Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

WBS秋学期集中期間の新設授業のお知らせ

WBS秋学期集中期間の新設授業のお知らせ

私自身が設立に関わった二つの授業が、WBS秋学期集中科目において解説されます。この2つの授業は、今世界で起きている最先端のイノベーションを学ぶためにとってもおすすめです。日本のみならず、世界のビジネススクールの学生が羨むような豪華な講師の授業です。あまりにも良い機会なので、より多くの方にその意味を知って欲しいと思い、このメッセージをまとめています。この二つの授業は私にとっても、もっと深く学びたいと思う、イノベーションの先端の先端を扱う授業なので、この開講期間中は全ての回に参加しようと思っています。

なお、卒業生等の方で聴講をご希望する方もいらっしゃるのではないかと思います。まずは正規履修者の人数が確定してから聴講の扱いを考えられればと思いますが、ご興味ある方は、私のところに適宜個人的にご連絡下さい。

 


[1. 深圳とマスイノベーション]

秋学期集中科目前半 2/5-2/12 (夜間 + 土曜)
シラバス: http://bit.ly/wbstksoverview

 

今世界でもっとも注目されているイノベーションの集積地のひとつは深センだと思います。この授業では、深センのエコシステムと日本の関係において、キーパーソン中のキーパーソンである高須氏を講師としてお招きして、深センのエコシステムについて授業を担当していただきます。
深センのことをより深く理解するためには、深センがどのような形でイノベーションを生み出しているのか、ということを理解することが必須です。「正解のないタイプのイノベーション、やってみないとわからないタイプのイノベーション」の事例をたくさん考えます。そしてもっといえば、今まで欧米を中心に培ってきた(そして日本もそのモデルを導入している)知的財産権をしっかり守ることでインセンティブを作り出してきたイノベーションのあり方そのものが大きく変わろうとしています。
今世界でイノベーションのあり方がどんな風に変わっているのか。日本企業がもっとも苦手としている新しいイノベーションのあり方を学ぶ良い機会です。というか、この分野の知識がなければ、イノベーションの基礎知識をかけたまま、卒業していくんだと思います。これからの時代のビジネスを考えていく上で、必須知識を学べる授業です。
ゲストスピーカーもとっても豪華で、この授業を受けたらそのまま、深センのエコシステムに繋がる人的ネットワークも得られると思います。

 


[2. Venture Capital Formation]

秋学期集中科目前半 2/13-2/19 (夜間 + 土曜)
シラバス: https://bit.ly/2M658QN

 

シリコンバレーには、Kauffman Fellows Programと呼ばれる組織があります。これは分かりやすく言えば、「松下政経塾シリコンバレー・VC版」と思っていただければと思います。シリコンバレーのトップティアのVCファームは若手をこのプログラムに送り込み養成しています。その意味で、シリコンバレーイノベーションの中でも、もっとも中核のネットワークの一つがこのプログラムであると言えます。そのKauffman Fellows ProgramのCEOを長年勤めて、ベンチャー・キャピタリストを育成し、その人的ネットワークの中核にいるPhil Wickham氏をWBSでは客員教授としてお招きし、授業を担当していただくことになりました。
この授業では、まずシリコンバレーイノベーションの仕組み、そしてそこでのベンチャー・キャピタルの役割、メカニズムについて学びます。そして、今現在どんなことが起きているかという最先端のトレンドの変化をおいます。そして、それらのメカニズムが日本企業のイノベーションにどのような形で役立てることができるのかを議論します。特に、"Capital Formation"、すなわちイノベーションを生み出す多様な「資本」を、日本企業はどのような形で作り出していけば良いのか、ということを議論します。デザイン思考を活用しながら、実際にその「資本」を作り出す方法の検証を行います。
この授業はいわゆる「ベンチャーファイナンス」の授業ではありません。もっと広く、イノベーションを生み出す仕組みやメカニズムについて、最先端のアカデミックな知見と、具体的な事例を融合させた形で、授業は構成されています。そして土曜日の授業においては多数の豪華ゲストが参加ます。
自社でイノベーションを生み出すための仕組みをどのような形で構築していけば良いのか、ということに悩んでいる人には、ぜひ履修して欲しいと思う授業です。イノベーションを考えないといけない人には必須知識です。
スタンフォード大学でも開講されている授業を、日本流にアレンジして、WBSで開講してもらうことになりました。あまりにも贅沢な授業なので、ぜひこの機会を逃さないでいただければと思います。
なお、この授業は英語ですが、担当のWickham教授は日本人が英語が苦手なことも良く分かっていますので、その前提で授業のサポート体制なども考えます。英語だからと行って臆することなく、ぜひ履修していただければと思います。