Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

総合政策学における3つの研究手法


SFCでは、「総合政策学」とは何かという、研究の方法論自体の研究も盛んです。SFCらしい研究アプローチを身につけるためには、「総合政策学」という研究アプローチを学んでおくことも重要ですね。岡部先生がまとめられた総合政策学の研究アプローチをご紹介しておこうと思います。

ちなみに出典は以下の本です。


総合政策学―問題発見・解決の方法と実践

総合政策学―問題発見・解決の方法と実践

総合政策学とは、各種学問領域を有機的に利用しつつ、IT革新の影響下にある現代社会の問題の発見、その性質の解析、多様な手法ならびに多様な関係者の活用、という一連のプロセスを扱う「問題発見・解決型」の社会科学もしくは研究方法である。

 その研究方法としては、帰納的方法(induction)、演繹的方法(deduction)、螺旋的論理展開方法(abduction)の3つの手法の理解と活用が重要となる。


帰納的方法(induction)

帰納的方法とは、いくつかの具体的事実あるいは現実のデータをもとにして、それらに共通する法則性ないし一般的命題を導き出す研究方法である。特殊(の累積)から一般を推論することであり、したがって経験主義の方法といえる。これは、社会科学における最も基本的な行き方であり、各種の実証研究がここに含まれる。そのもとになるのは、観察、実験、試行など個々の具体的なことがらや各種の定量的・定性的データである。なおこの研究を行うにあたっては、「相関関係」と「因果関係」の区別、「統計的優位性」と「社会科学的優位性」の区別が重要となる。


演繹的方法 (deduction)

普遍的命題から特周命題を導きだすこと、あるいは一般性の高い枠組みを用いることによって個別具体的なケースを説明する手法。社会科学においては、理論を用いて現実(個別特殊なことがら)を説明する方法である。


螺旋的論理展開方法 (abduction)

帰納的方法と演繹的方法を相互循環的に用いる方法である。ある現象を説明するために仮説を立て、それが演繹的、昨日的に確認されるかどうかをといただしていく、そしてその仮説が確認できなければ新たな新仮説ないし発想で同様に進めてゆき、そうした過程を継続することによってある現象がうまく説明できる仮説 (理論)を最終的に獲得する。この方法は、他の手法に比べて動態的な方法であり、事象の背後にある因果関係やメカニズムを把握することに適している。