Science, Technology, and Entrepreneurship

政策研究大学院大学助教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

2016年「新年の抱負」- アカデミアとしての基盤作りのために

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あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。さて、毎年年初に、その年の目標を決めて宣言しています。以下が、過去14年の目標です。毎年よくこれだけ続いているな、と思います。

 

2015年 「腹回りのダイエット」

2014年 「博士のマーケットに出て、ポジションを得る」

2013年 「アメリカのアカデミアのスピード感の中で猛烈に研究する」

2012年 「アメリカのアカデミアにおいて実績を出す」

2011年 「ワークライフバランスを身につける」

2010年 「自分にとってのディシプリンプリンシパルを身につける」

2009年 「海外進出」

2008年 「博士取得に専念」

2007年 「組織としてのマネジメントを学ぶ」

2006年 「マネジメントにおけるリーダーシップを身につける」

2005年 「多数の学会発表、論文の執筆を行う」

2004年 「ネットワーキング理論に強くなる」

2003年 「財務に強くなる」

2002年 「意思決定における公平性を身につける」

 

達成できた年もできなかった年もあるし、でも割とその年に達成できなくても数年以内には大体できているような気がします。でも昨年の目標「腹回りのダイエット」はちょっと悲劇的に達成できなかった気がします。これでも、フィットビット買って、歩く量を気にしたり、腹筋用の器具を買ったり(買っただけで満足したという噂もある)、体重計頻繁にのって体重を気にしたり、全く努力をしなかった訳ではないんです。まぁ、前向きに解釈するとすれば、こうやって気にしていたから悪化だけは食い止められたという気もしています。ちょっとこの目標は引き続き、気に留めながらがんばっていこうと思います。

 

それで今年の目標については、結構悩みました。今年は色々と生活環境が変わることが見込まれるので、新しい環境に慣れていくことも目標だし。昨年色々なプロジェクトの中で、どんな人とチームを組むか、特に自分の仕事の方向性に会うメンバーとチームを組むこと、多様なバックグラウンドを持つ人の協働の場をつくることの難しさを身を以て体験したこともあるので、人を見る目をもっと養うということも課題だし。日米での仕事が増えていくのでそれをどうやって両立して、かつ相乗効果を出すかも大きな課題です。また、せっかく博士をとり終わって、研究以外のことにも目を向けられるフェーズになったので、アカデミアの知見を実践に活かしていく、というのも目標だし。でも自分のキャラクターを考えたら、いずれにしろ実践の比重は増えていく一方なので、いかにアカデミアとしての実績を増やしていくことの方が大事のようにも思うし。

 

という訳で、ここ数年ずっとやろうと思ってやれていなかった目標として、本を出版するというのがありました。特に、アントレプレナーシップイノベーションの研究のとっても先端的な分野をかなり色々学んでいるので、そういったことをまとめた本を書いてみたいなと思っています。この目標、今年1年で達成できるか分かりませんが、少なくとも今年1年で基盤は作っておきたいと思います。

 

2016年の目標: 「本を出版する」

 

 

2015年を振り返って

2015年も終わろうとしています。この1年は自分にとって、色々と変化の大きな1年でした。今年も例年と同じように、10大ニュースとしてまとめてみようと思います。

 

1. 博士を取得

やはり、今年最大の出来事は博士を取得したことだったと思います。大学生の頃から自分はいつか博士をとるんだろうなぁとおぼろげながら思っていて、慶應で仕事している頃に博士課程に通いはじめましたが、その後やっぱり米国で博士をとりたいと思い、2010年に渡米しました。渡米してからも、コースワークは本当に大変で、いつドロップアウトするかという恐怖の中での日々でした。そんな訳で、長い期間かけてようやく博士を取得できて、ほっとしています。博士取得にあたって本当に沢山の方々にお世話になりました。ありがとうございました。

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2. スタンフォードに移籍

博士取得後のキャリアをどうするか、実は色々な選択肢がありました。サンディエゴでやりたいと思うことが色々あり、現実的に残る話もあったし、日本の大学からもお声をかけていただくようになっていたし、米国でのキャリアを歩んでいくことも可能なラインですし。そんな訳で、僕がUC San Diegoで博士を取得して、その後スタンフォードに移ったというのは、表面的に見ればとても順調なキャリアに見えるかもしれませんが、自分の中では悩みに悩んだ選択でした。スタンフォードに移籍する機会を作って下さった皆様に御礼申し上げます。

