Bioinspiration - デザイン思考の次の一歩 -
最近サンディエゴで出会った新しい概念に"Bioinspiration"というものがあります。自然界に存在している動物や植物の形というのは、進化を繰り返して生き残ってきた訳で、それ自体が優れた機能性、デザイン性を持っています。そのような動植物の持つデザインを実際に製品開発に応用しようという試みが"Bioinspiration"です。
サンディエゴ動物園は世界的に動物園としても有名ですが、最近この動物園に、Center for Bioinspirationが設置されて、企業へのコンサルティング、カンファレンスの開催、教育プログラムの提供などを行っています。
Bioinspirationの事例は思った以上に沢山あります。一番有名な例は日本の新幹線。新幹線は時速200マイル以上で走行する世界で最も早い列車の一つです。しかしながら、新幹線は今まで、新幹線がトンネルを出るとき、気圧の変化により大きな騒音を生み出してしまう、という大きな問題を抱えていました。新幹線をデザインするエンジニアたちはこの問題を解決するために自然界の事例を探しました。その結果発見したのが、カワセミ。カワセミが上空から水に飛び込むときに、水の跳ね返りを最小限に押さえているのは、そのクチバシの形にあります。そこで、カワセミのクチバシの形を参考に、新幹線のデザインを再度行いました。その結果が以下の通り。こんなような事例が既に沢山存在しているのです。
http://www.designboom.com/contemporary/biomimicry.html より転載。
IDEOやStanford d.schoolは、デザイン思考を世界に広めましたが、最近は「その次の何か」が求められているフェーズのように思います。そんな中で、このbioinspirationは間違いなく次の何かの一つだろうと思います。
最近、僕のアドバイザーを含めた数名の研究者がこのSan Diego ZooにおけるBioinspirationの試みをHarvard Business Schoolのケース教材にしました。
San Diego Zooに行くと、このBioinspirationによるアイディア創出のためのワークショップや、そのワークショップに基づいて動物園を探索するprivate tourなどに参加することができます。動物園がこういう試みをしているところ、さすがアメリカだと思います。
僕もサンディエゴにいる間にこのBioinspirationの概念をしっかり学んで、この分野の授業も教えられるようになっておこうと思います。サンディエゴに来て、この辺りのことを学んでみたい方、日本の大学とのjoint programもありだと思いますし、企業との連携もありだと思いますし、何か仕掛けてみたい方はぜひご連絡下さい。色々なことができると思います。San Diego Zooのツアーにまず参加してみるところから初めてみるのも面白いかも。