大学発ベンチャー支援の次の一歩
私は6年間、慶應義塾大学の大学発ベンチャー支援インフラの設計と運用に携わってきましたが、最近大学発ベンチャー支援インフラの意義が薄れつつあるように思います。
これは、大学がこれからのイノベーションを促進するために提供するべきインフラが大きく変わりつつあるからです。インターネットインフラは、ITベンチャーのために大きく貢献したけど、今や大学に頼らなくても誰でも使える。同様に、大学発ベンチャー支援インフラも、一昔前はベンチャー育成に重要だったけれども、今や大学に頼らなくても色々なサービスが存在しています。
大学というのは、未来社会を作るためのインフラを提供する場です。大学が実験的に作ったインフラは、いずれ社会に普及し、大学自体が提供する必要がなくなる。常に新しいインフラを作り続けるのが大学の役割です。
さて、今必要とされてる大学のインフラには以下のようなものがあるように思います。
1) 未来社会を創造するためにどこに課題があるのかを発見し定義するための仕組み。
2) 思いついたアイディアを具現化するためにプロトタイプを作るための仕組み。
3) Technology AssessmentとProof of Conceptの仕組み。
4) グローバル社会にCONNECT仕組み。
今や、起業支援は大学がやる必要性は薄れてきていて、イノベーションの本質は何かを見つめて、その本質をサポートするインフラが、グローバルに置き始めているということです。
イノベーションの主役がITから、1)ソーシャル 2)サイエンス型産業 3)デザイン+プロダクト に変わりつつある。拠点も、シリコンバレーの優位性は変わらないけれども、少なくともアメリカ内では複数地域に分散し始めているように思います。
イノベーションは、Day 1からグローバルな競争環境の中で、自分の立ち位置を見いださなくてはなりません。日本の大学も、そろそろ次のステップに移行する時期のように思います。