MBAの学生が修士論文のテーマを考えるために
MBAの学生が修士論文のテーマを考えるためには大枠以下のことを考えてみると良いと思います。
まずはじめに、以下のことを考えてみて下さい。
(A)が(B)に与える影響
(C)による(D)の実現方法に関する研究
修士論文でまとめようとするテーマについて、ABCDに何があてはまるかを考えてみましょう。ちなみに理系でいうところの前者が理学、後者が工学になります。社会科学では強いていえば、前者が分析アプローチ、後者がデザインアプローチになるのだと思います。
MBAの学生はおそらく、この前者と後者両方が答えられることが重要です。前者のみの研究は「実践なき理論」、後者のみの研究は「理論なき実践」になりがちです。
僕にとっての良いリサーチ・クエスチョンはこの前者と後者の両方の視点を持っているものです。
さて、上記の穴埋めを考えるにあたっては、以下のような点を考えてみると良いと思います。
- 社会科学の研究というのは、「針の穴から大きな世界を見る」というプロセスです。「針の穴」が理論で、「大きな世界」が現象。「針の穴」で小さな世界をみてしまうのは、その理論から説明できる力が弱いということです。良い理論というのは、広く色々な場面で応用できる普遍性の高いものです。
- MBAの学生は実務経験が豊富なので、日々抱えている仕事の中で、人に話したくなるような面白い事例を持っていると思います。もしそういった事例を思いつくときは、まずそのケースの特殊性をどんな理論で説明できるかを考えて下さい。
- 具体的な面白い事例が思いつかないときは、とりあえず興味を持ちそうな「トピック」と、「ざっくりとした解決したい問」を選んで、関連する論文をいくつか読みましょう。なお、最初の読むべき論文は、自分で探すよりも、指導教員なり、その分野に詳しい人におすすめの論文を聞いた方が良いです。最初はあまりにも土地勘がないと思うので、あまり重要ではない論文を読んでしまい、時間を無駄にする傾向があります。
- アカデミックな論文を読んでみて、自分が経験した実務とあてはまらないな、と思ったときはチャンスです。なぜ当てはまらないのか、考えてみましょう。その論文の前提条件があてはまらないことが考えられます。そうすると、どういう場合に当てはまるのか、どういう場合にあてはまらないのか、ということを整理するだけでも新しい仮説となります。
- アカデミックな論文をいくつか読んでいて、複数の矛盾する理論を見つけたときもチャンスです。その二つの矛盾を説明する仮説を考えることができます。
- 興味ある分野のデータセットに最初にアクセスしてみる方法もあります。そのデータセットをみながら、他のデータセットの組み合わせなどを考えつつ、何を検証できそうか、仮説を考える方法です。
修士論文に取り組み始めた後、色々な教員があったときは、ぜひ以下の質問をしてみて下さい。