Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

論文をまとめました 「大学発ベンチャー育成のためのメンター制度における同窓会ネットワークの活用」


8月25日(月)締切の日本ベンチャー学会の論文誌に論文を投稿しました。通るか分かりませんが、こんな内容です。



大学発ベンチャー育成のためのメンター制度における同窓会ネットワークの活用
―全国の大学への同窓会活用実態調査と比較事例分析に基づいて―

Research on Roles of the Alumni Network for Mentoring System in University-Based Entrepreneurial Process
−Based on Survey for Universities Incubators and Case Studies−

近年、ベンチャー企業の成長のために、メンター(起業家に対する相談相手、指導者、顧問)制度の有効性が注目されている。しかしながらこのメンターをどのように発掘し、起業家とマッチングするかという制度設計に関する課題が存在する。
本研究では、大学における同窓会ネットワークを活用することで、大学発ベンチャー育成のためのメンター制度の設計の課題の解消ができるという仮説を立てた。なぜならば同窓会ネットワークは、ネットワークの閉鎖性(「コールマン・レント」)と空隙性(「バート・レント」)の転換が可能という特徴を持つからである。
この仮説を検証するために、全国の大学のインキュベーション・同窓会担当組織への定量調査と、先進事例3大学のケース・スタディ分析を行った。定量調査においては、全国の大学における同窓会の現状と特徴、大学発ベンチャー支援における同窓会ネットワークの有効性を分析した。先進事例のケース・スタディ分析では、同窓会を活用したメンター制度が、同窓会の持つ共通の文脈を活用したメンバー募集を行う一方、一定の割合の他大学出身のメンバーを受け入れる、という手法をとることでネットワークの閉鎖性と空隙性の転換を実現していることを明らかにした。


キーワード:大学発ベンチャー、同窓会、ネットワーク、プラットフォーム、インキュベーション