Science, Technology, and Entrepreneurship

政策研究大学院大学助教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

神田君、おめでとう


SFC時代の後輩の神田くんが結婚するにあたって、二次会でのスピーチを頼まれたので、skype経由で中継することになりました。でもこの依頼が何と当日の1週間前。そして、時間もこちらの時間で深夜2時。何て依頼だと思いながらも直前に原稿書いて準備しました。それにしても準備時間なかったからあんまり良いスピーチになったか自信がない。。。ごめん。。


そして、家で待機している間に、何と家のあるブロック全体がblackout。当然ネットもつながらなくなるし、PCもバッテリーでは時間まで持つか分からないので、急遽夜にオフィスまで移動し、深夜のオフィスから中継することに。きっと、これ新郎の普段の行いの悪さなのでしょう。


それにしても、今年3回目の結婚式のスピーチです。そんな人のことを心配してるより、自分の心配を、と思うのですが。。。


ちなみに司会からの僕の紹介はこんな感じ。

今回skypeにてお祝いのメッセージを頂く牧 兼充さんについて、簡単ではございますが新郎との関係をご説明させて頂きます。牧さんとの出会いは新郎が大学生の頃で、今からもう5年以上が経ちます。大学院入学のきっかけとなり、その後の進路を考える際も幾度も新郎の相談にのり、厳しくも温かいアドバイスを下さった大学の先輩であり、恩師でいらっしゃいます。また、新郎は牧さんを通じて、本日この会場にいらっしゃる皆様とのご縁のきっかけを作って下さった方ででもあります。牧さんは只今アメリカ サンディエゴに留学されていらっしゃる為、只今向こうは真夜中となりますがskypeにてお祝いのメッセージを頂戴したいと思います。


スピーチは突貫工事で申し訳ない限りですが、こんな話をしました。久々に日本語で長時間話す場で、しかも、眠い中で話したので、あんまりうまく話せなかったかも。。。。

神田大輔君、藍沙(あいさ)さん、本日はご結婚おめでとうございます。

ただいまご紹介にあずかりました、カリフォルニア大学サンディエゴ校の牧兼充でございます。 私と新郎は、大学時代の先輩後輩にあたる関係でして、本日は神田君との思い出や、彼のお人柄についてお話させていただこうと思います。

ちなみに、このメッセージの依頼は何と一週間前の突然の連絡。全く準備する時間がない上に、指定された時間もアメリカ西海岸時間で午前2時。今日はアメリカでは金曜の夜なのですが、せっかくの金曜日なのに飲みにいくこともできず、慌てて準備して、今に至ります。そんな訳で、こんな無茶なご依頼を受けたということで、普段から思っていることを包み隠さずにお話させていただいて、この鬱憤を晴らさせていただこうと思います。

神田君との最初の出会いは、2007年の秋でした。当時私は慶應義塾大学でベンチャー育成の責任者をしていましたが、そのときに一緒に活動をしていた弁理士でいらっしゃる松倉秀実さんからのご紹介でした。でも実は今だから言えますが、ご紹介にあたっては、松倉さんは極めて遠慮がちに、神田君を私に本当に彼を紹介していいのかを悩みつつ、恐る恐る、ご紹介下さったことを良く覚えています。当時、神田君は法政大学の4年生。工学系の研究をやっていたものの違う分野に移りたいと思いながら、何をやろうかを模索しているというフェーズで、慶應義塾大学の大学院に進学したいという相談でした。研究テーマ等について色々な議論をしたのですが、いくら話してみても、何やりたいかが一向に見えず、「きっとSFCを受けても受からないだろうなぁ」と正直思っていました。神田君の第一印象は、「自分探し」に必死な今風の若者、という感じでした。

そんな最初の出会いでしたが、神田君は結果的にSFCの大学院に見事合格、その後様々な形でお付き合いさせていただくことになります。でも、その第一印象は、その後のお付き合いで払拭するどころか、どんどんその思いを深めていくことになります。修士の学生時代の研究発表でも何がやりたいかが定まらず、修士論文のテーマですら直前まで決まらず、國領先生にアドバイスをいただいてやっと決まる、というよりも國領先生にテーマを決めていただく、というのが実態でした。それと同時に、就職のフェーズになっても「自分探し」は続きます。SFCの大学院の学生は就職活動で苦労する人が少なくないのですが、神田君はその中でもダントツに苦労した学生だったように思います。修士が終わる段階でも就職先が決まらず、卒業後も仕事を探し続けていました。そんな中で、神田君が少しでも仕事を見つける手助けになればと思い、私の周りの人に協力を依頼して、多くの方に就職先を探す手助けをしていただきました。そんな状況の中でも、神田君は何をやりたいかが定まらないままで、周りの人たちもその状況でどのようにサポートして良いのか悩んでいました。

