Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

Innovation & Creativity Workshop

先日のStanford大学主催のREE USA 2006に参加して学んだ授業法の一つを、昨年SIVSGで行ってみました。このワークショップの概要は以下の通り。

  1. 二人のペアを作ります。
  2. お互いに財布を取り出して、1)なぜこの財布を使っているのか。何が気にいっているのか。2)この財布の不満は何か。3)あなたの欲しい理想な財

布とは何か。 の3点について相手へのインタビューを行います。

  1. インタビュー結果に基づいて、教室に用意されている文房具 (画用紙、折り紙、のり、ハサミ、ホッチキスなど)を使って、実際に相手のニーズを満たす財布のプロトタイプを作ります。
  2. 作成したプロトタイプを30秒で簡潔に相手に売り込みます。

このワークショップは、1)相手のニーズ調査 2)自分のcreativityを発揮して新しいモデルを発案 3)実際にプロトタイプを作成 4)相手への売り込み などビジネスモデルを作るために必要な要素が全て詰まっています。

実際に学生たちが作った財布は以下の通り。


小野雄太郎

使っていて気持ちいい財布、という要望があったので
緩衝材用のシートを使って、使っているときにプチプチつぶして
何となく気持ちいいつぶし感の得られる財布にしました
また表面の色を着せ替え可能にして、
気分に合わせて財布の色を変えられるようにしました


高橋明

ニーズは「オーソドックスな黒皮の財布」でした。
工夫はお札を取り出しやすくした点です。


今川美里


おしりのポケットに入れても大丈夫で、かっこいいお財布。
ということだったので、
折りたたみ式で、シンプルで、かさばらないようなお財布にしました。


武石訓尚

■作成に関して工夫した点
パートナーの財布に対する要望として、
・カードがたくさん入る
・財布自体無いほうがありがたい
・お金を財布から出すのが面倒。
(ちょっとあやふや)
の3点がありました。

その他、
鞄は気に入っており、いつも持ち歩いている
とのことから「鞄」と「財布」を合体させました。

【機能】
・財布の側面に鍵付きの大型財布(鞄から取り外し可能)
・鞄の開口部に取り外し可能で伸縮可能な革紐ID付き(お財布)を装着
SuicaEdyカードを装着可能)

『普段は気にならないが必要なときにお金やカードが取り出せる』
をコンセプトに作成しました。


廣瀬佳佑

工夫した点
・コイン入れの部分
→すぐに開いてしまうとのことだったので
  スライド式にしてみた。
・札入れ
→お札が見にくいとのことだったので
  微妙に開く感じにしてみた。(わかりにくい…)
・カウンター
→今現在入っている金額が一目でわかる
  デジタルカウンター付。原理は不明。。

あと工夫ではないですが、
今つかっている財布とほとんど同じデザインがいい
とのことだったので、頑張って再現してみました。


守屋英義

鈴木さんの「使っても使ってもお金が出てくる」、「お札と同じサイズ」、「薄い」というニーズを満たすために考えた財布です。
「使っても使ってもお金が出てくる」ようにするのは現実的に難しかったので、お札自体を財布にしました。この財布ならば、いくらお金を使っても諭吉先生のお顔を見ることができるので、「使っても使ってもお金が出てくる」ような錯覚に陥ることができます。
また、「お札と同じサイズ」、「薄い」というニーズも同時に満たすことができます。

お陰さまで、そこそこ面白いワークショップになりました。学生も結構楽しんで参加してくれました。来年度のアントレプレナー概論IIでこのワークショップを導入してみようかなぁ、と思っています。