Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

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梅田さんの「残念」発言に思うこと

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ここ1週間ブログでは、梅田望夫さんの「残念」発言が炎上しつつあります。 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/01/news045.html あまり巻き込まれたくないな、と思いつつも、このようなときに自分なりの「正論」を述べておくことは、自分のような…

イノベーション学者であるからこそ守るべき伝統

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私はイノベーション学者を目指しています。イノベーションというのは、既存の価値観を破壊し、新しい価値を生み出すことを指します。「創造的破壊」こそイノベーションの本質です。さて、イノベーションというのは社会にとって善なのでしょうか、悪なのでし…

技術の知見を持たない人が、(技術)イノベーション産業に貢献できるのか

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理工系人材が(技術)イノベーション産業をリードするべき 今まで漠然としたまま自分の考え方を曖昧なままにしていましたが、やはりはっきり自分の意見を示した方が良いと思うので、明確に言うことにしました。私自身、技術系くずれなんで、こんなことを言うの…

プロフェッショナルの流儀 -「シリコンバレーから将棋を観る」を読んで

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はじめに 梅田望夫さんの「シリコンバレーから将棋を観る」を読みました。私は、正直子供の頃に遊びで将棋を指したことはあるものの、この分野に才能があったとも思えず、その分野からすっかり離れていますし、今現在将棋の観戦に興味がある訳でもありません…

KBC Brand-New Challengeへの期待

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私がSIVを離れて1年以上経ちますが、それ以降のpost SIVのエコシステム全体の進化の中で最もすごいものを一つあげろと言われたら悩まずに、KBC実行委員会の"KBC Brand-New Challenge"を選ぶでしょう。この"KBC Brand-New Challenge"は、2008年度からスタート…

仮説「大学発ベンチャー制度は、大学のイノベーションの促進の阻害要因となっている」

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ちょっと過激なタイトルにしてみましたが、私は最近研究でこんなことを考えています。大学においてその研究成果であるサイエンスを商業化するためには、イノベーション・パイプラインにのせて実用化までもっていかないといけない訳ですが、そのときの最大の…

6月にヨーロッパ出張に行くことにしました

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6月に10日ほど、ヨーロッパ出張にいって、イノベーション分野の国際カンファレンスに参加してくることにしました。イノベーション研究の最先端の現状把握をしようと思います。知見を得るのみではなくて、世界のイノベーションの研究者とネットワークを構築し…

命かけて没頭した仕事から離れて学ぶこと

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はじめに 私は24歳から30歳の6年間、SIVの事務局長として、文字通り全身全霊で、命をかけて、慶應義塾のインキュベーション業務に携わってきました。やっている最中は本当に必死。自転車操業の毎日ですから、自分自身の客観視をすることなんて不可能な毎日で…

女性研究者の支援から考えること

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少し前の話になりますが、慶應義塾において、女性研究者を全塾規模で支援するプロジェクトが立ち上がりました。 (http://www.wlb.keio.ac.jp/project/index.html)このようなプロジェクトは、日本のイノベーションの未来にとって重要だと思っています。「男が…

グローバルカンファレンス開催に合わせて若手勉強会が立ち上がります

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若手勉強会今年開催されるいくつかのグローバルカンファレンスに合わせて、その参加者を中心とした情報交換のネットワークが新たに立ち上がることになりました。ベンチャーキャピタル、金融機関LP、事業会社LP、大学、研究機関、ベンチャー企業など、まさに…

自分の「弱さ」とうまくつきあっていく方法

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先日のエントリーの続きになりますが、ATフィールドを中和するためには、自分自身が人間としての「弱さ」を認めることが重要です。そうすることで、他者と深い関係を作ることができるようになると思います。さて、この弱さを認めるという意味で、どう行動す…

人間関係恐怖症を乗り越えるために -ATフィールドとヤマアラシのジレンマ

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ATフィールドとヤマアラシのジレンマ 先日のブログで、私は人間関係恐怖症であると書きました。これは、素直に自分自身を振り返って事実だろうと思います。でも、人間関係恐怖症のままでは、何も動くことができなくなってしまいます。どうすれば良いのでしょ…

巨人の肩の上から、小さな針の穴を覗いて世界を見る

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最近研究に没頭する生活を送るようになって、日々研究のことを考えています。自分の問題意識をどのように研究としていくか、科学(サイエンス)にしていくか、ということは決して簡単なことではありません。國領先生からは良く研究テーマを決めるときは、「小…

幹事能力の高い人、低い人

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幹事の能力 仕事柄、性格柄、色々な人の催すイベントに参加する経験が数多くありました。最近は、研究に没頭するために、「社交性の低い人間」となるべく日々修行を積んでいる状況ですが、それでもたまにはもろもろの会に参加することがあります。大学にいる…

経済産業省「平成20年度大学発ベンチャーに関する基礎調査」が公開されました

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私も委員として携わっていた経済産業省による「平成20年度大学発ベンチャーに関する基礎調査」が5月18日に公開されました。私は平成20年度を含めて3年間委員を務めさせていただきましたが、これで最後だそうです。毎年調査内容は工夫を凝らしていますが、今…

感動する場としての大学と「変なやつ」

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はじめに まだ読み途中なんだけれども、Malcolm Gladwell氏のOutliersを今更ながら読んでいます。去年の秋くらいからアメリカ出張の度に、この本が本屋で平積みになっていて、何て言ったって、Gladwellといえば、"Tipping Point"を書いた人ですから、きっと…

結局「イノベーション」って何?

