真の研究者となるために -なぜ社会科学系の博士取得は、理科系の博士取得よりも時間がかかるのか-
私自身、博士課程5年目にして、漸く研究テーマは絞れてきているものど、博士取得の目途が立っていないのが現状です。色々な事情があるにしても、博士取得は極めて長い道のりであることを痛感しています。一方で、理系の博士の人は、社会科学系の博士よりも早く博士を取得する傾向にありように思います。
そこには、社会科学系の研究者との理科系の研究者に求められる職能の違いがあり、その能力を身につけるためのステップが大きく異なるということがあるのではないかと思います。
伊丹先生の「創造的論文の書き方」というのは、そんな社会科学系の研究者に必要な職能と、それを身につけるためのステップを理解するために大きく参考になる本でした。
- 作者: 伊丹敬之
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2001/12
- メディア: 単行本
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社会科学系の分野は、色々と回り道も多く、今までやってきたことが無駄だったのではないか、と自信をなくすこともあるのですが、この本を読んでみて、そういったすべてのステップが、社会科学系の研究者として必要な職能を学ぶためのステップなんだと納得することができました。
國領先生が良くおっしゃる「小さな針の穴から世界を見る」、「一つのテーマを決めたら机の前に張り付けて、それに専念しなくてはだめ。でもどこかのタイミングでそのテーマを張り替えるのは自由」などのメッセージ、一見分かった気になっているだけの人が多いと思いますが、この本を読むと良くわかります。
でも、実は、、、、この研究者の育成法というのは、社会科学だから必要なのではなく、理科系の研究室(特に日本)でも、もっと導入しないといけないエッセンスが随分含まれているように感じました。
この本は、研究とは何か、自分の研究テーマをどのように見つけたら良いか、といった悩みを持っている人たちにお薦めの本です。
ところで、最近改めて研究プロポーザルを書き直していて、そのための研究手法をまとめるために、色々な研究メソッドの本を読んでいるのですが、英書では、Yinなど古典的名著はあるのですが、いわゆる入門書的な本が見つからずにいます。もし良い本ご存じの方がいらっしゃったらお教え下さい。