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3. 科学技術・学術政策研究所国際客員研究官に就任

4月1日付けで、科学技術・学術政策研究所の国際客員研究官に就任いたしました。米国でのポストと同時に日本国内でのポストです。こちらは非常勤で、日本の科学技術政策に関わる研究活動を推進します。私のように日本に関わる研究をしている者にとって、日本の組織に研究の足がかりがあることはとても重要です。このポスト就任にあたってご尽力下さった皆様に御礼申し上げます。

 

4. 藤原洋さん UC San Diego EmPAC Fellow

自分がサンディエゴにいる間に色々と仕掛けたいと思ったことが沢山ありましたが、その一つが、自分が慶應にいたときのネットワークを活用しながら、サンディエゴのエコシステムへの刺激を生み出すことでした。自分が慶應にいた頃のネットワークを振り返って、どなたがサンディエゴのエコシステムと会うかということを考えたときに浮かんだのが、ブロードバンドタワーCEOの藤原洋さんでした。藤原さんには、慶應のインキュベーションの仕事をしている頃にお世話になっていましたし、僕が渡米するときには個人お別れ会もしてくださいました。という訳で、2週間、UC San DiegoのEmPAC Fellowとしてサンディエゴに滞在して下さって、色々なプロジェクトをご一緒させていただきました。その後の発展が楽しみです。

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5. サンディエゴ産学連携プロジェクト

今年いらして下さった藤原洋さん、昨年いらして下さった鈴木寛さんとの交流が、サンディエゴのエコシステムにとって色々な意味での起爆剤となって、サンディエゴを基盤とした産学連携プロジェクトが生まれました。色々なご縁が重なって5月にはUC San DiegoとJSPS(日本学術振興会)との共催イベントのコンセプト作りにも携わることができたし、そういった活動がきっかけとなって、サンディエゴ内外の多様なグループとのネットワークが広がりました。

実はサンディエゴを離れてからもそういったネットワークが有効に生きていて、来年以降もサンディエゴで色々なプロジェクトに関わることになりそうです。またUC San Diegoにおいても新たなポジションに就くことになりそうです。

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6. サンディエゴでの送別会

サンディエゴは9月中旬に引っ越したんですが、とっても多くの皆様がfarewellを開催して下さいました。合計で4回のお別れ会を開催して下さいました。自分の人生の中で5年間サンディエゴに住んだことはとっても大きな財産です。特にここで出会った方々との今後の関係が今後も色々な形で続いて発展していくだろうと思います。

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7. NBER Entrepreneurship Boot Camp

NBERという米国の経済学の研究者が集まる研究組織があるのですが、そこの若手育成のプログラムの選抜に選んでいただいて、1週間弱ボストンにいってきました。テーマはアントレプレナーシップということで、アントレプレナーシップに関わる論文を沢山読んで議論をしました。この分野の先端的な研究の概要を把握できたと思うので、その知見を色々な形で日本にもフィードバックしていきたいと思っています。

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8. シリコンバレーでの新たな出会い

シリコンバレーに9月に引っ越しました。もともとシリコンバレー慶應の仕事をしていた頃から頻繁に通っていた場所なので、もともとそれなりに人的ネットワークを持っている場所です。ですから、新たに移ったというよりも、戻ってきたという気持ちになるときもあります。とはいっても新たな出会いも沢山あります。こういった方々と出会えたからこそ、シリコンバレーに移ってよかったと思える出会いが沢山ありました。こっちに引っ越して、たった数ヶ月しかたっていないのに、色々な会の幹事をやらせていただいたり、とっても態度でかいというか、荒らしまくっているというか。でもこんな状況でも皆さん快く受け入れて下さるのが、やっぱりシリコンバレーなんだと思います。

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9. 妹の結婚式@ハワイ

妹の結婚式が6月にハワイでありました。久々に家族や親戚とゆっくり話す機会もあり、何よりハワイという場所の素晴らしさを知る良い機会でした。うちの家族は、僕以外みんなハワイに住んだことがあり、思い出の場所で、なんとなく僕は距離感を感じていたのですが、ようやく。

