Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

"MIT Global Startup Workshop 2008"に参加して


少し前のことになりますが、2008年3月26日から28日に、スペインのマドリッドで開催された"MIT GlobalStartup Workshop 2008"に参加してきました。私にとってはSIV事務局長に在任中34回目、最後の海外出張でした。

MIT Global Startup Workshopは、MITの学生組織が主催する世界中のビジネスプランコンテストの主催者が集まり、Best Practiceの共有とネットワーキングの構築が目的です。
詳細: http://www.mitgsw.org/

私は、2004年のCambridge, UK、2005年のAbu Dhabi, UAE、2007年のTrondheim, Norwayに続いて4回目の参加となります。過去のカンファレンスにて知り合った人と久々にお会いすることも多く、すっかりこのカンファレンスにおけるレギュラーメンバーになりつつあります。今回は、樺澤さんと環境情報学部2年の高田悠君と一緒に参加しました。ちなみに、今回のテーマは、"Building the Entrepreneurial Ecosystem -Entrepreneurship, Innovation and Sustainability"でした。

このワークショップに開催して、私自身が新たに発見したこと、考えたことを箇
条書きでまとめさせていただきます。

  1. 主催者が変わった

今までのカンファレンスは、MIT $100K Global Startup Workshopでしたが、今回からは、"MIT Global Startup Workshop"に名称が変更してあり、パンフレットを見ても、"$100K"の用語がどこにも見当たりませんでした。$100Kはこのカンファレンスの根幹であるMITの学生が主催する先進的なコンテストの名前です。きちんと確認できていないのですが、$100Kの運営メンバーとGSWの運営メンバーは独立して切り離されたのかも知れません。今回のカンファレンスも、テーマ設定は悪くないのですが、一つひとつのパネルの作りこみは浅いように感じられました。また昨年も同じようなことを感じましたが、パネリストにはMITの学生が含まれていないことが気になります。最近はコンテンツの提供よりも、場作りにフォーカスしすぎなような気がします。

  1. 参加者のdiversityが年々広がる

今回で4回目でしたが、回を追うごとに参加者のdiversity (分散性)が広がりつつあるように思います。これは多様な人材のネットワーキングが構築できるので
悪いことではないのですが、一方でニーズが多様になりすぎて、カンファレンスのコンテンツ作りが困難になりつつあるように思います。なお、このときのdiversityというのはもちろん人種や出身国もあるのですが、それ以上にコンテスト運営の経験の差が広がっているように思います。私自身、コンテストの運営経験は、このカンファレンスの中ではすっかり上級者になってしまっています。そういう意味では学ぶ量が年々減ってしまっています。

  1. 日本からの参加者が増えた

最初に参加したCambridgeのときは、私は唯一の日本人でした。Abu Dhabiのときから学生を連れていくようになりました。今回は、北海学園大学から5人の参加者が来ていました。このようなグローバルなカンファレンスに、日本の色々なところから参加者が増えていくのは本当に良いことだと思います。

  1. Speed Networking

2日目の夕方に行ったのがSpeed Networking。レジストレーションの際に、自分の出会いたい相手の属性のアンケートを答えました。そのアンケートの結果に基づいて、相互に会うと良い人のリストが生成され、そのリストの人と順番に会う、というイベントでした。自動的に誰と誰を合わせるかを判断するプログラム、アイディアとしては誰もが思いつくと思いますが、実際に実現したという意味では良くがんばったな、と思いました。このプログラムのソースコードをもらう約束をしました。


恐らく、私はもうこういったイベントに参加することはないかと思いますが、6年間随分色々と良い経験ができたなぁ、と改めて思います。