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昨今、「イノベーション」という言葉を当たり前のように使う社会になりました。でも、その意味をきちんと理解している人は世の中にどのくらいいるのでしょうか。「イノベーション」を「技術革新」と訳したことは間違いである、ということは十分浸透したよう…

高校3年生のときに書いた小論文

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原稿を手に入れました 先日のエントリー、"私が福澤諭吉に興味を持ったワケ"を書いてみて、私が高校3年生のときに受賞した小泉信三賞佳作の原稿を久々に読みたくなりました。その原稿が掲載されているはずの三田評論、いくら探しても、見つからず。。。先日S…

個益公益のデザイン -SFC中高同窓会幹事会に参加して感じたこと(5)

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個益と公益 SFC中高同窓会幹事会に参加して感じたことを色々な観点から論じてきたが、いよいよ5回目。これで一旦一区切りにしようと思う。最終会のテーマは、「同窓会運営における個益公益のデザイン」を如何にして行うか、ということである。同窓会活動の本…

ファイナンスは面白い!

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私自身、大学を基盤としたイノベーション創出活動に携わっていながら、技術とマーケティングには興味があったものの、どうしてもファイナンスには興味が持てなかった。イノベーション創出、特にベンチャー支援においては、ファイナンスは必要不可欠な訳だが…

「卵と壁」から見る、生徒を延ばす教員とスポイルする教員 -SFC中高同窓会幹事会に参加して感じたこと(4)-

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「はちゃめちゃ」であることの定義 先日のSFC中高同窓会の幹事会には、SIVの活動を一緒にやった学生、私のSFCの授業を履修した学生も多数参加していた。大学にいると教員と学生という面倒な関係になってしまう部分があるが、同窓会は普段の関係は忘れて、純…

イノベーションに関連する国際カンファレンス・海外の学会誌

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最近の自分の研究のフィールドを世界に広げるために、研究テーマを変更したこともあって、改めて国際カンファレンスや海外の学会誌の調査をしました。Googleを活用したり先輩の研究者の皆様に教えていただいて、ある程度リスト化することができましたので、…

世界が直面する教育的チャレンジ -SFC中高同窓会幹事会に参加して感じたこと(3)-

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はじめに SFC中高同窓会の幹事会において、今後の同窓会の活動に関するブレインストーミングがあった。在校生に対する新しいプログラムの立ち上げ、卒業生の交流を促進するためのプログラムなど、色々なアイディアが出された。どのアイディアが具体的に実現…

イタリアで育ったということ -私の価値観の原点-

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イタリアの価値観私は10歳から15歳までの多感な時期をイタリアのアメリカンスクールで過ごしました。この経験は私の価値観や人格形成に大きな影響を及ぼしていると思います。この5年間で、イタリア(+ヨーロッパ?)的価値観とアメリカ的価値観を同時に学べたこ…

「3日で学べる福澤諭吉概論」

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はじめに慶應義塾のインキュベーションに携わっていると、事あるごとに福澤精神という言葉が出てきます。というのは、大学でインキュベーションを「ビジネス行為」を行うことは、下手すると大学の本来的使命とのコンフリクトが発生します。そうならないため…

私が福澤諭吉に興味を持ったワケ -

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はじめに 私のことを良くご存じの方は、私の「福澤オタク」っぷりをご存知かと思います。たまたま高校から湘南藤沢高等部に入学し、環境情報学部、大学院政策・メディア研究科修士課程、助手、助教、博士課程と、長く慶應にいるので、事あるごとに福澤精神に…

ブッシュの「強いアメリカ」、オバマの「強いアメリカ」

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憧れの地としてのアメリカ最近、先輩で昔のアメリカの繁栄を実際に目の当たりにしている方々とお話すると、誰もが最近のアメリカは変わったと言う。40年前から50年前、日本は物質的な豊かさは皆無で、アメリカに行くとそこは豊かさの象徴のような場だった。…

「志を失わない」場というメカニズム - SFC中高同窓会幹事会に参加して感じたこと(2) -

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はじめに 先日のエントリー、「社会に出て伸びる人、伸びない人 - SFC中高同窓会幹事会に参加して感じたこと(1) -」は、内容が過激だっただけに、色々な方からの反響をいただいた。どうしても、先日感じたもやもや感を言語化すると「エリート主義」的な文章…

運を自ら引き寄せるattitudeとは -"What I Wish I Knew When I Was 20"-

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私がアントレプレナー育成プログラムに携わるようになった中で最もinspireを受けれ人を一人選べと言われたら間違いなくStanford Technology Venture Program (SVTP)のexecutive directorであるTina Seeligを選ぶでしょう。そんな彼女が最近の思いをまとめた"…

社会に出て伸びる人、伸びない人 - SFC中高同窓会幹事会に参加して感じたこと(1) -

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SFC中高同窓会幹事会先週の土曜日に母校であるSFC中高同窓会の幹事会に参加した。私はこの同窓会の立ち上げから携わり、初代の運営の責任者を担っていたこともあり、組織として一歩一歩成長していることを見ることは、心強く思うと同時にうれしく思う。別に…