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10.  未来へ向けた意思決定と基盤作り

ネット上ではまだあまり詳しいことを申し上げられないのですが、自分のキャリアについてある一つの意思決定を今年の6月くらいにしました。グローバルな環境で仕事をしていくという基本路線は変わらないのですが、中長期的に日本との関係をどのように築いていくかということに関する意思決定です。その意思決定に基づいて、特に今年の後半は色々な形で動きました。今後のステップについては、今色々な仕事を抱えていて複雑なので、もう少し整理しないといけないのですが、随分形が見えつつあります。

この1年間でお迎えしたゲスト - もう何人来たかも数えられない。。

サンディエゴに来てからのゲストをブログでご紹介してましたが、よくみてみたら最後に更新したのは、去年の9月でした。そのときまでに47人のゲストが来ていたと記録されてます。さて、この1年、本当に収拾がつかないくらいたくさんのゲストがいらっしゃいました。思い出す範囲で備忘録兼ねて。漏れてたらごめんなさい。

もうとても人数など数えてる状況ではないです。この1年でいかに色々な人的交流がサンディエゴで生まれたかが良く分かります。まさに僕にとって、サンディエゴの集大成の1年でした。

 

2014年10月には、SFC後輩のあっきー来訪。

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10月下旬から11月上旬にかけては、UC San DiegoのEmPac Fellowとして、鈴木寛さん来訪。

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鈴木寛さんがいらしてるタイミングにあわせて、昔サンディエゴにすんでいた藤本さんがワシントンDCから来訪。

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年明けて2015年1月には、田路さん、福嶋さんが調査で再び来訪。ちなみに田路さんは3回目になるんだと思います。写真は、福嶋さんと二人でワイナリーにいったとき。

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2月上旬に、昔一度サンディエゴ三田会で出会ったLA在住の春木君が来訪。ここでその後色々と交流につながる、日本から出張中の新崎君を紹介されました。

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その翌週には、RodさんとShigeyaさんがサンディエゴ来訪。学会でいらっしゃったということでディナーをご一緒に。今思うと、このときにお二人が、5月のイベントにいらしていただくという話の方向性が見えたのでした。

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2月中旬には、5月のイベントの打ち合わせのためにJSPSサンフランシスコオフィスの皆さんが。2次会ではダウンタウンのバーに飲みにいきました。

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2月下旬には、藤原洋さんが2回目のサンディエゴ視察ということで来訪。今回ブロードバンドタワーの方や、FVCの方を伴って来訪。

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FVCの皆さんと。

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藤原さん滞在中に、裏では、三菱地所でご一緒してた平川君が出張で来訪。二人でバーにいきました。f:id:kanetaka:20150819164708j:plain

 

そしてその後、鈴木寛さんが再びサンディエゴに来訪。今回は東大の学生を伴ったバイオメディカルイノベーションの視察でした。

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そして鈴木寛らん来訪にあわせて、KBCの学生たちもサンディエゴへ。写真はFVCの人たちと一緒にティファナへいったとき。

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3月上旬には樺澤さんが、大阪大学の仕事でUC San Diegoへ来訪。樺澤さんは何回目の訪問だろう。

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翌週には、阪大の兼松さんともディナーへ。f:id:kanetaka:20150819165128j:plain

 

4月頭にはRady OBの山本しんちゃんが出張でサンディエゴへ。

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4月上旬には、UC San Diego EmPac Fellowでいらした千本さん。IR/PSとしてお呼びしたゲストで、便乗させていただいて、ディナー等をご一緒させていただきました。あとサンディエゴ動物園のサファリパークにも。

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そして、千本さんがお帰りになるタイミングで、藤原さんが3回目の視察ということで来訪なさいました。千本ご夫妻と藤原さんと4人でディナー。

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藤原さん3回目の視察のときの内輪でのmixer。

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5月上旬には、カンファレンスでいらしてるということで、東北の竹井さん。谷川さんのご紹介でお会いすることができました。二人で一緒にダウンタウンのバーへ。

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その翌週には、ユーグレナがUC San Diegoと共同研究を始めたということで、担当の方に友人経由で紹介してもらったところ、取締役の鈴木さんがちょうどいらしているということでディナーをご一緒に。

