Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

あっきー披露宴にて、遠隔でスピーチしました


本日は、慶應義塾大学時代の後輩の石川晃久君が結婚するにあたって、その披露宴でスピーチをさせていただきました。といっても、学期のど真ん中で、日本に行ける訳もなく、skypeで中継でお話させていただきました。スピーチは割と慣れているので、緊張することはないんですが、今回は中継ということで、新郎の泣き顔がドアップで見えて、スピーチなのに、対面で話しているようで、珍しく緊張して、ちょっと原稿読み間違えてしまいました。ごめんなさい。

あっきー、ミナコさん、おめでとうございます。

祝辞


石川晃久君、ミナコさん、ならびにご両家の皆様、本日はご結婚おめでとうございます。

ただいまご紹介にあずかりました、カリフォルニア大学サンディエゴ校の牧兼充でございます。 私は、新郎の大学時代の先輩にあたる立場でして、本日は晃久君との思い出話しや彼のお人柄についてお話させていただこうと思います。本来であれば、大阪にお伺いして、お祝いさせていただくべきところ、現在はアメリカでの学期の真っ最中でして、遠隔地からの参加で失礼いたします。また、このようなご挨拶をさせていただく場合には、ビデオメッセージをお送りすることが一般的だとも思ったのですが、せっかくの機会なので、このご挨拶で、新郎の過去の話について、包み隠さずお話したいと思い、ビデオですと事前に本人の検閲が入り、大切なところがカットされてしまうのではないかと危惧し 、インターネット中継で生でお話させていただくことにいたしました。

本日は、晃久君のお人柄が良く分かる二つのエピソードをお話させていただこうと思います。

一つ目は、「一期一会を大事にする」という話です。晃久君とは大学4年生の頃に、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで、ベンチャー育成のプロジェクトをご一緒していました。そのプロジェクトの活動は多岐に渡り、晃久君との思い出は沢山あるのですが、今日はその最後の日についてお話しようと思います。私が事務局長をしていたベンチャー育成プロジェクトは、2007年度末の私の退任にあわせて、そのプロジェクトを閉じることになっておりまして、ちょうどその最終日、3月31日の夜に関係者で集まって飲み会をしていました。多くのメンバーにとって思い出に残るプロジェクトでしたから、その飲み会は遅くまで盛り上がりました。その会には、晃久君も参加していたのですが、この日は晃久君にとっては学生最後の日。翌日は入社式です。その状況でしたので、晃久君は軽く顔を出して、すぐに帰る予定でした。ところが、お酒好きの仲間が多く集まっていた飲み会。結局みんなで晃久君を引き止め、楽しく宴会しているうちに気がついたら、時間は午前3時。そんな時間まで飲んで、その数時間後に入社式に臨んだ新入社員はあまり多くなかったのではないか、と思います。このエピソードから分かる通り、晃久君は、仲間との 「一期一会」 を大事にする人です。まぁ、ただし、その瞬間を大事にしすぎて、今回「授かり婚」とお聞きして、なるほどな、と思ったりもしました。

2つ目は、「相手のfavorを大切にする」、という話です。晃久君は、大学時代からずっと、コミュニティの中で誰からも愛される存在です。その晃久君の魅力を説明するときにぴったりなのは、”favor bank”という言葉です。この言葉は皆さん耳慣れないと思うので、少し解説させていただきます。”favor”というのは日本語で好きな意思と書いて”好意”ですから、好意の銀行という意味です。英語で相手に頼みごとをするときに”Could you give me a favor?”という表現を使います。このときに相手に”favor”、つまり”好意”がなければ、お願いは受けてもらえません。また一方的に頼みごとばかり繰り返すと、相手は嫌気をさしてしまいます。この”favor”は、常に変動しますし、決して金銭的価値に換算できるものでも、日本語でいう「貸し借り」でもありません。「相手からお願いされることがうれしい」もしくは「相手が喜ぶことがうれしい」という気持ちなんです。人は誰もが相互に”favor bank”を持っていて、そこに預貯金をしています。

