Storytellingのすすめ - "STE Relay Column: Narratives" をどのように"Narrative"を学ぶ場にできるか
2月にWBSで開講された授業"Venture Capital Formation"で、担当のProf. Phil Wickhamが、「シリコンバレーの通貨は、お金ではなく"narrative"なんだ」、と言っていました。お金自体は希少性はなく、むしろ大事なのは、個々人がどんな"narrative"を語れるかが大切。"narrative"とは、"storytelling"と近い意味で使われる用語で、いかに自分のやろうとしていることを相手がempathyを持つ形で語ることができるのか、というような能力です。これからの時代の必須能力の一つだと思うのです。
「科学技術とアントレプレナーシップ研究部会」では、"STE Relay Column"という関係者が毎週自分のやっている活動を紹介する連載を行ってきました。これを今回”STE Relay Column: Narratives"と名称を変えて、より"narrative"にフォーカスを当てて行きたいと思っています。
この連載、実は全ての原稿、私が直接事前に読ませていただいています。特定の原稿の修正を求める、というようなことは特にしていないのですが、原稿として、物語性をどのように出して、読者に伝わる文章をどのようにかけるか、どのような表現が良いかなど、なるべく筆者の方にサジェスチョンしたりすることも可能な時はするようにしています。もちろん、もともとストーリーがまとまっていて、修正なしなことも多いのですし、トピックにも左右されるのですが。
タイトルからスタートして、読者にどんなメッセージを伝えて、どんな行動変容を期待するのか。これ自体がユーザ・エクスペリエンスそのものです。
そう考えていくと、この"STE Relay Column: Narratives"を執筆いただく方が、このコラムを書くプロセスで、storytellingについて学べるようなプロセスを組み込みたい。ゼミや授業でも、色々なツールや場を通じて、storytelling、narrativeの能力を高めていくことができるような仕掛けを考えていきたいと思っています。
まずは、教材集めから。
以下のKhan Academyの"The Art of Storytelling"はPixarが作成したオンラインのチュートリアルで、もっとも定番中の定番のようです。昨年サンディエゴに行った際にGreg Horowitts氏からお勧めされました。
その他、ハーバード・ビジネス・レビューでも日本語の論文が用意されているようです。この辺り、ゼミの必須文献にしてみようかな。
- ロバート・マッキー、「経営者は優れた語り手であれ - ストーリーテリングが人を動かす」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2004年4月
- スティーブン・デニング、「人々の想像を刺激するストーリーテリングの力」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2004年10月
- ピーター・グーバー、「ハリウッドの名プロデューサが教えるストーリーテリングの心得」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2008年3月