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そして5月中旬から下旬には、藤原洋さんがUC San DiegoのEmPac Fellowということで2週間強滞在なさいました。

写真は、ティファナの3D Roboticsにて。

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特に、UCSD/JSPSイベントの際には、本当に色々な方々がゲストとしていらっしゃいました。僕の研究、分野に関わるという方々という意味では、AMED理事長の末松さん。少人数で、末松さんにとってのサンディエゴでのメンター的存在である宮井さんとディナーをさせていただきました。その他、GRIPS/NISTEP隅蔵さん、Rodさん、Shigeyaさん、樋原さん、樺澤さんなど、今まで、サンディエゴというキーワードで交流させていただいた多くの皆様が、このイベントにはいらっしゃいました。WIDEの江崎さん、ピアニストの山岸さんも藤原さんが呼んで下さって、楽しい時間を過ごさせていただきました。ブロードバンドタワーやFVCの皆さんも。日銀元総裁の白川さんもいらしていて、1年ぶりにご挨拶をさせていただきました。

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藤原さんのFellowとしての滞在中、一瞬シカゴにいらしてる間に、千葉商科大学の橋本さんが、UCLAからサンディエゴに遊びにいらっしゃいました。寿司大田にご一緒に。

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藤原さんのFellowとしての滞在期間の後半には、KBC OBの石崎しんや君が、卒業旅行的(?)にサンディエゴに来訪。彼も何回目だろう。3、4回は来てると思います。

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6月に入ってからは、以前にサンディエゴに赴任していた友人が出張でサンディエゴに来てランチ。ご本人の希望により、これは誰かは内緒。

 

6月上旬に、九州大学の谷川さんが、QRECセンター長の後任の方とご一緒に来訪。こちらでのアポイントのアレンジをお手伝いしました。谷川さんも3、4回いらしているんじゃないかと思います。

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7月には、オハイオ州立大学の博士課程に留学中の吉本郁君が来訪。彼とは2年前にミシガンの夏期プログラムで知り合いました。

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7月中旬には、藤原洋さんのプロジェクトを進めるために、ブロードバンドタワーの方々が再び来訪。

 

その翌週は、サンディエゴに在住していて、今はダラスにいる新井君が来訪。

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7月下旬にはRodさんのご紹介で、祖父江さん来訪。同じ興味・関心を共有しているということでずいぶん盛り上がりました。

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8月上旬には、シリコンバレーでずっと働いていらして、ずっとお目にかかりたかった小野さんがサンディエゴにいらっしゃって、奥村さんが調整して下さって、ディナーをご一緒しました。

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8月中旬には、東京大学の合田さんがサンディエゴに学会でいらっしゃってるということで、松崎さんのコーディネートの飲み会に便乗させていただきました。

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こうやって振り返ってみると本当に激動の1年でした。そして、ずいぶん多くの方にあってます。ゲストの方の中には、僕がサンディエゴにいることがきっかけでいらした方もいれば、他のきっかけでいらしてご紹介いただいて交流をさせていただいた方もいます。こういった皆さんとサンディエゴで交流させていただくにあたって、本当に多くの方々に支えていただきました。感謝しています。

 

やっぱりこうやって1年を振り返ると、僕が後1ヶ月でサンディエゴを去るというのは、ある種のサンディエゴのコミュニティの一部にとって、「一つの時代の終わり」なのかな、という気がします。これから、どんな新しい時代が始まるのか、とても楽しみです。

 

という訳で、defense準備の現実逃避にちょっと最近のゲストをまとめようと思ったら、すさまじい量で随分時間かかってしまいました。ま、defenseのスライドは完成しているので良しとしましょう。

NBER Summer InstituteのEntrepreneurship Working Groupに参加しました

NBER Entrepreneurship Boot Campの参加者は、NBER Summer Instituteの中でEntrepreneurship Working Groupに招待されました。

WGプログラム: http://conference.nber.org/confer/2015/SI2015/PRENT/PRENTprg.html

全体プログラム: http://www.nber.org/sched/si15

 