その後、紆余曲折を経て、無事就職先も決まり、仕事では苦労しながらも、少しずつ社会で実績を作っていきながら、どうやって今後のキャリアを歩んでいくのだろうか、と楽しみにしていた矢先に受けた報告・相談が、「彼女が妊娠しました。結婚します。家庭を持つようになるので、今後のキャリアについて相談させてください。」というものでした。ここ数年間、神田君を見てきただけに、神田君は今、自分一人で生きていくだけでも必死なフェーズ。そんな状況の中で、家族を持つ責任が生まれて、本当に大丈夫かな、と心配に思った、というのが正直な最初の感想でした。

さて、そんな不安だらけの神田君ですが、SFCへの進学を機にどんどん周りとのネットワークを広げていくことになります。私がSFCで担当していた授業「アントレプレナー概論」のティーチングアシスタントを引き受けてくれました。この授業は通常の授業とは比較にもならない大きな負担のある業務でしたが、その全てを、嫌な顔一つせずに、責任感を持って着実にこなしてくれました。このような機会を経ながら、神田君はどんどんネットワークを広げて、周りからも信頼を得ていくようになります。私が渡米したのは2年前ですが、皆さんが私の壮行会を開いて下さるときも、神田君はその幹事の責任者を務めてくれました。今振り返ってみると、神田君との出会いは、私の慶應での仕事を終えようとするタイミングでしたが、私が慶應の活動を行うにあたって、そのコミュニティの中核を担ってくれた一番最後の世代が神田君であったように思います。

これらの経験から、私なりに神田君のお人柄をご紹介するとすれば、神田君というのは、周りから期待されて、責任のある立場を任されたときにその真価を発揮する人だということです。責任のある立場にいる神田君は、一見凡庸(平凡でとりえのないこと)としているように見えますが、その責任に対するその真剣さ・誠実さが周りに伝わり、周りの人も応援しようと思わせ、周りの人を巻き込む力を持っています。その力があるからこそ、「自分探し」を続けている神田君には、いつまでも応援してくれる人が付き続けているのだろうと思います。

人間が、波乱万丈な人生を力強く生きていくために必要な「強さ」には、「守るべきモノのある強さ」と「失うものの無い強さ」の2種類があります。神田君は、ちょうど今この瞬間に、「失うものの無い強さ」のフェーズから「守るべきモノのある強さ」のフェーズに移りました。そして、神田君の「周りから期待されて、責任のある立場を任されたときにその真価を発揮する人」という個性は、「守るべきモノのある強さ」のフェーズこそより活かされるものであろうと思います。その意味で、神田君にとっては、家族への責任を持つ、ということ自体がむしろアドバンテージになるのだろうと思います。この新しいフェーズへの移行は、これからの神田君の飛躍のための良い土台となるでしょうし、神田君はこれからの人生をより力強く生きていくことでしょう。

最後に、昨年12月に、神田君をご紹介下さった松倉さんとした会話をご紹介したいと思います。今思うと、あのときは松倉さんのご病気が発覚する直前で、二人で久しぶりに飲みながら色々な思い出話で盛り上がったときでした。そのときに、私は松倉さんに「松倉さんから沢山の人をご紹介いただいたけれども、その中で最も次のフェーズにつながったのは神田君でした。ご紹介下さったことに心から感謝しています。」と申し上げました。その言葉を聞いた松倉さんは「あのときに紹介するか悩んだのだけれども、そう言ってもらえて本当に良かった。」と嬉しそうにお返事していらっしゃいました。このような会話を私と松倉さんが思い出話としてできるようになったのは、神田君がこのコミュニティの中核として活躍してきたからです。更にいうならば、神田君がそのプロセスにおいて、自分自身の人生を豊かにしたと同時に、私や松倉さんを含めて、このコミュニティのメンバーの人生を豊かにする役割を果たしてきたからです。こんな会話を松倉さんとすることになるとは、5年前に神田君と始めてあったときには夢にも思いませんでした。今日この場でお祝いのスピーチをさせていただくにあたって、特にそのときの松倉さんとの会話を、神田君に申し伝えたいと思います。

大輔君と藍沙(あいさ)さんのお二人が、これからは手と手をとりながら、どちらかというと、大輔君がこの責任を十二分に感じられるように、藍沙さんには365日24時間、健やかなるときも病めるときも、「期待」というプレッシャーを大輔君かけ続けていただきながら、中むつまじく人生を歩んでいかれることを祈念し、また本日ご臨席の皆様のご健勝を祈念し、私の祝辞とさせていただきます。

大輔君、藍沙(あいさ)さん。本日は本当におめでとうございます。