最近私が、晃久君から受け取ったものでうれしく、晃久君にfavorを持ったことをお話したいと思います。私が渡米したのは、2010年8月でしたが、その直前の5月に私の祖母がなくなりました。このときのショックは私にとっては大きく、かなり落ち込んで いたのですが、そんなときに晃久君からのメールで、「弔電を送りました。慣れていないのでどう送っていいのか分からなかったのですが。。」と言われました。その数日後に弔電を受け取りました。実際に開いてみると、書いてあるメッセージは、恐らくテンプレートというか定型のもので、何てことはないのですが、それにも増して、極めて特徴的だったのが、弔電の宛先が、喪主の名前でも私の名前でもなく、亡くなった祖母の名前になっていたことです。落ち込み気味だった私も思わず、笑みがこぼれ、そして慣れてない中で、必死に弔電を送ってくれた晃久君の気持ちが伝わって、うれしく思ったものでした 。この出来事は、人間関係において大切なのは、様々なことを卒なくこなすことではなくて、相手に対する気持ちを、真剣に一生懸命に、相手に 伝えることなんだ、ということを思い出させてくれました。

本日ご臨席の皆様も、何らかの形で、このような晃久君の気持ちを受け取ってきたのではないか、と思います。私は今まで多数のコミュニティ運営に携わり、多くの方と活動をご一緒してきました。その中で、晃久君ほど、多くの皆様の”favor”を集めた人はいなかったように思います。

私がなぜ、ずっと晃久君と一緒に過ごしてきたか、ということを改めて考えてみると、晃久君は相手の期待や気持ちを絶対に裏切らない、ということが最大の理由です。晃久君の個性を短くお伝えするとすれば、「物事を決めるときに、多様性の観点から見、さらにその裏にある人の気持ちや期待を分かることができる人」 なんです。今まで、様々な活動を、様々な組織、様々な街でご一緒してきましたが、その全てにおいて期待以上の成果を出す人でした。
本日ご臨席の皆様が、晃久君に持っている気持ち、また晃久君に期待することは、皆同じかと思います。是非幸せな家庭を築いていって欲しい。晃久君はその期待を、この場にご臨席の皆様が期待する以上に達成する人であると確信しています。
晃久君、ミナコさんのお二人が、これからは手と手をとって、中むつまじく人生を歩んでいかれることを祈念し、また本日ご臨席の皆様のご健勝を祈念し、私の祝辞とさせていただきます。
晃久君、ミナコさん。本日は本当におめでとうございます。


会場からtwitter経由で送られてきた写真


ちなみに、こちらは、あっきーが用意した司会からの紹介用の原稿。お互いに全く打ち合わせはしてないのに、かなりシンクロしてますね。

簡単ではございますが、牧兼充様と新郎の関係についてご説明させていただきます。


牧様と新郎の出会いは、今から5年近く前になります。初めは、ゼミの先生と生徒という関係でした。しかし、授業のアシスタントをしていた際に新郎が起こした大問題により急速に距離が縮まり、朝まで飲んだ回数も数知れません。


また、お互いのターニングポイントになる時には必ず一緒におり、「新郎の卒業」「牧様のプロジェクトからの引退」「新郎の入社式8時間前」「新郎の大阪転勤」「牧様のアメリカ留学」とすぐに思い出されるだけでも数多くございます。そんな、「一生の思い出に残るであろう瞬間」を共有してきた牧様に、「一生の思い出に残るであろうこの瞬間」にお祝いのお言葉を頂戴したいという新郎の思いから本日のご挨拶を依頼させて頂きました。


そんな新郎にとって「恩師であり、先輩であり、友人でもある」牧兼充様は、カリフォルニア大学サンディエゴ校博士課に在籍されております。本日はアメリカからskype経由にてご挨拶を頂きます。ネット回線の都合上、不具合が起こる可能性もございますが、その際はご了承ください。それでは牧兼充様よろしくお願い致します。


会場の様子。


こちら側の様子。