The 40th St. Gallen Symposium参加から学んだこと (4) -アジアの台頭
ずっとSt. Gallen Symposiumの感想の中で、大切なので早く書こうと思ってましたが、2カ月すでに経ってしまいました。今更感もあるのですが、私がもっとも感銘を受けたセッションについてご紹介します。
そのセッションは、"The next tsunami: Asian entrepreneurship"というタイトルで、Dean & Professor in the Practice of Public Policy, Lee Kuan Yew School of Public Policy, National University of SingaporeのProf. Kishore Mahbubani氏による講演でした。ちなみに、このProf. Mahbubani氏、日本ではあまり有名ではないかも知れませんが、間違いなくこれからのアジアのキーパーソンになっていくかと思いますので要チェックです。
講演のスタートの仕方も見事。「このような講演会のスタートでは、西洋人はジョークから始めます。東洋人はお詫びから始めます。ですので、私はこの私のつまらないジョークのお詫びから始めたいと思います。」この言葉は西洋と東洋の本質を分かってないとなかなか出てこない内容です。
この講演については、彼の著作にも触れられています。21世紀はアジアが台頭して、「西洋の独占が終焉する」というのがエッセンスです。ポイントは、「西洋の終焉」ではなく、「西洋の独占が終焉する」ということです。なぜアジアが台頭するようになったか。Mahbubani氏は、"Seven Pillars of Western Wisdom"という概念を用いて説明しています。
The New Asian Hemisphere: The Irresistible Shift of Global Power to the East
- 作者: Kishore Mahbubani
- 出版社/メーカー: PublicAffairs
- 発売日: 2009/04/28
- メディア: ペーパーバック
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この"Seven Pillars of Western Wisdom"の詳細については、この記事にまとまっています。簡単にご紹介すると、以下の7つの要素をアジアの各国が取り入れたから、アジアが台頭したというものです。
- Free Markets (自由なマーケット)
- Science and Technology (科学技術)
- Meritocracy (実力主義)
- Pragmatism (実用主義
- Culture Of Peace (平和を重視する文化)
- Rule of Law (法律遵守)
- Education (教育)
これ良く考えてみると、福澤諭吉が日本の近代化のために取り組んだテーマばかりですよね。福澤の存在が日本の近代化に如何に大きな役割を果たしたかが、改めて良く分かります。
Prof. Kishore Mahbubani の著作は大変面白そうなので時間を見て、じっくりと学んでみようと思います。