Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

What is Entrepreneurship?

僕のゼミのテーマは「科学技術とアントレプレナーシップ」です。このゼミ実はそこまで「アントレプレナーシップ」にはフォーカスしていなくて、あくまでメインは「科学技術を活用したビジネス」だと思っています。でも、それを実際に実行していこうとすると、自然と「アントレプレナーシップ」のことも考えるようになっていく、という性質のものだと思うのです。

ゼミの一番最初に"October Sky"という映画を使って、アントレプレナーシップとは何かをみんなで考えることにしています。

遠い空の向こうに (字幕版)

遠い空の向こうに (字幕版)

 

 

アントレプレナーシップの定義は人それぞれにとって違うものだと思うんです。世界で最もアントレプレナー教育が進んでいる場所の一つはBabson Collegeですが、そこのシンポジウムにおいて、世界の起業家教育に関わっている大学の教員が自分なりの定義をまとめたポスターがあります。その内容はこんな感じ。

"Celebrating 20 Years of Price Babson Symposia for Entrepreneurship Educators"のポスターより転載。

 

  • The fuel that feeds our economic growth - Alan G. Weinstein SEE5
  • Transforming caterpillars into butterflies - Jeff Timmons SEE1
  • The font of economic life - Steve Spinelli SEE8
  • Optimism with a goal and a plan - William Bankert SEE18
  • Creative, liberating, and fun; money is fine for keeping score - Michael Ullmann SEE4
  • Sculpting souls - Ramon Molina CH03
  • To have the vision, guts, and persistence to initiate change - Daniel Macros SEE20
  • More variables than known facts - Viljem Psenicny SEE10
  • Changing the world - Hiedi Neck SEE17
  • A proactive mindset - Patti Greene SEE12
  • The vision to see opportunities, the skills to make them realities, and the work ethic to get going - Jose Romaguera SEE13
  • The demonstrated ability to capture worthwhile opportunities in all areas of human endeavor - Paul Stifflemire SEE12
  • The use of innovative thinking to develop new products, services, and processes that lead to the creation of wealth for individuals and society - Donald R. Andrews B03
  • Freedom from boredom - Gerd Schwander B03
  • All about expectations.  You expect success, you plan for the unexpected. - Diane Halstead SEE18
  • Koos - ti (Alaskan Tlingit for "Life at its fullest")  - Jim Thomas SEE18
  • The ability to disregard popular logic and be called an achiever instead of eccentric - Robert M. Peterson SEE15
  • Contagious passion - Charles C. Wu SEE20
  • Long periods of stark terror punctuated by brief moments of triumph and exhilaration - Larry Smith SEE16

 

そんな訳で、1期生のゼミ生が卒業するにあたって、一人一人の定義を言葉にしてもらいました。

  • Being to seek for frontier and to execute for getting there. - Joji Hayashida
  • The energy human beings have to make society better. - Shintaro Kusachi
  • An orientation to take your challenge one step forward in any circumstance, with your confident vision, fearlessness for your unknown, and involving people around you. - Dai Matsuda
  • A willpower to make the better future s/he strongly believes in. - Chihiro Takayama
  • An unwavering belief with tireless energy to realize the ideal world. - Chisato Unemura

ちなみに僕のはこんな感じ。

  • The art and science of making the world a better place. - Kanetaka Maki

 

今後授業なんかでも紹介していこうと思います。

 

 

MBAを修了するにあたって最後の課題

この3月に、いよいよ僕がWBSに異動してから最初のゼミの卒業生が誕生します。その卒業生を送り出すにあたって、最後に考えて欲しい課題を出したいと思います。

実はこの設問は僕が10年前に慶應で学部生を教えていた時の最終課題をベースに、一部MBAへ向けて、また時代に合わせてアレンジしたものです。

私のゼミ生に限らず、MBAを修了する全ての皆さんに考えてもらいたい問いだとも思うので、ブログでまとめておきます。

 

実はこの設問はゼミが始まる段階で、ゼミ生に出した以下の課題と対になっているものです。

kanetaka.hatenablog.com

 

