Science, Technology, and Entrepreneurship

政策研究大学院大学助教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

宮井克己先生との思い出

 

昨年の11月に、僕がサンディエゴでお世話になった宮井克己先生が亡くなったのですが、日本に戻ってきていても、話題が出ることが多く、まさにサンディエゴと日本連携のキーパーソンだったんだと思います。いつも宮井さん、と呼ばせていただいていたので、ここでは宮井さんと呼ばせていただきます。宮井さんとの最後の方の交流について聞かれることが多々あるので、ここに宮井さんとの思い出をまとめさせていただきました。

 

僕がサンディエゴ時代にロールモデルとしてもっとも深く交流させていただいた方の一人が、UC San Diego医学部教授の宮井さんでした。米国の厳しいアカデミックな社会でずっと競争で戦い続けていらっしゃった宮井さん。たくさんの実績をお持ちにも関わらず、決して偉ぶることのないお人柄をお持ちの方でした。宮井さんの波乱万丈の人生をお聞きしていると、自分のとっているリスクなんて小さいもの、もっとがんばれるという気持ちさせていただくような方でした。

サンディエゴ三田会においても、僕のように既存の文化とかを気にせずに、そして先輩後輩のしきたりを気にせずに自由にやらせていただけたのは宮井さんのような大先輩がいたからこそ、だと思います。

頻繁に研究室にお邪魔して、ビールを飲みながら色々語らせていただきました。僕が悩んだときにも、沢山のアドバイスをいただきました。特に宮井さんの人を見る目はとても鋭く、仕事で人間関係で悩んだときも、とっても鋭いアドバイスをいただいたりもしました。

そんな宮井さんも2016年の夏前から癌で闘病なさっていて。2016年8月にサンディエゴに滞在した際は、ご迷惑とは思いましたが、ご自宅を訪問させていただいて、二人だけで色々なお話をさせていただきました。

僕は恐らく、宮井さんの人生の中で一番最後に、沢山のことを学ばせていただいた者だと思っております。宮井さんに感謝の気持ちを込めて。そして、宮井さんの「あっぱれ」な人生に敬意を持って。宮井さんから学ばせていただいたことを着実に引き継いでいこうと決意しています。

 

昨年の秋にサンディエゴ三田会として、宮井さんにみんなで文集をプレゼントしたのですが、僕はこんな寄稿をさせていただきました。

 宮井さんからは人生の生き方を学びました。波乱万丈な宮井さんの人生を見ていると、自分がリスクをとろうか悩んだときに、「ま、どうにかなるさ」と前向きな気持ちにさせられます。

 "Up or Out"のUC San Diegoで生き残って来られたご実績、その背景には大変なご努力があったかと思います。宮井さんは日本人として米国でご活躍するという意味での、大きなロールモデルです。
 常に若手を大事になさってinspireなさってきたことも宮井さんのすごさです。末松さんのご活躍をお話するときの宮井さんのうれしそうなこと。末松さんが2015年5月にサンディエゴにいらっしゃったときに、研究室で一緒に飲ませていただいたのは一生の思い出です。僕は宮井さんとは研究分野は全く違いましたが、人生の生き方の師、という意味で、僕は宮井さんの弟子だと勝手に思っております。末松さんが宮井さんから学ばれたことを、僕も学ばせていただこうと、実は必死でした。
 色々な実績をつまれていらっしゃっているのに、決して偉ぶることのない宮井さんの生き方からもたくさん、学ばせていただきました。そういえば、僕が昔宮井さんに、「医学部の人たちはお互いに先生と呼ぶから気持ち悪い」と申し上げたとき、「そうなんだよ。本当に気持ち悪い」と賛同して下さったのも、懐かしく思い出します。
 サンディエゴ三田会では、宮井さんを「宮井先生」と呼ぶ文化がずっとありましたが、僕は宮井さんには、「宮井先生」ではなく「宮井さん」としてフラットな人間関係で、「人間交際」させていただいたこと、僕のサンディエゴでの人生においてのとても大きな財産です。
 宮井さんとの交流は、僕のサンディエゴでの人生を、より豊かで実り多いものに変えて下さいました。改めて感謝の気持ちをお伝えさせて下さい。ありがとうございました。そして、宮井さんから学ばせていただいたことを、僕の人生にとって大切なものとして、次の世代に引き継がせていただきます。

2000年環境情報学部卒業
サンディエゴ在住 2010年〜2015年
牧 兼充

 

UC San Diegoの名誉教授ということで、宮井さんの追悼文が共有されました。名文だと思います。

SUBJECT: In Memoriam - Katsumi Miyai, MD, PhD

Katsumi Miyai, MD, PhD, Professor of Pathology Emeritus, passed away peacefully after a brief illness on November 9 surrounded by family and friends. One of the original faculty members of the UC San Diego School of Medicine, Dr. Miyai was a legendary figure in its history.

