Science, Technology, and Entrepreneurship

政策研究大学院大学助教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

「ウミガメのスープ」と水平思考ワークショップ

SIVラボでは、"Innovation, Creativity and Entrepreneurship"をテーマに様々なワークショップ開発や実施を行っています。来週のSIVSG合宿で新たにチャレンジしてみようと思うのが、「水平思考ワークショップ」です。

この元ネタとしては、以下の3冊の本があります。


ポール・スローンのウミガメのスープ

ポール・スローンのウミガメのスープ


ポールスローンの腕を送る男―水平思考推理ゲーム (ウミガメのスープ (2))

ポールスローンの腕を送る男―水平思考推理ゲーム (ウミガメのスープ (2))


ポールスローンの札束を焼く強盗―水平思考推理ゲーム (ウミガメのスープ (3))

ポールスローンの札束を焼く強盗―水平思考推理ゲーム (ウミガメのスープ (3))


水平思考とは、上記の本の「はじめに」によると以下のように定義されています。

最初に「水平思考」(Lateral Thinking)という言葉を使って、人が慣れ親しんできた直線的・前方向型の思考とは異なる思考法を提案したのは、エドワード・デ・ボーノ博士でした。

従来の推理法では、ひとつのステップから次のステップへ、順番に分析を進めていきます。ところが平思考では、このプロセスをあえて破棄することによって、抑圧から逃れます。その上で、ランダムで水平な、独特の思考を行うのです。


ちなみに、「ウミガメのスープ」が一番有名なクイズ。

ウミガメのスープ

男がレストランに入り、メニューから「ウミガメのスープ」を頼んだ。それを一口食べた彼はレストランを飛び出し、持っていた拳銃で自殺してしまった。

なぜだろう?


と、これだけだと具体的に良く分からないと思うので、具体的なゲームの進行方法を転載します。

「水平思考推理ゲーム (Lateral Thinking Puzzles = LTP)」は、出題者の出す謎を、解答者(3人から8人くらいが適当)がさまざまな推理を働かせて解くゲームです。

たとえば、「レストランでウミガメのスープを食べた男が自殺した。なぜ?」という問題を解いてみましょう。解答者は問題を解くために、出題者に対して、「はい」「いいえ」「関係ありません」の3つで返せる質問をできます。

(中略)

なぜ男は、自殺という極端な行為に走ったのでしょうか?

ほかの解答者が、ユニークな発想をするかもしれません。また自分の質問が、ほかの解答者にひらめきを与えることもあるでしょう。
(後略)


ところで、この「ウミガメのスープ」のクイズ、私が大学院生(修士)時代、佐藤雅彦先生の授業「創造メディア論」で、行ったことがあったことを思い出しました。そのときの設定は、この本の設定と結構違った気がします。そのときの出題における説明は以下の通りでした。

前提

  • このゲームは、あるMITの学生が考えたゲームで、実話をベースにしています。
  • 私が今からあるシチュエーションを皆さんに説明します。
  • 皆さんは、「はい」「いいえ」で答えられる質問は何をしても構いません。その質問を繰り返すことをで、このシチュエーションがなぜ起きたかを推理して下さい。


シチュエーション

ある日の夕方、ある男が自宅にいる奥さんに電話した。
男: 「今日は結婚記念日だね。今夜は二人で食事にいこう。」
奥さん: 「あら。結婚記念日を覚えていてくれたのね。うれしいわ。」
男: 「もちろんだよ。海辺のレストランを予約してあるよ。」

ということで、二人は夜海辺のレストランに向かった。そのレストランで、メニューを見ながら、男は「ウミガメのスープがあることを発見」。男は奥さんに「ウミガメのスープがあるね。これは本当においしいんだよ。」と言い、その他の料理と一緒に注文した。

その後、一番最初にウミガメのスープが出てきたので、男はそのスープをさっそく飲んだ。ところが、男はスープを一口飲んだ途端、発作的に近くにあったナイフで自分の胸を刺し、死んでしまった。

警察が現場検証や数々の調査を行い、自殺と断定。さて、なぜ男は発作的に自殺したのでしょう。


ヒント

  • この話はロマンティックな話です。

という訳で、授業で扱った内容の方が、大分奥深いクイズになっていると思いました。


さて、この3冊の本を読んで、意外と駄作なクイズも多かったのですが、第1巻に掲載されていたものから、特に良かったものを紹介しておこうと思います。

「長い長いロープ」

男が原っぱの真ん中で死んでいる。彼の隣には長いロープが落ちている。
男はいかにして死んだのだろう?

「マンホールのふた」

市議会は最近、すべてのマンホールのふたを四角形から丸形に変更することを決定した。
市議会というのはよくくだらない決定をするが、今回ばかりはきわめて正しい決定がなされたようである。
さて、マンホールのふたを丸くすることに、どんなメリットがあるのだろう?

「村一番のお馬鹿さん」

ある村の住民たちは、しましばその村一番のお馬鹿さんを相手に笑っていた。
彼はピカピカの50セントコインと、クシャクシャの5ドル札を差し出されると、いつも喜んで50セントを取るのである。
5ドル札は50セントの10倍もの値打ちがあるのに、なぜ彼はいつも50セントのコインを選ぶのだろう?

「忙しい病院」

セント・ジェームズ病院は、街中の交通事故のけが人を一手に扱っていた。街で起こる事故のせいで、病院はいつも大忙しだった。
法律でシートベルトの着用が義務づけられ、ドライバーや乗客がシートベルトをつけるようになったが、事故の頻度は変わらなかった。
そしてなぜか、病院には交通事故のけが人が今までよりも多く押し寄せるようになり、病院はもっと忙しくなってしまったそうである。
なぜだろう?

「無料でできた地図」

第一次大戦と第二次大戦の間の時代、イギリス政府は航空写真という新しい技術を使って、自国の正確な地図を作るべきだと考えた。
しかし、何回ものフライトや大量のフィルムが必要で、また写真をつなぎ合わせるのも大変な労力になるため、莫大なコストがかかるだろうという懸念があった。それでも終わってみれば、政府は一切出費することなくプロジェクトを完了することができたのだった。
なぜだろう?


という訳で、面白いクイズが沢山掲載されています。「なぜだろう?」と興味を持った方はぜひこの本、購入してみることをお勧めします。結構面白いです。

次はこういうクイズを自分で考えてみる、というのも良いワークショップのやり方かな、と思います。