  1. あなたは、何をもって人に覚えられたいと考えていますか。あなたは何のプロフェッショナルなのでしょうか。なるべく具体的に教えて下さい。
  2. あなたを表す「タグ」を5個あげるとしたら、それは何ですか。
  3. あなたにとっての、ロールモデルと呼べる人は誰ですか。またあなたはなぜその人をロールモデルにして選んだのか、教えて下さい。
  4. この1年間で築いたあなたの一番の実績は何ですか。詳細を教えて下さい。
  5. あなたがこれからこの世界に貢献できることは何ですか。そのときに具体的にどういう役割を担っていきたいと思いますか。

 

[最後のまとめの質問」

3年後に、あなたがCNNの記者より英語でインタビューを受けているシーンを想像した上で、以下の問いに答えて下さい。

  1. あなたはそのときにどんな立場ですか。
  2. このインタビューをどんな場所で受けていますか。背景にはどんなものが映っていますか。
  3. 記者からどんな質問を受けていますか。
  4. その質問にどのような返事をしていますか。

夜間主総合ゼミ - ゼミが始まるまでの課題

夜間主総合ゼミも2期生がスタートするわけですが、ゼミがスタートするにあたっては、春休みの使い方がとっても重要。という訳で、春休みにやろうとしている課題シリーズをまとめてみました。

僕のゼミは、「科学技術とアントレプレナーシップ」がテーマで、ざっくりいうとサイエンスやテクノロジーをどうビジネスに活用していくのか、というテーマです。この分野、サイエンティストとかエンジニアとか、博士持っている人もたくさん関わっている分野なので、研究の姿勢としては、経営学もサイエンスであることにこだわります。そのための「科学的思考法」をみんなに身につけてもらう。

僕の研究分野には、明らかにグローバルなBrain Circulationともいうべき人的ネットワークがあります。僕のゼミの人たちには、先端的な研究を押さえてもらった上で、その研究手法を理解し、実務家の観点から世界のトップの研究者とも議論できるような人材になってもらいたいと思っています。そんなことも考えながら、去年はスタディ・ツアーで、世界的に有名な研究者とも議論するような場を作ったりもしました。

そのほか、ゼミに入る前と卒業した後で、いかにインパクトの成長していくか、そのためには、今までやってきたことの棚卸しをして、自分が外にPRしていく方法を考える必要があります。

ということを考えていると、ゼミが始まる前にやりたいことはとっても沢山あります。これ全部やれないから、その年ごとに、濃淡をどうつけるかは希望を募って行こうと思いますが、少しづつ、ゼミで学ぶべきことの骨格ができ始めているかも。どこまでをゼミの開始前にやるか、積み残しをゼミがスタートしてからやるイメージなのかなぁ。多分春休みに色々やっておいた方が他の授業の課題もないので良いかなとも思っています。

 

[1. レジュメの作成]

海外へのスタディ・ツアーにもいくし、個々人が自分を売り込むためのレジュメをまとめておくことはとても大切です。自分が今までやってきたことの棚卸しにもなる。去年はこれをゼミが始まる前の合宿までの課題にして、一人30分づつくらい相互にコメントしあいました。

 

去年のエントリ。

kanetaka.hatenablog.com

 

あなたは、MBA卒業後にシリコンバレーでの職を探していると想定します。その想定の中で、シリコンバレーにおいて、つきたいと思っているポジションを決めて、そこへアプライするためのレジュメを英文にてレターサイズ・2ページで作成して下さい。アプライしようとするポジションは「想定」で構いませんが、あなたの実績については、実際に今までやってきたことに基づいて下さい。これは転職を勧めるものではなく、あくまで思考訓練として、上記の状況を想定しています。

なお、ここで作成いただいたレジュメは今後ゼミ等でいらっしゃるゲストの方々等に共有させていただきますので、ご了解ください。どこまで個人情報を記載するかは皆様の判断にお任せします。極端な話、名前を仮名にすることも可能です。プライバシーへの配慮は尊重しますので、リクエストなどがあれば適宜ご連絡下さい。

なお、この課題は、大学における個人情報に該当します。個人情報の公開は個人の判断ですし、公開しない権利は尊重されるべきです。従って、この課題の提出を望まない方については、その判断を尊重し、成績上不利益になることは一切ありません。

