去した。XX氏は同じく創業者のXXX氏と2006年にXXXX社を立ち上げ、ネットメディア媒体やゲーム業界、コンテンツ制作、映画業界に優秀な学生のクリエイターを送り込み活躍させ、現在の学生クリエイターのクオリティの高さを証明した先駆者であった。その後海外の市場にも日本の高いクオリティのコンテンツや人材を送り込み、現在の日本の文化やクリエイターが評価される時代の先駆けを作った。25歳で当時の最年少上場を果たし、30歳でXXXXグループ会長に就任する一方で、「アントレプレナー精神をもう一度」という名言を実行し、XXXXグループ子会社XXXX社の社長に就任。世界を揺るがす先進技術の開発と、新しいシステムを開発しつづけ、日本が名実ともに世界一の技術大国かつ創造大国であることを証明した。その後日本企業の海外誘致や、海外企業の日本誘致を積極的に行い、日本企業の国際的活躍の場を提供しつつ、日本のグローバリズム化に成功した。

株式会社ちょっとそれヤバいんじゃないの!(以下ちょヤバ。)を創立した名誉会長のXXXX(XXXX)氏がハンバーガーの食べ過ぎにより東京都武蔵野市の自宅にて死亡した。XX氏は米国の投資銀行に勤めた後、旅行会社メロン証券を設立、トマト銀行に次ぐ変わった名前の会社ということで非常に注目を集めた。その後、武蔵野市の市長に就任、カジノの設立や、東京都から独立宣言を行うなど全国的な注目を集めた。ちょヤバはXX氏が60歳の時に設立した服のデザイナーズブランドでフランスの高級ブランドであるエルメスにM&Aをしかけるなど、XX氏特有の攻撃的な手法で急成長してきた。今度パリコレクションに出品が決まるなど転換点が迫っており、XX氏の死亡が悔やまれるところである。

Ayona創業者の一人であるXXXX氏が今朝11時30分に癌により死去した。百五歳であった。21世紀初めのIT革命後、ベンチャー企業が数多く設立される中、学生の頃からベンチャーを立ち上げ成功を収めた。「20世紀前半は国のため、20世紀後半は会社のため、21世紀前半は自分のために働こう」という彼の名言はあまりにも有名。会社という組織のあり方に根本から革命を行い「会社進化論」はベストセラーとなる。成功報酬型で出勤時間等がなく今となっては当たり前だが、当時の年功序列時代には斬新な会社過ぎて入社希望者が溢れてニュースにも取り上げられるほど。そして、数多くの投資事業にも携わり、ベンチャー企業のMaLibuやPokaなどユニークでエンターテイメント性のある会社に投資を行い会社という組織を変えて行った。20世紀はお金を稼ぐために仕事をしていたが、彼の会社設立後から徐々に自分がやりたいから、楽しいから会社をやるというのをモットに、当時は部活のような企業ということで話題を呼び、会社革命児とも呼ばれた。「楽しくなきゃ仕事じゃない」はどの会社の社訓でも採用をされている。

60歳をすぎた頃から世界一周旅行など世界を見て貧しい国に対して革新とボランティア事業にも数多くかかわり、64歳でノーベル平和賞を受賞する。

90歳を超えてもなお現役で活動する姿は社会のお手本となる。

「アトムとビットの新しい関係がイノベーションを民主化する」という話 の続編

「アトムとビットの新しい関係がイノベーション民主化する」という話、これちゃんと議論しようとすると、色々な思想だったり、深い議論ができて、こんな本もおすすめだと思います。

 

Linuxはいかにしてビジネスになったか―コミュニティ・アライアンス戦略

Linuxはいかにしてビジネスになったか―コミュニティ・アライアンス戦略

 
シェアウェア―もうひとつの経済システム

シェアウェア―もうひとつの経済システム

 
伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト

伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト

 
CODE VERSION 2.0

CODE VERSION 2.0

 
コモンズ

コモンズ

 

 

