Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

夜間主総合ゼミ - 修士論文をまとめるにあたっての注意点

夜間主総合ゼミの修士論文の締め切りが2週間後に迫っている中で、ゼミとしての修士論文の型みたいなのがあるなぁと思ったので、個別にメンバーには部分的に伝えてますが、まとめておこうと思います。

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  1. 第1章のイントロダクションでは背景からスタートして、研究手法、結論まで書く。イントロダクションで結論まで書くのは、日本ではあまり普及していない流儀だが、米国流の論文では一般的。イントロダクションを読むだけで、論文の概要が分かるようにする。Extended abstractのような位置付け。
  2. 論文では大事なことを3回書く。1回目はイントロダクション。2回目は本文。3回目はまとめ。
  3. What? So what? Now what? の3つの問いに答えることを心がける。何をやったのかだけではなく、なぜその問いは重要なのかをしっかり伝え、そしてその結論がどう役立つのかを述べること。この3つを満たすことが重要。定量分析の研究をしていると、研究手法にこだわりすぎて、どうしてその研究が重要なのか、どのように実務に役立つのか、という視点を忘れがちになってしまう。「実務にどう役立つのか」という点は、他のゼミ以上にかなり意識的に充実させること。でないと、研究のための研究になってしまい、役立たない研究になる。
  4. 「その研究をやることによって誰がどういう風に幸せになるのか」という問いに明確に答えられるようになること。
  5. 論文は客観性が重要なので、なるべく自分の経験など、一人称は排除すべきである。一方で、MBA修士論文なので、自分の経験からの問題意識の導出や、今後自分のキャリアにどう役立つかを論じることはとても重要。修士論文は付録として、「この研究の個人的な意義」をまとめること。実務的にどういう思いがあってこのテーマを思いつき、ここでできた結論は自分の実務にどう役立つのかを、あまり理論的でなくても構わないので、一人称でまとめてみる。修士論文のスナップショットとして、今自分がどうこの研究を捉えているかを記録しておくことは大切。
  6. 修士論文は、これからのキャリア構築のためのツールである。今後協力してもらえそうな人たちとのネットワーク強化に活用した方が良い。謝辞では、修士論文で直接お世話になった人だけではなく、MBA全体を通じて、お世話になった人を記すと良い。修士論文が完成したら、お世話になった皆さんに論文を届けてご挨拶をすることで、自分のネットワークが広がるので、ぜひ実践してみる。
  7. 著作権については、以下のページを参照すること。他者の著作を参照する場合には、必ず引用すること。なお、過度な引用は避ける。特に、インターネット上に点在するテーブルや図表などを自分の論文にcopy & pasteで貼り付けることは、引用元が明記されていても注意すること。テーブルや図表がそのまま自分の論文に当てはまることは稀で、可能な限り自分の論文の内容に合わせて改編するなど、自分のオリジナリティを出すこと (ただし改編した場合にも、引用元は明記すること)。