若者が「自分探し」という愚行から脱するために読むべき本
近年、若者の多くが「自分探し」をしている。慶應義塾の教員してた頃から、「自分探し」をしている若者からの相談を多く受けてきたし、渡米してからも依然として、頻繁にそのような相談を受ける。僕のところに相談に来る学生の多くは、昔は「起業」「新事業創造」「ITビジネス」「学生ベンチャー」に関するものが多かったが、最近はこれに加えて「グローバルキャリア」に関する相談が圧倒的に増えている。
あまり相談が増えてくると、時間が効率に使えなくなるので、あらかじめ、いくつかのサジェスチョンをまとめておこうと思う。
ところで、僕は「自分探し」という言葉が大嫌い。僕自身が、自分がやりたいことは何だろうと悩んだことがないから、偏りのある意見だとも思うが、「自分探し」というのは、自分がやるべきことから逃避するためのただの口実で、それをさも「自分探し」という哲学的な意味のありそうな言葉をつけて、無意味な時間を過ごしているようにしか思えない。もちろん、人生の中で、一度立ち止まって、自分自身の棚卸しをする時間を費やすのも悪くない。でもそのときも、極限まで考えて極限まで動いてみることが大切だ。自分自身の棚卸しの時間も有限なので、決して時間を無駄にしないように。
すなわち、「自分探し」といったって、色々なところを探しまわっても、「自分」が落ちている訳ではない。今の自分の能力なんてたかが知れてるから、もしやりたいことがあったとしても今の自分にやる能力なんて備わってはいない。大事なのは、「決してどこかに落ちているわけではない自分をやみくもに探す」のではなく、「やりたいことがやれるような自分になるために自分の能力を磨く」ということだ。
今の時代ほど、キャリアも社会の先行きも不透明な時代はない。選択肢も飛躍的に多様になったのだから、何をやりたいか悩むのも当然。でも、悩んだときこそ、現実逃避をするのではなく、前のめりに、自分自身を磨くことが大事だ。自分自身を磨くことは辛い。でもそれを着実にやらないやつが、自分のやりたいことなんて見つけることは未来永劫にない。
今の時代だったら、とりあえず何やるか悩んだら、「英語」と「ファイナンス」くらいは学んでおくことを薦める。今後何やるんでも必要な基礎知識だから。それに加えて、少しでも多くの本を読んだり、多くの人にあってもいいかも。
ただし、僕自身の場合でいえば、「自分探し」をしている若者と会って話すことほど苦痛なことはない。「自分が何が好きか分かりません。何やったらいいでしょうか。」と問われても、そんなことは答えられる訳はないし、興味もないし、自分にとっても時間の無駄。多くの人に会う場合にも、「「自分が何が好きか分かりません。何やったらいいでしょうか。」というような幼稚な質問をするのではなく、もう一歩捻った質問をするべき。
例えば以下のような質問はそこそこ有効。
- 自分自身のキャリアを決定づけるような本がったら教えて下さい。
- (ブログを書いてる相手であれば) ブログに書いてあることで疑問に思ったことを積極的に質問する。 (twitterも同様)
- あなたのロールモデルは誰ですか。
- 自分自身のキャリアの軸はなんですか。やらないと決めているものは何ですか。
- (ある程度自分の興味が言えれば) 私があって相談すると良さそうな人を教えて下さい。
ところで、キャリアを考えるにあたって、お勧めの本を良く聞かれるので、思いつくままにリスト化しておきます。このあたりの本を読めば、僕が答えられるようなことは大体網羅されているように思います。
世界級キャリアのつくり方―20代、30代からの“国際派”プロフェッショナルのすすめ
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まだまだありそうだけと、とりあえずまずはこのあたりで。