2016年を振り返って
皆様、今年1年も大変お世話になり、ありがとうございました。毎年、年末にその年の1年間を振り返って、10大ニュースをまとめています。今年も色々なことがあった1年でした。新しい環境の中で、とっても素敵な出会いがたくさんあって、特に新しい環境において、快く迎えて下さった皆様に深く感謝しております。最近、活動の幅が広がっていくと、今まで以上に多くの皆様にご迷惑をおかけすることも増えていて、反省が多い1年でもありました。
1. 日本帰国
今年最大の変化は何と言っても5年半住んだアメリカを離れて、日本に戻ってきたことだと思います。進路を決めるにあたっては、米国にもう少し残るか日本に戻るか、日本に戻る場合にはどういった形か、ということを最後の最後まで本当に悩みました。幸いなことに、いくつもの選択肢をいただいて、色々悩み、色々な方にご相談して結論を出しました。
日本に戻ってきて、自分がうまくやっていけるか不安があったのですが、思った以上に日本での生活も楽しいです。ただ、海外で頑張っていた頃の迫力が自分になくなっているという危機感も持っています。今海外で頑張ってる人と会うと、自分から「現役感」が失われていると感じることもあります。引き続き、気を引き締めて頑張っていかないといけないと思っています。
今回の帰国では、飛行機のアップグレードして、ちょっと贅沢して帰ってきました。
2. GRIPS助教授就任 / 研究室運用開始
今年の4月から政策研究大学院大学(GRIPS)の助教授になりました。慶應にいた頃も助手や助教をやっていたので、faculty positionは初めてではなく、自分の中では教員に戻ったという気分の方が強いです。ただ、はじめての国立大学で、教員としても独立して研究をしていく立場(米国でいえばPIになれるポジション)なので、新しい挑戦も沢山あります。
六本木の一等地のキャンパスで、とても広い個人研究室をいただきました。最初は広く感じていたのですが、家具や荷物がどんどん増えて、最近は随分汚なくなってしまっていますが。
3. 授業「科学技術とアントレプレナーシップ」
GRIPSで「科学技術とアントレプレナーシップ」という授業を担当しています。この授業は新規の授業で、私にとってもシラバス含めて授業構成をゼロから作るということで新しい挑戦です。この授業は私が専門としている研究分野と直結しているということで、本当に力を入れて授業準備をしました。この授業内容は本にもまとめたいと思っています。また授業には様々な方々が聴講でいらして下さって、この分野のコミュニティも生まれつつあります。
4. UC San Diego客員助教授&授業
日本に戻るにあたってどうしても嫌だったのが8月の東京の暑さ。とてもsurviveする自信がありませんでした。そんな中で、UC San Diegoで今まで教えていた授業を日本に戻ってからも継続して教えるお話をいただきました。本務先の了解も得て、夏学期はサンディエゴに住んで、引き続きビジネススクールで授業を担当しています。僕にとっては、日本に戻っても米国で教えられるチャンスは貴重で、これからも大事にしていきたいと思います。ちなみに今までは、「講師」として教えていたのですが、本務先で助教授ポジションについたことに伴い、UC San Diegoでのポジションも客員助教授となりました。日米両方で、これからも頑張っていきたいと思います。
5. 博士学位授与式
博士を取得したのは昨年でしたが、博士の学位授与式には出ていなかったので、この6月にサンディエゴに行って、参加してきました。レガリアもレンタルではなく購入しました。今後日本でも卒業式で必要に応じて着たいなと思っています。
6. SciREXコミュニティとの出会い / サマーキャンプ
日本では、科学技術政策の研究をしたいと思っていました。GRIPSは、SciREX (「科学技術イノベーション政策のための科学」)事業の総合拠点でもあります。GRIPS以外にも、東大、一橋、京大・阪大、九大の5拠点、6大学が相互に連携しています。このコミュニティに参加するようになって、他分野の方々と連携することが増えて、とっても刺激的です。特に各拠点の若手からミッドキャリアの研究者に優秀な人が沢山集まっていて、今後も一緒に研究していきたい人が沢山います。SciREX事業は、どんな形でグローバル性を高めていくか、研究・教育の水準をあげていくかといった課題はあるものの、今では僕にとってはすっかり愛着のあるコミュニティになっています。これからもこのコミュニティの発展に貢献していきたいと思います。
ところで、今年は一橋が幹事校であったサマーキャンプに運営メンバーとしても参加したのですが、この場がとっても楽しく、それがこのコミュニティに愛着を持つ大きなきっかけとなりました。
