読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Science, Technology, and Entrepreneurship

政策研究大学院大学助教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

たっくん、おめでとう -披露宴でのビデオメッセージ-

生活


SFC時代の後輩の村上拓也君が結婚しました。披露宴にてメッセージを依頼されたのですが、日程調整の都合で式には参加できず、ビデオメッセージを送らせていただきました。

僕のまわりにいる後輩にしては珍しく3ヶ月前にはスピーチの依頼をいただき、ただ、今回のスピーチは本当に悩みました。色々とお伝えしたいと思うことを、披露宴の場で会うような形でまとめるのは、とてもとても大変でした。時間制限があって、最後の最後で編集したり。多くの皆様にも原稿観ていただいてコメントをいただきました。


さて、以下がスピーチの概要です。

祝辞


村上拓也君、愛美(まなみ)さん、ならびにご両家の皆様、本日はご結婚おめでとうございます。ただいまご紹介にあずかりました、カリフォルニア大学サンディエゴ校の牧兼充でございます。 私と新郎は、大学時代の先輩後輩にあたる関係でして、本日は拓也君との思い出や、彼のお人柄についてお話させていただこうと思います。本来であれば、披露宴にお伺いして、お祝いさせていただくべきところ、タイミングが合わず、ビデオメッセージにて失礼いたします。


拓也君とは、彼が学部、大学院の間、 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで、ベンチャー育成のプロジェクト「SIV」をご一緒していました。その活動の中で、拓也君は、「R-STATION」というプロジェクトを立ち上げて、その後会社を起業し、ビジネス化へ向けて邁進していました。その過程において、拓也君と私は、かなり多くの時間を共有しました。大学近郊にある刈込リエゾンオフィスに、半ば住み込むように、いつも時間を共有していましたし、シンガポールやシリコンバレーなど海外にも何度か一緒に行きました。そんな一緒にいる時間に、沢山のことを話す機会がありました。


その中で私にとって最も印象的で、拓也君のお人柄の分かるエピソードを二つお話したいと思います。一つ目は「将来の夢」という話です。一般的に起業を目指す学生というのは、Steve Jobsのようになりたい、こんなウェブサービスを作りたい、などについて語る学生が多いのですが、拓也君の夢は私の周りの学生とは少し異なっていました。拓也君は、「自分の夢は、将来、幸せな家庭を作ることなんだ」と幾度となく語っていたのです。とても印象的だったことを、今でも思い出します。


二つ目は、「ビジネスの先にあるもの」という話です。拓也君は卒業するときにSIVの後輩たちに向けてブログでのメッセージを書いてくれました。その一説をご紹介したいと思います。

SIVが主催していたコンテストを見ていて素敵だなと感じる事は、そのビジネスプランが見せ る世界観を評価対象としていたことでした。他のビジネスプランコンテストでは収益性や実現 性が評価の中心です。すごいなと思えても、感動するようなプランは多くないように思えます。 SIVのコンテストの案件は、事業性という観点では決してレベルは高くないかもしれませんが、 行間から垣間見れる世界観だけは負けないものがあると思います。誰にも負けない世界観を持 ちつつ、具現化するための手法をSIVで吸収していって下さい。


一般的に起業を志す学生は、如何にしてビジネスモデルを構築するか、そしてどのように儲けるかということを主眼とするのに対して、「世界観が何よりも大切」というメッセージを後輩へ伝えてくれた拓也君の言葉はとても印象的でした。


さて、この二つのエピソードの背後には大きな共通点があるように思います。ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授、拓也君が大学時代に最も尊敬していた経営学者の一人ですが、彼は最近の著作である"How Will You Measure Your Life?"、日本語で言うと、「あなたの人生をどのように測るのか」、という意味ですが、その中で二つの素晴らしいメッセージを述べています。

仕事をすればたしかに充実感は得られる。だが家族や親しい友人と育む親密な関係が与えてく れる、ゆるぎない幸せに比べれば、何とも色あせて見えるのだ。

わたしたちが最も陥りやすい間違いの一つは、それさえあれば幸せになれると信じて、職業上 の成功を示す、目に見えやすい証に執着することだ。もっと高い報酬。もっと権威のある肩書 き。もっと立派なオフィス。こうしたものは結局のところ、あなたが職業的に「成功した」こ とを、友人や家族に示すしるしでしかない。


拓也君の二つのエピソードというのは、まさにこのクリステンセンのいう「自分の人生をどのように測るのか」ということを、学生時代から誰よりも真剣に考えてきた、ということを示しているように思います。


拓也君と愛美さんがご結婚するにあたり、今まで個人的な悩みや苦しさを、決して表に出すことはなく、常に明るく前向きに振る舞いながら、そして誰よりも「人生の幸せとは何か」ということを深く考えてきた拓也君は、その思いをこれから幸せな家庭を築いていく中で、十二分に発揮するであろうと確信しています。


拓也君、愛美さんのお二人が、これからは手と手をとって、中むつまじく人生を歩んでいかれることを祈念し、また本日ご臨席の皆様のご健勝を祈念し、私の祝辞とさせていただきます。


拓也君、愛美さん。本日は本当におめでとうございます。


文責: 牧 兼充


Special thanks to Mika Fukunaga, Naoko Watanuki, Tomohiro Hanazaki, and Yasutaka Mori. Video is taken by Shinya Ishizaki and Yasuharu Ueshima


そして以下がビデオ映像です。