アントレプレナーシップに関する研究の先端を把握するためにとっても有益でした。研究プレゼンテーションと共にdiscusstantのプレゼンテーションも鋭い指摘が多く、とても学ぶことの多い場でした。

 

発表テーマは以下の通り。

特に最初の発表は僕の研究ととても近い分野でした。

 

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NBER Entrepreneurship Boot Camp に参加中

今週は、NBER Entrepreneurship Boot Campに参加するために、ボストンにきています。

米国には NBER (National Bureau for Economic Research、全米経済研究所)と呼ばれる民間の経済学の研究組織があります。米国中の優秀な研究者が集積している研究組織といって良いかと思います。多数の米国の大学教員がこの研究機関を兼務しています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/全米経済研究所
http://www.nber.org/

この研究組織は色々な分野を扱うのですが、そのうちの一つがアントレプレナーシップ。毎年、NBER Entrepreneurship Research Boot Campという若手 (博士学生・ポスドク・アシスタントプロフェッサー辺り)を対象にしたこの分野の研究の最新動向を学ぶためのキャンプがあります。少人数でのセミナーで、カフマン財団が旅費・宿泊費等を負担してくれます。今年は主催者曰く例年以上にcompetitiveだったようなのですが、おかげさまでacceptしてもらえることができました。

カンファレンスのスケジュールは以下のリンクの通りで、5日間のcampのために60本の論文を事前に読むことが事前課題となっています。Josh Lerner、Ajay Agrawal、Scott Sternを始め、僕の研究分野でのスター教授が集まっている場なので今からワクワクします。このコミュニティは僕の分野において、本流中の本流です。

プログラム: http://conference.nber.org/confer/2015/ERBCs15/program.html

僕は経営学のバックグラウンドなので、今回のように経済学の方々からも認めてもらえるのはとても嬉しいことです。米国においても、研究実績が認めてもらえるようになってきたことを実感します。

アメリカに来て、僕の分野のトップの研究者との交流を深めていきたいと考えていましたが、着々とその環境が実現しつつあります。

ちなみに、このcampに参加するにあたっては、事前に60本近くの論文を読み込んでいくことが条件です。印刷した論文を全部つむと以下のような感じになります。どの論文もとても面白くて、"State of the Arts"という感じです。この内容をうまく日本に伝えるような本を書けるかも知れないなと思いつつあります。

 

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留学中の学業・研究の実施状況 (9) - 2015年4月13日

半年に一度、奨学金財団の方に報告書を送信しています。こういった報告書はなるべく広く公開した方が有益だと思うので、ブログにもuploadしておきます。

 

留学中の学業・研究の実施状況 (9)

2015年4月13日

 

 

学業・研究関連

【研究】

博士候補になって以降は、研究活動が生活の中心です。2015年夏の博士取得を目指してラストスパート中です。博士論文に関連して、大きく (1) 大学の技術移転に関する研究、(2) 大学病院のオペレーションに関する研究、(3) カリフォルニア大学発ベンチャー企業の成功要因に関する研究、の3つに分かれます。

 

[大学の技術移転に関する研究]

  • Prof. Vish Krishnanとの共著。
  • 査読の結果に基づいて、大幅に加筆・修正しました。私の方での分析は終わり、現在共著者であるアドバイザが最終の校正をしています。近いうちにtop journalに投稿予定です。

 

[大学病院のオペレーションに関する研究]

  • Prof. Vish Krishnan他との共著。
  • Revise and Resubmitのステータスであり、現在修正中です。データ分析の方は完了し、現在共著者であるアドバイザが最終の校正をしています。近いうちに再度投稿予定です。

 

[カリフォルニア大学発ベンチャー企業の成功要因に関する研究]

  • Prof. Martin KenneyとProf. Vish Krishnanと共同でプロジェクトを推進しています。
  • 2014年12月に政策研究大学院大学において研究発表を行いました。
  • 分析の大枠は完了しており、現在ワーキングペーパーを執筆中です。

 

その他、以下のプロジェクトに携わっています。

  • 日本のエンジニアのモビリティに関する研究を Prof. Ulrike Schaedeと共同で推進しています。学生のアシスタントによるデータ解析中です。
  • 博士取得後の研究テーマでもある”Science of Science Policy”のプロジェクトの立ち上げを現在行っています。日本の科学技術費の有効性を検証するための研究プロジェクトです。
  • サイエンティストに対する起業家教育のプロジェクトに携わっています。

