Science, Technology, and Entrepreneurship

政策研究大学院大学助教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

イタリアで育ったということ -私の価値観の原点-


イタリアの価値観

私は10歳から15歳までの多感な時期をイタリアのアメリカンスクールで過ごしました。この経験は私の価値観や人格形成に大きな影響を及ぼしていると思います。この5年間で、イタリア(+ヨーロッパ?)的価値観とアメリカ的価値観を同時に学べたことは私にとって大きな財産です。

イタリア的価値観をご理解いただくには以下のyoutubeの映像をご覧いただくと良く分かると思います。



私の実体験に基づいても、まさにイタリアはこんな国です。この映像を見て、全く違和感なく、「確かに!!」と思うことばかりでした。こんな国に育ったお陰で、私はつらいことがあっても一晩寝たらケロっと忘れられる性格を身につけることができました。私の運転をご存じの方は、確かにイタリア育ちだ!と思うかと思います。ちなみにこの映像を作ったのはイタリア人らしいです。イタリア人の価値観としては、このような映像は自分たちを卑下している訳ではなく、むしろこの価値観を持っている自分たちに誇りを持っているように思います。


私が体験したイタリア

ついでに、私がイタリアで経験した話を付けくわえておこうと思います。

  • イタリア人はお昼を沢山食べます。お昼を食べた後は、食べすぎて休みたいということで、イタリアの商店は13時から16時はお休みとなります。
  • 月曜日は、皆さん土日に遊び疲れたということで、お店は午前中お休みとなります。従って、開くのは16時からです。
  • ストライキが盛んな国です。アメリカンスクールだったにも関わらず、先生たちが給与交渉でストライキしてました。突然学校が休みになったりします。
  • 更にいえば、消防署もストライキをするそうです。火事になったらどうするか。そのときは、仕方なく仕事を始めるそうです。でも、それって緊急対応できないから被害は大きくなっている気が。。。。
  • 警察が、サイレンを鳴らして、道を通っているときは、犯罪者を追いかけているのではなく、自分の家に帰るためなことが多いらしいです。
  • 道に車を止めていて、前後車に挟まれて出せなくなったときには、前後の車に体当たりして、車を動かしてスペースを作って、車を出します。バンパー(bumper)とは、ぶつけるためにあるものなのです。
  • イタリアの夏は暑いので、みんなバカンスをとります。8月は2週間(?)くらい、お店は閉まってしまいます。
  • ピサの斜塔を上ったときの話。各フロアには、柵が全くついていません。もし落ちたらどうするんだ、と思いますが。周りのイタリア人に聞いてみたら、「もし落ちて死んだらそんなの本人の責任。それが嫌なら登らなければいい。」との答え。


私が高校時代に、こんな本が流行りました。


南仏プロヴァンスの木陰から (河出文庫)

南仏プロヴァンスの木陰から (河出文庫)


この本、高校時代に現代文の時間で取り上げられたことがあったのですが、確かに良い本なんですけど、イタリア育ちの私としては、イタリアはもっともっと余裕のある国だぞ、と思いました。

日本人として生きていて、イタリア人には、改めて、日本人には持っていない素晴らしい価値観を持っている民族だと思っています。人間らしい生き方をしている国だと思います。この価値観は私の人生観にすりこまれています。人間らしい生き方をしたい。自分の人間性を殺したくない。この価値観って意外と生きていくためには大事だと思います。


イタリアと日本の共通点、そしてグローバルな価値観へ

ドイツ人と日本人が飲んだときのブラックジョークとして、「ぜひまた一緒に戦争しような。でもそのときはイタリア抜きで。」というネタがあります。確かに!と思う反面、なぜこの3か国が同盟を結んだのか疑問に思います。この3か国の共通点はなんでしょう。

この3か国は、いわゆるアメリカを中心とした「自由主義」とは別の価値観を持っている国だということだと思います。自由主義というのは、国民が自由であると共に、自由を謳歌するための責任を持ちます。この3か国の共通する特徴は、一般大衆はこの責任を持たないという傾向がある、と思います。最初にご紹介した映像にも出てきました、今まで別の政治的イデオロギーを持っていた人も、ある政党が勝つと一般大衆はその色に染まるという特徴です。つまり、一般大衆は責任を持たず、全ては「お上」の責任、と思うメンタリティ。これは3か国に共通しています。ちなみに、イタリアが他の2か国と違う最大の特徴は、「お上」も責任を持たない、ということなんですが。でも今の日本もそうなりつつあるので、結局は似た者同士かも知れません。

という訳で、私がイタリアで学んだ価値観、結構日本の未来を考えるにあたっても参考になること満載なような気がします。

私は、イタリア、アメリカ、日本の3つの価値観を持って育ってきました。これはもしかしたら私がグローバルな仕事をする上でアドバンテージになっているかも知れません。アメリカだけを経験してきた帰国子女とは違う一面を持っています。だからこそ、アメリカにも一度住んでみたいのです。