Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

2017年10大ニュース

あっという間に2017年も終わろうとしています。今年も色々なことがあった1年間でした。色々な意味で人生の転機だったかな。今年の10大ニュースを振り返ってみたいと思います。それにしても、我ながら、毎年人生の変化が多いと思います。僕は常に「今日は昨日までやれなかったことだけをやってみる」ことを心がけているので、毎年新しいことが多くなるのだとは思います。

今年1年でお世話になった皆様に深く感謝しています。ありがとうございます。

 

  1. 早稲田ビジネススクールに異動
  2. 「スター・サイエンティストと日本のイノベーション」プロジェクト始動
  3. 夜間主「技術・オペレーションのマネジメント」担当
  4. ゼミ始動
  5. UC San Diegoにて新プログラムのディレクターに就任
  6. 大学トップマネジメント研修のUC San Diegoプログラム
  7. 京都通い
  8. SFC中高と、サンディエゴ & 新カリキュラム委員会、
  9. JETROアジア研究所「アジアの起業とイノベーション
  10. シンガポールシリコンバレーUCLAボローニャ伊勢神宮、岡山、金沢、浜岡原発、福岡

 

1. 早稲田ビジネススクールに異動

今年の最大の変化は9月から早稲田ビジネススクールに異動したことだと思います。博士取得後のキャリアとして、ビジネススクールで教えるか、ポリシースクールで教えるかとっても迷い、でもやっぱり自分の今までの実績を評価いただいて、かつ自分がより貢献できそうなのはビジネススクールと思い、この決断を行いました。

ただ、実は行く前、そして行ってからもしばらくは、かなり緊張してました。早稲田ビジネススクールには、とっても素晴らしい先生が沢山いらっしゃって、僕自身の今の実力で通じるのか、と。"Am I good enough to be here?"と自問自答しながらのスタートでもありました。でも異動してから4ヶ月がすぎて、ここでの環境のセットアップも順調に進み、少しづつ自分が貢献できることが増えつつあるように思います。

今回の採用はテニュアの採用ということで、早稲田のルールだと70歳定年なので、これから30年間、この組織にいることができることになります。今までは、その意味でポジションが安定していなくて、毎年1年後今のポジションが継続できるかは分からないという中で過ごしてきたのですが、もう少し落ち着いた環境で、新しいことにチャレンジしていきたいと思います。

慶應出身で早稲田に行くことをびっくりする方も多かったのですが、いざ実際に来てみると、慶應と早稲田ってとてもカルチャーが似ている二つの大学ということが良く分かりました。そして、今の早稲田ビジネススクールが、世界でも有数に良い組織になっている理由は、出身大学に拘らずに良い人を集められているから。この環境に身をおいてみると、純血主義のカルチャーが残っているところが如何にどんどん弱くなっているか、そして更に純血主義だとその弱くなっていることにすら気づかないという環境、ちょっと怖い気がしています。

 

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2. 「スター・サイエンティストと日本のイノベーション」プロジェクト始動

昨年の秋くらいから、GRIPSにて隅蔵さん、斎藤さん、原さんらと立ち上げた「スター・サイエンティストとアントレプレナーシップ」プロジェクトが今年度から新たにJST-RISTEXのプロジェクト「スター・サイエンティストと日本のイノベーション」として採択されました。私はこの研究プロジェクトの研究代表(PI: Principal Investigator)として、関わらせていただきます。

RAもGRIPSの二人に加えて、早稲田でもRAを5人増やし、総勢13人のチームでプロジェクトを進めます。

今年は斎藤さんとの共著で一橋ビジネスレビューに、スター・サイエンティストのレビュー論文を掲載してもらったし、隅蔵さんが中心となって9月にはProf. Zucker and Prof. Darbyをお呼びした国際カンファレンスを開催することもできたし、色々な意味でこのプロジェクトの良いキックオフとなりました。

JST-RISTEXの最終面接は、ちょうど僕がサンディエゴに滞在しているときだったので、1泊3日で東京に出張するという強行軍だったのですが、無事に採択されて良かった。

 

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3. 夜間主「技術・オペレーションのマネジメント」担当

早稲田ビジネススクールに移籍して、この秋は授業をいくつか担当しましたが、その中でももっとも鬼門だったのは、夜間主の「技術・オペレーションのマネジメント」でした。

僕の専門は、どちらかというと「アントレプレナーシップ」で「技術経営」ではありません。「技術経営」は今まで教えたことのない科目でした。それに加えて、夜間主のクラスの平均年齢は35歳ということで、かなり実務経験豊富の方が集まっている。そんな中で、授業をうまくやっていく自信はあまりありませんでした。9月に授業が始まるときも、うまくいくかなぁ、と不安でいっぱい。本当に準備に沢山の時間を投入しました。