 

【教育関連活動】

2014年秋学期は、IR/PS (国際関係大学院)の”Strategy and Negotiation”というクラスのTeaching Assistant (TA)を行いました。他学部のTAは初めてで視野を広げる意味でとても良い経験になりました。特に10チームの企業コンサルティングのアドバイザとしての役割は学ぶことが多数ありました。

2015年冬学期は、引き続き、”Lab to Market”のTAを担当しました。

 

【授業】

研究に専念しているため授業は原則として履修していません。唯一自分の英語力の向上を目的に、エクステンションの”Grammar and Editing”という英文法を学ぶ授業を履修し、とても有益でした。

 

【収入基盤】

現在、Rady School of Managementからの奨学金(返済不要)及びTeaching Assistant (TA)の給与等により、生活費・学費を賄っています。また2015年1月からは、アドバイザの配慮により、TAに加えてResearch Assistant (RA) でも雇用されたので、金銭的には大分余裕が出ました。この夏は、Radyからの奨学金に加えて、昨年度と同様学部の授業を担当する予定です。

 

【進路】

2015年9月を卒業見込みとして、次のポジションを探していましたが、現在、新しい研究プロジェクトを立ち上げることにより、来年度はそのプロジェクトにおいて雇用される見込みとなっています。その他昨年担当した授業の評判が良かったため、講師として来年度以降継続的に雇われることになりそうです。

 

 

課外活動

UC San Diegoの国際関係大学院IR/PSのEmPac (Center on Emerging and Pacific Economies)のfellowとして、鈴木寛氏 (元参議院議員、元文部科学副大臣)を推薦し、10月末から11月頭にかけて、サンディエゴにお迎えしました。鈴木寛とはサンディエゴと日本を結ぶ新しいプロジェクトの立ち上げをご一緒しています。

同様に、この5月には藤原洋氏 (株式会社ブロードバンドタワー社長)がEmPac Fellowとしてサンディエゴにいらっしゃる予定です。藤原洋氏とは、サンディエゴを基盤とした産学連携プロジェクトの立ち上げをご一緒しており、来年度もご一緒する予定です。

 

 

 

IoTとサンディエゴとBaja California Mega Regionの話

 

最近、藤原洋さんをUC San Diego EmPac Fellowとして5月にお迎えするにあたって、サンディエゴでのIoTビジネスの可能性について色々と調べています。実は調べてみると、結構色々な可能性があって面白い。IoTといってもとても幅広いのですが、まずは3Dプリンタやデジタルファブリケーションの話から。

 

ロングテール」等で有名な元Wiredの編集長を勤めていたクリス・アンダーソンが設立した会社"3D Robotics"の本社はサンディエゴにあります。もともとはロボットをオープンソースで作る会社ですが、最近はドローンでも有名です。なぜこの会社がサンディエゴにあるか、その理由は、サンディエゴだけでこの地域のイノベーションエコシステムをとらえては駄目で、Baja California Mega Regionとして捉える必要があります。

 

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Why Tijuana - CaliBaja Mega Region for Manufacturing | Tijuana Economic Development Corporation より転載。

 

サンディエゴというのは、カリフォルニアの最南端に位置します。ダウンタウンから車で20分も走ればメキシコの国境です。その国境を超えるとティファナという街があるのですが、国境を超えると人件費が安いので、工場が沢山あります。関税の優遇もあるので、製造業はティファナで製品を製産し、アメリカで販売ということをやっています。なぜ、ソニーや京セラをはじめ、日本の製造業の多くがサンディエゴにブランチを持っているかといえば、ティファナの存在があるからです。

サンディエゴとティファナを含めた地域は、 Baja California Mega Regionと呼ばれています。この視点で、イノベーションのエコシステムを捉えると、IoTに関する可能性が沢山見えてきます。

 

クリス・アンダーソンの「メーカーズ」には、サンディエゴとティファナの話が頻繁に登場します。

 

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

 

 

クリス・アンダーソンは、"3D Robotics"の法人化にあたり、ティファナ出身の若者ジョルディをCEOとして迎え入れる。

 

