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Science, Technology, and Entrepreneurship

政策研究大学院大学助教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

組織を超えて、世界のどこにいてもつながり続ける、信頼関係 - 谷川さん、来訪-

イノベーション


サンディエゴに引っ越してから5人目のゲストは谷川徹さんでした。谷川さんは九州大学の教授で、1月にキックオフイベントのあった、九州大学ロバートファン・アントレプレナーシップセンターの所長にも就任なさいました。


僕と谷川さんの出会いは2004年7月のシンガポールで開催されたREE ASIAのカンファレンスでした。それ以来、国内外の様々なカンファレンスでお会いし、情報交換をさせていただく仲になり、九州大学にも3回呼んでいただいています。


僕がSIVの活動の中で最も親しくさせていただいてきた、同じ分野で活動する日本人のお一人です。日本で数少ない、大学のイノベーションやアントレプレナーシップをGlobalizeできる方です。僕にとっては、イノベーションやアントレプレナーシップをグローバルな観点から、「本音ベース」で話せる数少ない日本人の方です。SIV Relay Blogに私との出会いからその後の関係について書いて下さいました。

2000年から2年間スタンフォード大学に籍を置き、ハイテクベンチャーを次々に生み出すシリコンバレーのカルチャーやスタンフォード大学のシステムを研究していた私は、九州大学で産学連携や地域、大学からの起業支援の仕事をしているのだが、より多くのヒントを得たくて4年前の第一回REE Asiaに参加した。シンガポールで開催されたこの会合には、日本からは私を含めて4人のみの参加だったが、そのとき初めて会ったのがSIVの牧さんだった。色浅黒くやや茶髪で若い牧さんの第一印象は“今風の軽いノリの若造”と言う感じで、とても慶應大学のインキュベーションを代表するSIVを実質的に引っ張る凄腕事務局長とは見えなかった。


ところがこのとき飛び込みで、慶應のインキュベーションシステムの試みを堂々とプレゼンし、参加者から注目されたところから私の彼に対する印象、評価は徐々に変わっていった。すなわち産学連携、ベンチャー支援という同じフィールドにいることもあって、その後、国内外の学会や起業支援関係の各種催しで頻繁に彼に遭遇するようになったのだが、そのいずれでも彼はSIVの活動を積極的に広報し目立つ存在であった。またそれにも増して驚いたのは、そのSIVの活動内容が毎年質量ともに拡大・発展していることであり、そのような活動を実現してきた、彼の小柄な体に秘めた強力なエネルギーと意欲に感嘆したのである。産学連携関係の集まりにおいては、およそ“ベンチャー“とは縁遠そうなオジサンが多い中、若いものの彼こそが本物、と思った次第である。


大学において、地域や学内の起業プラットフォームを確立するという同じ目的を共有する仲間である彼とは、その後親しく情報交換をする関係になり、九州大学知的財産本部が主催するアジアラウンドテーブル*にも参加してもらい、そのエネルギーを頂いている。わが九州大学知財本部もいくつもの起業支援プログラムを開設運営し、福岡における大学、地域のベンチャー創造プラットフォームとしての評価は向上しつつあり、最近では幾つかの成果も出始めて中央での評価も高まってきた。私とは年齢的に親子ほども違う彼であるが、SIVは何と言っても日本でトップを行く大学・地域起業支援プラットフォームであり、私、九州大学としては、牧さん、SIVロールモデルとして、もっともっと多くのことを学んでゆきたいと思っている。牧さん、SIVさん、よろしくお願いします!!


私が渡米するにあたってのキャリア選択にもアドバイスを下さいましたし、私がUCSDに来る際にIR/PSの星先生をご紹介下さいました。また近いうちにサンディエゴに訪問するから、ともおっしゃって下さっていました。

今回の谷川さんの出張は、九州大学のアントレプレナーシップセンターのグローバル展開の中で、UCSDとどんな連携がとれるかを探るというもので、そのアレンジを全面的にお手伝いさせていただきました。

谷川さんは、土曜の昼に到着して、ランチをIR/PSの星先生とご一緒し、連携の可能性について検討。その後は、UCSDのビジネススクールにより、夜は私がアレンジしているUCSDのイノベーション・アントレプレナーシップに興味を持つメンバーとの会食でした。この場にはGlobal CONNECTのメンバーやRady、IR/PSの学生が参加し、どんな連携ができそうかを含めて、色々な議論で盛り上がりました。

ちなみに(!)、アメリカに2回も長期の在住経験のある谷川さんなのに、清算のときのsplit (アメリカでは、6人で割り勘したい場合、6人全員がクレジットカードを出すと、6つに分けて支払いができる)をご存知なくて大変驚いていらっしゃったのが印象的でした(谷川さん、ばらしちゃってごめんなさい)。

二日目は、メキシカンでランチ、La Jolla周辺の海沿いを通りつつ、Hotel del Colonadoでコーヒーを飲みつつ、日米のイノベーションやアントレプレナーシップの近況、今後の連携についての議論をしました。アメリカでのこの分野での経験の豊富な谷川さんとお話をお聞きすることにより僕自身の視野も随分広がりました。


それにしても、慶應時代の仕事で知り合った方と、僕が慶應を離れてサンディエゴにきても、昔と変わらずに、引き続き次の活動をご一緒できるというのは、本当に幸せなことです。一般論としては、金の切れ目が縁の切れ目という言葉もありますが、組織での仕事が終わったら関係がそこで途切れてしまうというケースも少なくないように思います。

どの組織にいるかは関係なく、まず個人的な関係があり、そこに後から組織がついてくる。これが本当に一対一の信頼関係なんだな、という当たり前だけれども意外とできない人とはできないことを、谷川さんとおつきあいしていると改めて痛感します。

谷川さんの九州大学でのアントレプレナーシップセンターの立ち上げの挑戦。これは日本で初めての本格的なアントレプレナーシップセンターと言って良いでしょうし、これからの日本の未来がかかったexcitingなプロジェクトですし、谷川さんだったらこのアントレプレナーシップをグローバル水準で成功させることができる人だと確信しています。そんな訳で、僕も微力ながらサンディエゴから、谷川さんのこのお仕事をお手伝いさせていただきたいと思っています。



ランチをご一緒したトーリーパインズゴルフコースのロッジにて



UCSDメンバーとの夕日の奇麗なレストランでのディナー