今回、全日制グローバルの授業を二つ担当し、それに加えてこの夜間主の授業。そして夜間主の授業は、土曜に2コマ連続で8週間という構成でした。つまり学期の前半は毎週4コマ分の授業を準備しないといけない。しかもそのうちの3つ分は新しく担当する科目です。そしてそれにもまして、僕はこの10年間くらい、英語でしか授業を担当したことがなかったので、日本語の教材も知らなければ、PPTもほぼ英語しか持っていない。準備の量は膨大でした。加えて、この時期にゼミの選考なども重なりました。

ということで、覚悟を決めて、この授業を担当している間は、出張は一切いれず、飲み会もほぼいれず、授業の準備に没頭しました。本当に夜遅くまで研究室にこもってました。それでも間に合わなくて、往復タクシーで異動してその中で作業をしたことも。人生でもっとも忙しく、もっとも大変な期間でもありました。

この授業には本当に優秀でやる気のある方々が沢山集まってくれました。毎週の授業のやりとりは刺激的で楽しく、準備のしがいがありました。今まで色々な授業を担当してきましたが、この授業ほど、自分が情熱をもってとりくんで、そして充実感を持てた授業ははじめてでした。

この授業にはTAの佐々木さん、平山さんが献身的に支えて下さって、お二人のおかげで乗り越えることができました。

 

 4. ゼミ始動

早稲田ビジネススクールMBAだけれども、ゼミをとても大事にしています。僕は夜間主総合と全日制グローバルのゼミを二つ担当することになります。実はちゃんとゼミを持つのははじめての経験で、かなりワクワクしています。全日制グローバルの方は留学生中心で英語でやっていて、すでにスタートしています。夜間主総合の方は来年の春からスタート。ただし、選考はこの秋にありました。

特に夜間主総合のゼミは限られた枠での募集となるので、自分のゼミをどんなカルチャーでどんなことを学ぶ場にするか結構考えました。積極的に自分が考えていることをシグナリングとして発信することも心がけました。結果的に、本当に優秀でやる気のある方々が集まってくれていて、今後の展開がとても楽しみです。

来年、最も情熱を傾けるものの一つはゼミになるのだろうな、と思います。

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5. UC San Diegoにて新プログラムのディレクターに就任

日本に戻ってからも引き続き、UC San Diegoは客員助教授として兼務し、夏学期は授業を持ち続けています。それに加えて、サンディエゴのエコシステムを研究するプロジェクトを立ち上げたり、スター・サイエンティストについても、サンディエゴに着いて調べたり、ということをやっています。

また今まで以上に最近は、サンディエゴのエコシステムと連携したプログラムを作りたいというご相談をいただくことが増えていて、私が所属しているビジネススクールの連携も増えています。

そういった日本とサンディエゴの連携のプログラムをもう少しフォーマライズした形にしたいということで、この9月にUC San Diegoのビジネススクールに "Japan - Science, Technology and Entrepreneurship Program" (J-STEP)を立ち上げ、私はこのプログラムのディレクターになりました。このプログラムは特別にオブリゲーションがあったりするわけではないのですが、私のやっている活動の受け皿として、広げていきたいと思います。

それにしても、最近本当にサンディエゴとの連携がますます増えています。

 

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6. 大学トップマネジメント研修のUC San Diegoプログラム

昨年から、内閣府上山議員がイニシアティブをとる「大学トップマネジメント研修」のお手伝いを部分的にしています。このプログラムの柱の一つは、UC San Diego研修です。これは僕がサンディエゴにまだいた頃に、上山さんからこういうプログラムを日本で作った場合、UC San Diegoの協力得ることが可能かというアイディアをいただいたことからスタートしました。その後、UC San Diegoでどういうチームを作ると良いかを考えて、具体的な作り込みにもかなり携わりました。このプログラムが今年はようやく実現。

3月には1期生のみなさま20人を2週間、8月には2期生のみなさま10人を1週間、サンディエゴにお連れして、UC San Diegoの大学の仕組みを色々と学びました。

日本の大学改革の中で、これからの経営を担うみなさまに、UC San Diegoがモデルの一つとしてイメージしていただくようになっております。この事業は来年度が3年目ということで最終年度ですが、その後もうまく広げて行くことが考えられれば、とも思っています。