今日、ジョルディは、サンディエゴに再先端の工場を持つ数百万ドル規模の企業、3Dロボティクスの最高経営責任者(CEO)だ。いま現在、まだ二四歳という若さである。 

 

なぜ、ティファナ出身の若者が、サンディエゴを本拠とする企業のCEOになったのか。アンダーセンは以下のように説明する。

 

1 ある賢い若者がいた。彼はアメリカ生まれではなく、英語もそれほど上手ではなく、学業優秀でもなかったが、インターネットにはアクセスできた。好奇心とやる気のあるその若者は、史上最高の情報源を利用して、独学で世界最先端の航空ロボティクス専門家になった。彼はただ自分の情熱に従っていただけだが、その過程で「グーグル博士号」ともいえる知識を身につけたのだった。 

2 僕がみんなの反対に逆らって航空ロボティクスの会社を立ち上げることを決めたとき、自分が知る限りこの分野でいちばん優秀な人物と組んだ。履歴書を見せてもらおうなどとは思いもしなかったし、そんな必要はなかった。 彼はだれにも作れないものを作って、実力を証明していたからだ。  

3 コミュニティの大きな支えと、度胸と、またもやグーグル検索の力を借りて、ジョルディは電子機器製造と生産管理の基本を学んだ。彼は、アメリカ人とティファナ出身のメキシコ人の優秀なエンジニアを採用し、ほぼ全員二〇代の混合チームを作った。 彼らもまたジョルディと同じように、オンラインで研究を調べたり人に聞いたりして必要なことをすべて学んだ。一八カ月後、彼らは世界に通用するロボティクス工場を運営していた。 

 

そして、サンディエゴとティファナの関係、コスト面での競争優位性を以下のように述べている。

 

たとえば、サンディエゴの3Dロボティクスの工場は、ライバルの中国工場とほぼ同じ価格で製造装置や電子部品を買っている。労働者の賃金は僕らの方が高いが、その差は縮んでいる。サンディエゴでは時給一五ドル(月給二四〇〇ドル)程度だが、多くの大手企業向けに iPhoneiPad といった電気製品を製造する中国の巨大製造企業フォックスコンでは、月給はおよそ四〇〇ドルほどだろう。競争と技術力の向上、また労働者保護の圧力から、深センの人件費はこの五年間に五割も上がっているが、欧米の製造企業ではほぼ横ばいのままだ。

 

サンディエゴ工場からたった二〇分の場所にあるメキシコはティファナの新しい3Dロボティクスの工場の給料は、アメリカの半分(月給一二〇〇ドル)で、中国のちょうど三倍にあたる。たとえば、二〇〇ドルの自動操縦基板の場合、メキシコ製と中国製の人件費の違いは一ドル足らずで、製造コストのおよそ一パーセント(小売り価格の〇・五パーセント)にすぎない。賃料や電気料金といったその他のコストは、さらに中国の水準に近い。 

 

更に、アンダーソンは、3Dロボティックスのチームメンバーについて以下のように述べる。

 

チームメンバーの大半がティファナ出身であることは、この際記しておく必要があるだろう。そこに住む若い世代の起業家の目を通してこの街を見るようになった僕は、ティファナが多くのアメリカ人がイメージするような麻薬戦争の現場やテキーラばかり飲んでいる土地ではなく、 ハイテク製造業の街であることがわかった(アメリカ人が買っているフラットスクリーンテレビのほぼすべてがここで生産されている)。ここ数十年のあいだにTJ(ティファナ)で育った若者は、サンフランシスコからサンディエゴへと延びる、カリフォルニアのハイテク地帯の一部を担っているともいえる。 サンディエゴの国境から 20 分のその場所で、彼らはすべてのテクノロジーに、しかもほんの少しのコストでアクセスできる。香港と深センの関係と同じようなもので、国境を超えると低いコストで同質の労働力を手に入れることができるのだ。 

 

サンディエゴイノベーションを生み出す力と、ティファナの製産拠点としての競争力。そして、ティファナから自体が「ハイテク製造業」人材の生まれる場となっている。これ、サンディエゴとBaja California Mega Regionが、IoTの発展にとって、いかにexcitingな地域か、ということがとっても良く分かります。