Following receipt of his MD degree from Keio University (Tokyo, Japan) and his PhD degree in Pathology from the University of Toronto (Toronto, Canada), Dr. Miyai completed a residency in Pathology at Washington University (St. Louis, Missouri), a fellowship in pathology at Johns Hopkins University (Baltimore, Maryland), and a research fellowship in pathology at the Banting Institute of the University of Toronto. He was appointed assistant professor of pathology in 1969 at the then fledgling UC San Diego School of Medicine, teaching pathology to its first class of students, and subsequently rose through the ranks to tenured full professor. The Department of Medicine gave him a joint appointment in the Division of Gastroenterology in 1989.

A noted hepatopathologist, Professor Miyai published numerous articles on hepatobiliary disease. However, his greatest contribution is considered to be in medical education. For almost 20 years he chaired the required second-year course in Human Diseases, a blend of pathology, microbiology, and pharmacology as well as the required course in Histology. He also served as Director of the Pathology Residency Program for more than 10 years. He conceived of and developed the first digital images for pathology and histology teaching ("MedPics"), which inspired others to create similar teaching aids. His accomplishments in education resulted in his being honored with the Kaiser Award for Excellence in teaching twice (1979 and 2009) as well as the campus Distinguished Teaching Award from the Academic Senate (1995). Dr. Miyai's "retirement" in 2005 occurred only on paper since he continued to chair the pathology and histology threads in the new curriculum after retirement.

In every sense, Katsumi defined the highest standard for university professors. His commitment to growing knowledge and transferring that knowledge to the next generation of physicians and pathologists was unparalleled. His peers such as David N. Bailey, MD, Distinguished Professor Emeritus and Former Chair of the Department of Pathology describe him as a true luminary who influenced the lives of countless medical students, residents, graduate students, and fellows not only through his outstanding teaching but, perhaps more importantly, through being a role model of excellence.

Henry C. Powell, MD, Professor Emeritus of Pathology and former Interim Chair of the Department of Pathology shared that Katsumi had unique ways of counseling students and a very generous concept of office hours - in his office and readily available to all of us and the students at all hours. Dr. Powell expresses all of our thoughts in saying that our affection for Dr. Miyai was deep, and he will be remembered very warmly for as long as we who knew him live to do so.

A celebration of the life of Katsumi Miyai will be announced at some time in the near future.

David Brenner, MD
Vice Chancellor, Health Sciences
Dean, School of Medicine

Steven L. Gonias, MD, PhD
Chair, Department of Pathology

 

1月に大学が主催で行われたCelebration of Lifeには残念ながら僕は参加できなかったのですが、元医学部長の末松さんに連絡して、追悼スピーチを用意していただいたり、ほんの少しだけお手伝いさせていただきました。

 

以下宮井さんとの思い出の写真集です。

 

サンディエゴ三田会でご一緒に。

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しょっちゅう研究室に呼んでいただいて、ビールを飲みながら色々と語り合いました。

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海上自衛隊の方とも良くご一緒させていただきました。

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海上自衛隊の艦上リセプションに毎年のようにご一緒に参加させていただきました。

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末松さん@AMED理事長、慶應義塾大学医学部長がサンディエゴに来訪した際には、宮井さんの部屋で一緒に飲みながら話させていただきました。末松さんとつないでくださったのが宮井さんでした。

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僕の博士の最終試験であるdefenseには宮井さんも駆けつけて下さいました。写真は終わったあとのリセプションにて。

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サンディエゴを去るときのお別れ会にいらしていただきました。

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またお別れのプレゼントとして、この本をいただきました。実はこの本、後に「大学トップマネジメント研修」のUC San Diegoのコンテンツを考えるときに、参考にさせていただきました。今思うと、宮井さんとのダイアローグがなければ、「大学トップマネジメント研修」をUC San Diegoで受けるという発想にならなかったかも知れません。

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サンディエゴを去るときの宮井さんの言葉。吉田松陰松下村塾で、伊藤博文を評して「俊輔、周旋の才有り」と言ったそうですが、それに似ている。特性を生かして大成される様、期待しています。」とのメッセージをいただきました。

これからも宮井さんとの思い出を大事にして、学んだことを引き継いでいこうと思います。確実に宮井さんが築かれてきたことが一つの流れになっているように思います。