Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

最近の学生を見ていて思う10のこと

自分自身が年をとったせいもあると思うけれども、最近の学生は昔とは随分違うように感じる。ちなみに、「最近の若いやつはダメだ」という言葉は古くはエジプトのパピルスに書いてあるそうで、もしそれが真だとするならば、人類はとっくに滅びてるはずなので、この言葉は年長者のおごりである、という話がある。私自身は、この話を信じているので、決してこの記事は今の学生批判をしたい訳ではなく、あくまで私が感じていることをまとめただけである。批判っぽく見えてしまうかも知れないが、それがこのブログで伝えたい本質ではなく、今の学生には今の学生のやり方・スタイルがあることを尊重することが大前提である。その上で、今の学生とどう付き合っていくかを考えていくことが大事。

ちなみに、私はSFCの学生を中心に見ているので、この現象はSFCに特有な可能性もあるが、でもきっと他の大学でも同じような傾向があるような気がする。


  • 飲み会を好まない

最近の学生は昔より飲み会にいかないと思う。昔だったら飲み会声かけられたらぜひ行く、という人が多かった。最近の学生は飲み会以外の交流の方が楽しいと思う傾向にある気がする。

  • 違う世代との交流を好まない

昔もその傾向があったかも知れないけど、最近の学生は自分たちの世代だけで固まろうとする。もちろん同期とのつながりを大事にすることは大事だけど、世代の違う人から色々学ぶことも大事だと思う。学生にとって一番成長できるチャンスは、上の世代の人から訪れることがほとんどなのに、そのチャンスをつかむ興味がなさそう。

  • 早く実績を作りたいとあせる

これは時代の変化なのかも知れないけど、学部2,3年のうちから自分の実績を作ろうとあせる人が多い。学生時代にそこまで大きな実績を作れることは稀なので、あまりあせっても良いことない気がする。すぐ達成感が出ないとしても、学生の間にきちんと下積みとして基礎を身につけることが大事だと思う。でもそれはやりたがらない。

  • 権威を疑うことをしない

最近の学生は、権威のある人の言うことを正しいと思いすぎな気がする。権威というのは今までの時代を作ってきた人を指す言葉。新しい時代を作るのは今の権威ではなく、これからがんばる人。

  • 生意気さが少なく礼儀正しい

最近の学生は礼儀正しい人が多い。でも、もっと自分が信じたことを貫いて、年上の人ともぶつかりながら、やりたいと思うことを達成していって欲しい。行儀悪くてもいいから。

  • 自分たちのできる範囲で物事を進めようとし、小さくまとまる

プロジェクトをやるときに、学生だけでできることをやろうとする。結果的にスケール小さくなる。昔の学生は、積極的に大人に協力を求めて、より大きくインパクトのあることをやろうとしていたように思う。

  • お互いにぶつかることを極度に回避する

お互いに遠慮が強いのか、意見のぶつかりをなるべく回避しようとする。本来はお互いにぶつかることで信頼関係が築けるし、良い議論ができるものだと思うが。

  • 飲み会では語るより遊ぶことを求める

飲み会は相互に語る大事な場。でも最近の学生は飲み会では、一気飲みだったり、お互いをいじりあったり、お互いに語るより、遊ぶことを求める傾向があると思う。人と語ることの楽しさを知らないのかも知れない。

  • ちょっと気が合わない人がいると協力せずに別組織を立ち上げる

意見が違う人が同じ組織にいることは良いこと。お互いにぶつかりながら意見をぶつければ良いのに、ぶつかることを回避する。結果的に、自分は別にやるということで新しい組織を立ち上げる。でも、小さな組織ができるばっかりだとパワーを持てないから実績はなかなか出ない。

  • 利害調整を極端に嫌う

プロジェクトには色々な人が携わる。ステークホルダーのインセンティブも多様。利害関係を調整しないといけない。学生は、利害関係の調整を極端に嫌う。そういう事態になるとすぐすねる人が多い。



これらは、世代による変化なので、この現象を批判することに意味はない。ただ、社会人や大人が学生と接するときに、「何を期待して学生と付き合っているのか」というモチベーションやインセンティブ自体が崩れつつある。要はストレートにいえば、年上から見て応援したり学生にチャンスを差し上げる気持ちが減少しつつある、ということだと思う。

学生を応援して若手人材を育成していくことの社会における重要性が低下することは決してないが、何のために応援するのかというモチベーション・インセンティブは再定義が必要なのかな、という気がする。