結局「イノベーション」って何?
昨今、「イノベーション」という言葉を当たり前のように使う社会になりました。でも、その意味をきちんと理解している人は世の中にどのくらいいるのでしょうか。
「イノベーション」を「技術革新」と訳したことは間違いである、ということは十分浸透したように思います。「イノベーション」とは、技術に限定したものではなく、社会制度、ビジネスモデル、ビジネスプロセスな、マーケティングどあらゆる領域がその対象となります。その考え方が広まれば広まるほど、逆に「イノベーション」がマジックワード(本質的な意味を捉えずに安易に乱用してしまう言葉)となってしまったように思います。
「イノベーション」という概念は、そもそもシュンペーターの「経済発展の理論」からスタートしたものです。具体的には、「新しい財貨の生産」、「新しい生産方法の導入」、「新しい販売先の開拓」、「新しい仕入先の獲得」、「新しい組織の実現(独占の形成やその打破)」の5つの領域を定義し、その実行者をアントレプレナーであるとしました。
でも、難しい本を読んでもなかなか「イノベーション」とは何かを理解できる人は多くないと思うので、入門編として4冊の本を紹介したいと思います。
- 作者: 黒川清
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/03/15
- メディア: 新書
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黒川先生の書いた「イノベーション」とは何かを優しく解説した本です。入門編として最もお勧めです。
- 作者: 坂村健
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2007/03/12
- メディア: 新書
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坂村先生の書いた「イノベーション」の入門編です。IT分野を中心に解説していますが、どの分野にも応用可能です。特にイノベーションを、「テクノロジー・イノベーション」、「プロセス・イノベーション」、「ソーシャル・イノベーション」(「インフラストラクチャ・イノベーション」)の3つに分類したのはなるほどな、と思いました。
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
- 作者: 海部美知
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/03/10
- メディア: 新書
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シリコンバレー在住の海部さんが書いた本です。タイトルは、一見「イノベーション」と関係ないように見えますが、本質的になぜ日本がイノベーション後進国であるかが良く分かります。
- 作者: 岸川善光,八杉哲,谷井良
- 出版社/メーカー: 同文舘出版
- 発売日: 2004/07
- メディア: 単行本
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この本やややアカデミックよりですが、「イノベーション」のアカデミックな領域をひと通り理解するためには一番良い本です。クリステンセン、チェスブロウ、ロジャースなど、イノベーション研究の基盤となる概念がまとまっています。
これらの本は、「イノベーション」という言葉を良く使っているけれども、実際何かは実は分かっていない、という多くの皆様にお勧めです。