Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

ベンチャー企業と大手企業とのアライアンスは本当に難しい!


学生のビジネスプランを見ていると、「大手企業とのアライアンスを結んで、こんなビジネスを展開します!」というようなプランが大変多くります。そういうときはいつも、そんなに簡単に大手企業とアライアンスを結べるわけがない、と思いながら聞いています。

Guy Kawasakiの"The Art of Innovation"にも、大手企業とのアライアンスについて書かれた章があります。その章では、ベンチャー起業家が大手企業の担当者に営業にいって、以下のような返事をもらった場合は、そのまま文字通りに受け取ってはダメで、どのように解釈しなくてはいけないか、ということがまとまっています。

以下は、「大手企業担当者の10のうそ」です。今後教材で使おうと思って和訳してみました。

番号 相手の言葉 相手の真意
1 私たちは、戦略的な理由により、このプロジェクトを実現させたいと考えています。 私たちは、このパートナーシップが重要な理由を見つけることができないでいます。
2 経営陣は、このプロジェクトをぜひやりたいといっています。 役員はこのプロポーザルを30秒聞いただけで、まだ反対する時間がとれていない状況です。
3 私たちは、早く動くことができます。 まだ誰も法務部門に話しを通していないのです。
4 我々の法務部門を通すことは問題ではありません。 我々の法務部門は、大きな問題となるでしょう。
5 私たちはぜひこのパートナーシップを結ぶと同時に、新製品についてのプレスリリースを出したいと考えています。 プレスリリースを出すまでには時間がかかります。その時間を早める方法はありません。
6 我々の技術チームは、大変気に行っています。 我々のマーケティングチームは、反対しています。
7 我々のマーケティングチームは、大変気に行っています。 我々の技術チームは、反対しています。
8 我々の技術チームとマーケティングチームは、大変気に行っています。 我々の法務チームは、反対しています。
9 我々の技術チームとマーケティングチームと法務チームは、大変気にいっています。 頬をつねってみましょう。夢に決まっているでしょう。
10 我々は、社内で、部門横断的なチームを組成し、このプロジェクトを推進します。 このプロジェクトの成功に対して、誰も責任をとろうとしていないのです。


要は何が言いたいかっていうと、いかに大手企業とのアライアンスが難しいかということです。がんばっていきましょう。