ちなみにレジュメの書き方については、以下を参考にして下さい。
- http://kanetaka.hatenablog.com/entry/20111128/1322508447
- http://www.jinzaicanada.com/resume/index2.html

 

レジュメをまとめるにあたっての参考文献を準備しないといけないと思いながらまだできていないです。 

 

[2. 自分のおくやみ記事の作成]

これは海外のビジネススクールなんかでもたまに行うコーチングのメソッドの一つです。個々人の今後のキャリアプランをゼミが始まる前に相互に共有することはとっても大事。去年はこれをゼミが始まる前の合宿で、一人30分くらいカバーしました。

 

kanetaka.hatenablog.com

 

[3. 科学的思考法の基礎]

修士論文をまとめるにあたっては、そしてこのゼミで学ぶにあたっては、「科学的思考法」が全ての意味で基盤となっています。この思考法はどういうものなのか、これを全ての学習を始める前にきちんと話しておくことは大事かと。これが去年は2時間くらいかかりました。

 

[4. Quantitative Methodsの基礎のtutorial]

これは去年やらなかったことの一つ。定量分析の基礎はある程度持っているという前提でゼミをスタートしたけれども、思ったよりみんな基礎がないということで。今回は、ハーバード・ビジネス・スクールが入学前に予習教材として配っている定量分析のtutorialを全員に配りました。これの予習も初めてやる人には結構時間がかかるかも。去年はこれはやっていないですが、その代わりに、本の輪読をやりました。

基礎からやろうとすると、10時間くらいかかると思います。これは個別学習です。

 

kanetaka.hatenablog.com

 

[5. Stata Tutorial]

社会科学の定量分析をするにあたっては、Stataを使いこなせるだけでやれることが飛躍的に上がります。他のツールではなくStataをみんなで使うことでお互いに教え合えるので飛躍的に効率が上がる。去年は講師をお呼びして、12月の土曜に3時間くらいのセッションを1回やりました。今年は「イノベーション研究のための定量研究法」がないので、Stataをあらかじめ学んでおくこととっても大切です。M2の人がM1を教える文化を作って行きたいです。これは3時間のスロットを3回くらいという感じかな?

 

[6. What is Entrepreneurship?]

アントレプレナーシップを扱うゼミでもあるので、米国のビジネススクールなんかでも教材として使っている映画「October Sky」を使ったディスカッションをしたいです。これの議論をしておくと、ゼミをスタートするにあたって、マインドセットがガラッと変わると思う。

 

[7.修士論文の研究発表 ]

ゼミが始まる前に、全員が修士論文のテーマを何らかの形で持ち始めることはとっても重要です。去年は合宿で一人1時間づつくらい時間をとって議論しました。発表10分、議論20分くらいの感じかな?

 

[8. 「科学技術とアントレプレナーシップ」授業の準備]

「科学技術とアントレプレナーシップ」の授業は毎週6本の論文をカバーするので、少し予習の時間があったほうが良いと思いました。実際に授業で読む予定の論文を各自の興味に応じて、1本づつおすすめをお伝えし、それをゼミ開始前の合宿で、サマリーを発表してもらいました。一人30分づつくらい?

 

WBS秋学期集中期間の新設授業のお知らせ

WBS秋学期集中期間の新設授業のお知らせ

私自身が設立に関わった二つの授業が、WBS秋学期集中科目において解説されます。この2つの授業は、今世界で起きている最先端のイノベーションを学ぶためにとってもおすすめです。日本のみならず、世界のビジネススクールの学生が羨むような豪華な講師の授業です。あまりにも良い機会なので、より多くの方にその意味を知って欲しいと思い、このメッセージをまとめています。この二つの授業は私にとっても、もっと深く学びたいと思う、イノベーションの先端の先端を扱う授業なので、この開講期間中は全ての回に参加しようと思っています。

なお、卒業生等の方で聴講をご希望する方もいらっしゃるのではないかと思います。まずは正規履修者の人数が確定してから聴講の扱いを考えられればと思いますが、ご興味ある方は、私のところに適宜個人的にご連絡下さい。

 


[1. 深圳とマスイノベーション]