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7. 京都通い

サンディエゴで親しく交流させていただいている櫻井さんから、京都大学医学部で産学連携に関わる寺西さんをご紹介いただいたことがスタートで、京都大学のHiDEPという、メディカル・デバイス (もしくは創薬以外のメディカルのビジネス)をデザイン思考などを活用して開発するプログラムに関わらせていただくことになりました。

この京都大学のプログラムは実際に手術を見学することを含めて、医学部・大学病院のことを深く学べるプログラムで、僕の興味とも合うものでした。最初は見学くらいからスタートのつもりだったのですが、後半はメンターとしての役割だったり、講義も担当させていただいたし、次の年のプログラムを一緒に考えるなど、かなり深く関わらせていただいております。

それに加えて、京都は僕にとって日本で最も好きな街の一つ。もっと京都に詳しくなりたいと思っていたので、4ヶ月くらいで10回くらい京都に通い、色々なところを見学したり、ネットワークを広げました。京都が日常生活の一部になったといってもいいくらいの頻度で通いました。

来年以降も、今年と同じ頻度は難しいと思いますが、ぜひ引き続きこのHiDEPお手伝いできればと思っています。

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8. SFC中高と、サンディエゴ & 新カリキュラム委員会、

シリコンバレーに住んでいた頃くらいから、母校である慶應SFC中高の先生方との交流が再び広がりました。先生方のシリコンバレー視察のお手伝いをしたことがきっかけでした。今年は私がサンディエゴにいるときに、視察にいらして、新しいプログラムの立ち上げなどについて議論しました。

その後、5月にSFC中高の新カリキュラム委員会という、今後のカリキュラムを議論する会議に呼んでいただいて、これから生徒が何を学んでいかないといけないかの私見をお話しさせていただきました。

その時の内容は、こんな感じ。

実はこれから発展して、来年はSFC中高の選択授業を春学期に担当させていただくことになりました。僕が高校の授業を持つのは、おそらくこれが最初で最後になるのではないかと思いますが。今までやってきたこのテーマが、また一歩広がりつつあります。

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9.  JETROアジア研究所「アジアの起業とイノベーション

ご縁あってJETROアジア研究所の「アジアの起業とイノベーション」の研究会メンバーに声かけていただきました。あまり様子が分かっていないまま参加したのですが、メンバーが素晴らしくて、とても色々な刺激をいただいています。僕は5年半アメリカにいたので、どうしても視点がアメリカに偏り、アジアが見えなくなってしまっていました。アジアをもっと学ぼうと思っていたので、とっても良いきっかけです。この研究会では海外視察の予算もいただけるので、来年はアジアの視察をもう少し増やして行こうと思います。

終わったあとはいつも、福嶋さんと笑笑にて、打ち合わせ。

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10. シンガポールシリコンバレーUCLAボローニャ伊勢神宮、岡山、金沢、浜岡原発、福岡

今年も海外出張は色々なところに行きました。色々な大学でセミナーで呼んでいただくことも多く、今年はシンガポール国立大学スタンフォード大学UCLAで発表しましたし、国際カンファレンスという意味ではボローニャ大学で発表しました。

僕は子供の頃にイタリアに住んでいたのでイタリアは思い出の地なのですが、今回仕事で初めてイタリアに行きました。イタリアに滞在したのはもう25年ぶりくらいなのかも。

大学の授業の負担が増えると海外出張にいく機会は減っていくのですが、でもこれからも色々なところに行きたいなと思っています。でも結局、1年の2ヶ月半くらいは海外で過ごしているような気がします。

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僕は日本の47都道府県で6ついったことがないところがありました。三重、和歌山、岡山、香川、徳島、宮崎。少しづつこれらの地域に行きたいと思っているのですが、今年は岡山と三重にいくことができました。岡山は出張。三重はずっと伊勢神宮に行きたいと思っていたので、京都出張の帰りに寄ることができました。後輩が案内してくれました。福岡は九大とのご縁で高田さんが定期的に声かけて下さって、いつもとても楽しく過ごさせていただいております。

その他、金沢の後輩のところを尋ねたり、GRIPSの視察で浜岡原発の見学にいったり、国内は京都がダントツ多かったですが、それ以外の地域に行くこともできました。僕の研究分野は日本の地方との連携もとても大切なので、色々と広げていきたいと思います。

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その他1: ジム通い

健康のためにジム通いを始めました。決して十分行けてるとは言えないのですが、長く続けていけるように頑張りたいと思います。


その他2: 家族

今年は祖父が亡くなったことを含めて、家族を失うことがあり、自分がどんな風に生きていきたいか、色々と考えさせられました。