「アトムとビットの新しい関係がイノベーションを民主化する」という話

来期のゼミで取り上げてみたいテーマは色々あるのですが、そのうちの一つは「アトムとビットの新しい関係がイノベーション民主化する」という話。いわゆるメーカーズ・ムーブメントはどういう思想や技術背景で成り立っているのか、3Dプリンタがなぜ重要なのか、そしてエコシステムとしての深センはなぜ発生したのか。デザイン思考とも密接につながります。

僕はやっぱり最後、イノベーションというのは一部の金持ちや権威や知識層のものではなく、すべての人が携わることができるものだと信じています。インターネットはそれを実現したし、そのソフトウェアで実現できたことが、今ハードウェアにまで広がっている、という話。

このテーマを考えるにあたってのケースを扱いたいし、深センの専門家をゲストとしてお呼びしたいし、何よりゼミ生一人ひとりにメーカーになって欲しい。早稲田の理工学部キャンパスは、3Dプリンタが使えるようになっているし、ゼミでみんなでものづくりの体験してみたいです。

プレゼンテーションするときも、パワーポイントのスライドを作るような感覚で3Dプリンタでプロトタイプを作れるような能力は必須と思うのです。

さて、この動きを理解するためのおすすめの本はこんなところかと。

 

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

 
ビーイング・デジタル - ビットの時代 新装版

ビーイング・デジタル - ビットの時代 新装版

 
民主化するイノベーションの時代

民主化するイノベーションの時代

 
FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)

FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)

 
SFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書)

SFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書)

 

深セン出張から学んだこと

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JETROアジア経済研究所「アジアに起業とイノベーション」の研究会の活動の一貫で、1月上旬に深セン・香港に出張してきました。その際に簡単なレポートをまとめたので、ブログにも共有しておこうと思います。インタビューの結果、面白いなと思ったことを箇条書きにしています。

 

  • 深センは20年の間に急速に発展した。常に外部からの人材の流入が続いており、平均年齢は32歳から35歳程度。この人口構成が深センイノベーションを促進している。
  • 深セン流入する人材はほとんどが中国人である。ヨーロッパやアメリカからの流入もRocket Spaceなど一部には見られるが全体として少数。企業におけるエンジニアもほとんどが中国人。
  • ドローン産業は、DJIの一人勝ちである。DJIが苦手な領域であるドローンの産業利用の一部(農業など)に、MMCなどの他の企業が参入している。
  • DJIは名実共に深センのアンカー企業である。ただし従業員のほとんどは忠告人であり、世界からの移民が引きつける仕組みにはなっていない。DJIからもスピンオフベンチャーは生まれているようであり、例えばジンバルの技術などを活用している。テンセントは、深センに本社を持つもう一つのアンカー企業。 
  • 精華大学は深センに拠点を持つ。産学連携の拠点であるが、どちらかというと深センの企業から大学に持ち込まれる案件のプロジェクトが主体。投資機能なども持っている。
  • 深センにおいても、トップ層は大学で米国に留学することが一般的。中国が発展しても、大学は米国にいくトレンドは変化していない。なお、最近は高校、中学などより早いタイミングで米国に移る人も出始めている。ただし、あまり早く渡米してしまうと、中国国内でのネットワークが薄くなってしまう。 
  • 深セン第二世代」という用語がある。親世代は移民で深センに渡り苦労した結果、金銭的な余裕を持つようになった。第二世代は、自分たちは経済的に恵まれているのだから、リスクをとって新しいことをやろうというマインドセットになる。米国に留学して色々なチャレンジをする人が少なくない。
  • もともと深センは、香港との地理的近接性を強みとして発展したが、近年は深センの自立性は高まりつつある。香港は金融のクラスターではあるが、必ずしもイノベーションに強いわけでもなく、香港と深センイノベーション分野の連携はまだ手探り。
  • 香港の大学は中国本土の連携のために深センに拠点を持っていることころが多い。その拠点を使って、中国の補助金などを受託している。

 

以下、深センを学ぶにあたっての参考文献。

 

D09 地球の歩き方 香港 マカオ 深セン 2017~2018

D09 地球の歩き方 香港 マカオ 深セン 2017~2018