秋学期集中科目前半 2/5-2/12 (夜間 + 土曜)
シラバス: http://bit.ly/wbstksoverview

 

今世界でもっとも注目されているイノベーションの集積地のひとつは深センだと思います。この授業では、深センのエコシステムと日本の関係において、キーパーソン中のキーパーソンである高須氏を講師としてお招きして、深センのエコシステムについて授業を担当していただきます。
深センのことをより深く理解するためには、深センがどのような形でイノベーションを生み出しているのか、ということを理解することが必須です。「正解のないタイプのイノベーション、やってみないとわからないタイプのイノベーション」の事例をたくさん考えます。そしてもっといえば、今まで欧米を中心に培ってきた(そして日本もそのモデルを導入している)知的財産権をしっかり守ることでインセンティブを作り出してきたイノベーションのあり方そのものが大きく変わろうとしています。
今世界でイノベーションのあり方がどんな風に変わっているのか。日本企業がもっとも苦手としている新しいイノベーションのあり方を学ぶ良い機会です。というか、この分野の知識がなければ、イノベーションの基礎知識をかけたまま、卒業していくんだと思います。これからの時代のビジネスを考えていく上で、必須知識を学べる授業です。
ゲストスピーカーもとっても豪華で、この授業を受けたらそのまま、深センのエコシステムに繋がる人的ネットワークも得られると思います。

 


[2. Venture Capital Formation]

秋学期集中科目前半 2/13-2/19 (夜間 + 土曜)
シラバス: https://bit.ly/2M658QN

 

シリコンバレーには、Kauffman Fellows Programと呼ばれる組織があります。これは分かりやすく言えば、「松下政経塾シリコンバレー・VC版」と思っていただければと思います。シリコンバレーのトップティアのVCファームは若手をこのプログラムに送り込み養成しています。その意味で、シリコンバレーイノベーションの中でも、もっとも中核のネットワークの一つがこのプログラムであると言えます。そのKauffman Fellows ProgramのCEOを長年勤めて、ベンチャー・キャピタリストを育成し、その人的ネットワークの中核にいるPhil Wickham氏をWBSでは客員教授としてお招きし、授業を担当していただくことになりました。
この授業では、まずシリコンバレーイノベーションの仕組み、そしてそこでのベンチャー・キャピタルの役割、メカニズムについて学びます。そして、今現在どんなことが起きているかという最先端のトレンドの変化をおいます。そして、それらのメカニズムが日本企業のイノベーションにどのような形で役立てることができるのかを議論します。特に、"Capital Formation"、すなわちイノベーションを生み出す多様な「資本」を、日本企業はどのような形で作り出していけば良いのか、ということを議論します。デザイン思考を活用しながら、実際にその「資本」を作り出す方法の検証を行います。
この授業はいわゆる「ベンチャーファイナンス」の授業ではありません。もっと広く、イノベーションを生み出す仕組みやメカニズムについて、最先端のアカデミックな知見と、具体的な事例を融合させた形で、授業は構成されています。そして土曜日の授業においては多数の豪華ゲストが参加ます。
自社でイノベーションを生み出すための仕組みをどのような形で構築していけば良いのか、ということに悩んでいる人には、ぜひ履修して欲しいと思う授業です。イノベーションを考えないといけない人には必須知識です。
スタンフォード大学でも開講されている授業を、日本流にアレンジして、WBSで開講してもらうことになりました。あまりにも贅沢な授業なので、ぜひこの機会を逃さないでいただければと思います。
なお、この授業は英語ですが、担当のWickham教授は日本人が英語が苦手なことも良く分かっていますので、その前提で授業のサポート体制なども考えます。英語だからと行って臆することなく、ぜひ履修していただければと思います。

深セン・スタディツアーへ向けた課題本 (英語編) / Recommended Readings for Shenzhen Study Tour

 

 

The Hardware Hacker: Adventures in Making and Breaking Hardware (English Edition)

The Hardware Hacker: Adventures in Making and Breaking Hardware (English Edition)

 
Shenzhen Superstars ? How China’s smartest city is challenging Silicon Valley

Shenzhen Superstars ? How China’s smartest city is challenging Silicon Valley

 
Makers: The New Industrial Revolution

Makers: The New Industrial Revolution

 