7. SFC中高つながり再び
最近すっかりご無沙汰していた母校である慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部(SFC中高)との関係が再び深まった1年でもありました。シリコンバレーにいる間に、SFC中高の後輩が色々な形でサポートしてくれたことは、母校への愛着を思い出すことのきっかけでした。そして何より、今年の1月にSFC中高教諭の尾上さん他がスタンフォードに視察で来訪して、色々なアポイントのコーディネートをお手伝いしました。これからの学校の新しい形を探っていくための視察です。その過程で、学校の未来のあり方、教育やカリキュラムのあり方などを先生方と議論する機会が沢山ありました。そして日本に戻ってからもそういった議論が続いています。
僕にとって、SFC中高の未来を議論の輪に参加することは、母校への貢献としてやりたいことの一つです。そして中高の教育のあり方を考えるということは必然的に、未来社会がどうなっているかを考えていくという思考訓練でもあり、SFC中高のためだけではなく、自分の様々な活動においてもとても大事な思考の土台となっています。
1月にSFC中高卒業生@シリコンバレーの交流会から始まり、色々な先生方と交流したり、SFC中高卒業生@六本木勤務者の交流会をやったり、卒業生の公演にいったり、本当に母校の卒業生・教員と関わることの多い1年間だったと思います。
8. 大学トップマネジメント研修
GRIPSでのプロジェクトとして、「大学トップマネジメント研修」に携わっています。これはサンディエゴにいた頃から少しづつ準備してきたもので、今年度ようやく形になりました。僕は、この研修の中でも「サンディエゴ研修」の責任者をしています。
「大学トップマネジメント研修」は一言でいうと、日本の未来の大学の経営者を育てるプログラムです。日本の大学は、色々な制度改革をしたけれども、まだまだ経営人材が足りないという問題意識が発端です。1年以上前に、UC San Diegoで海外研修を受けられるかと相談されたときに、色々悩んだのですが、UC San Diegoで30年近く地域連携担当の副学長をやっていたMary Walshokにコーディネートしてもらえるのであれば、UC San Diegoでやる意味があると思って、何ができるか動き始めました。
そんな訳で、昨年から仕込みを初めて、今年も夏のサンディエゴ滞在中はこのプログラムの中身をつめるミーティングを毎週のように行うなど、かなりのパワーを割いてきました。ようやくこのプログラムも形になりつつあります。
9. 日米の架け橋としての仕事
日本に戻ってきても、サンディエゴやシリコンバレーとの架け橋になるような仕事をしています。7月にはUC San Diegoの東京オフィスが開設しましたが、その側面サポートを色々な形でしてきました。11月にはStanford APARCの日本でのalumniのイベントをローカルホストとしてorganizeして、ネットワーク強化に努めました。その他、UC DavisのMartin Kenney氏、UC San DiegoのMary Walshok氏など、私が米国時代に交流の深かった方々が日本にいらした際に、こちらでのローカルホスト役などを務めています。
今まで仕掛けてきた日米連携が色々な形で具現化した1年でもありましたので、来年は更に発展させていきたいと思います。
10. 宮井克己さんのご逝去
サンディエゴでずっとメンター的にお世話になっていたUC San Diegoの医学部名誉教授の宮井克己さんが癌になられたということを7月にお聞きしました。本当は8月のサンディエゴ滞在中には、宮井さんの研究室に遊びにいって飲みながら色々お話させていただくつもりだったのですが。。8月の滞在中にご自宅にお伺いして二人切りでゆっくりお話させていただく時間をいただきました。そして、この11月にサンディエゴにて亡くなられた、というご連絡をいただきました。
僕は宮井さんから学んだことが沢山あります。サンディエゴで辛いときも、宮井さんのようなダイナミックな人生を過ごされた方が近くにいたことはとても大きな精神的な支えでした。亡くなられた後に改めて宮井さんの存在の大きさをかみしめています。
おまけ1: ドローン
この夏のサンディエゴ滞在中に新しいことをやりたいなと思って、ドローンを購入して操縦できるようになりました。3D Robotics + GoProというサンディエゴ関連ベンチャーの組み合わせです。
おまけ2: 自作ビール
この夏のサンディエゴ滞在中に新しいことをやりたいなと思って、自家製ビールを作りました。結構おいしくできた。"Miramar"となずけました。