 

 

 

 

深セン・スタディツアーへ向けた課題本 (日本語編)

3月1日(金)から3月6日(水)まで、ゼミのスタディツアーとして、浅羽ゼミと合同で深センに訪問します。

訪問する前に、ある程度予習してから行くことが大切なので、一通り学べるような教材を夜間主総合ゼミ、全日制グローバルゼミ、それぞれに用意しておきたいと思います。

まず日本語文献から。

 

深センのエコシステムを学ぶ上で、今一番良い本はこれだと思う。

ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険

ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険

 

 

まずはこのガイドブックを読むと、色々なプランが立てられます。なお、WBSとしてサイト・ライセンスを購入しているのでWBS関係者にはPDFをお渡しできます。

booth.pm

 

この本もとてもよくまとまっている。

 

 中国のスタートアップ動向を把握するための好著。

テクノロジーの地政学 シリコンバレー vs 中国、新時代の覇者たち

テクノロジーの地政学 シリコンバレー vs 中国、新時代の覇者たち

 

 

この本も押さえておくと良いです。

 

そして、鄧小平について、この本で学んでおくと良いと、高須さんから強くオススメされました。

現代中国の父 トウ小平(下)

現代中国の父 トウ小平(下)

 

 

 

 

夜間主総合ゼミ - 修士論文をまとめるにあたっての注意点

夜間主総合ゼミの修士論文の締め切りが2週間後に迫っている中で、ゼミとしての修士論文の型みたいなのがあるなぁと思ったので、個別にメンバーには部分的に伝えてますが、まとめておこうと思います。

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  1. 第1章のイントロダクションでは背景からスタートして、研究手法、結論まで書く。イントロダクションで結論まで書くのは、日本ではあまり普及していない流儀だが、米国流の論文では一般的。イントロダクションを読むだけで、論文の概要が分かるようにする。Extended abstractのような位置付け。
  2. 論文では大事なことを3回書く。1回目はイントロダクション。2回目は本文。3回目はまとめ。
  3. What? So what? Now what? の3つの問いに答えることを心がける。何をやったのかだけではなく、なぜその問いは重要なのかをしっかり伝え、そしてその結論がどう役立つのかを述べること。この3つを満たすことが重要。定量分析の研究をしていると、研究手法にこだわりすぎて、どうしてその研究が重要なのか、どのように実務に役立つのか、という視点を忘れがちになってしまう。「実務にどう役立つのか」という点は、他のゼミ以上にかなり意識的に充実させること。でないと、研究のための研究になってしまい、役立たない研究になる。
  4. 「その研究をやることによって誰がどういう風に幸せになるのか」という問いに明確に答えられるようになること。
  5. 論文は客観性が重要なので、なるべく自分の経験など、一人称は排除すべきである。一方で、MBA修士論文なので、自分の経験からの問題意識の導出や、今後自分のキャリアにどう役立つかを論じることはとても重要。修士論文は付録として、「この研究の個人的な意義」をまとめること。実務的にどういう思いがあってこのテーマを思いつき、ここでできた結論は自分の実務にどう役立つのかを、あまり理論的でなくても構わないので、一人称でまとめてみる。修士論文のスナップショットとして、今自分がどうこの研究を捉えているかを記録しておくことは大切。
  6. 修士論文は、これからのキャリア構築のためのツールである。今後協力してもらえそうな人たちとのネットワーク強化に活用した方が良い。謝辞では、修士論文で直接お世話になった人だけではなく、MBA全体を通じて、お世話になった人を記すと良い。修士論文が完成したら、お世話になった皆さんに論文を届けてご挨拶をすることで、自分のネットワークが広がるので、ぜひ実践してみる。
  7. 著作権については、以下のページを参照すること。他者の著作を参照する場合には、必ず引用すること。なお、過度な引用は避ける。特に、インターネット上に点在するテーブルや図表などを自分の論文にcopy & pasteで貼り付けることは、引用元が明記されていても注意すること。テーブルや図表がそのまま自分の論文に当てはまることは稀で、可能な限り自分の論文の内容に合わせて改編するなど、自分のオリジナリティを出すこと (ただし改編した場合にも、引用元は明記すること)。