Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

The 40th St. Gallen Symposium参加から学んだこと (2) -参加者の多様性-


今回のシンポジウムは2日間でしたが、その前の2日間は、Leaders of Tomorrowのみの参加するPre-Symposiumが開催されて、若手のみの交流の機会がありました。私自身比較的海外に知り合いも増えてきているので、このようなカンファレンスに参加しても、知り合いの知り合いだったということが良くあります。そのようなときはその共通の知人の話しで話題が盛り上がります。

ところで、今回のテーマは、"Entrepreneurship - Agent for Change"ということで、多数の起業家が参加していました。例えば、「15才のCEO」という本で日本でも有名になったキャメロン・ジョンソン氏を初め、子供のときに起業した人が多数参加してました。200人中で10人くらいは20歳より前に起業した経験を持っていました。彼らが共通していうのは、若いときの起業の方がリスクが少なく、応援してくれる人も多いから有利、ということです。


15歳のCEO―パソコン一つで運命を切り開く

15歳のCEO―パソコン一つで運命を切り開く


また、これはまさにグローバリゼーションの影響なんでしょうが、今回のシンポジウムで出あった若手で、遠距離恋愛してる人の多さもびっくりでした。ノルウェイカザフスタンとか、スイスとボストンとか日本人の感覚からするとかなり遠い。でも3カ月に1回くらいは会っているようです。これが実現可能になったのも、インターネットで毎日容易にコミュニケーションをとれることと、安価に飛行機にのれるようになったことの影響でしょう。

更に、この参加者との交流では、国籍とは何か考えさせられました。両親が別の国で生まれて本人は更に別の国で生まれると国籍3つになります。そのように国籍を複数保持している人が沢山います。そして、どの国籍を維持するかをキャリア戦略としてマネージしています。そういう人と沢山出会いました。これもグローバル化された社会において大きな変化だろうと思います。ギリシャみたいに国ごと財政破たんが起きる時代ですから、国籍もリスク分散を組むという発想は良く分かります。


今回のSt. Gallen Symposiumで、若手参加者に出会っただけでも、本当に世界は急速に変化しつつあることを実感します。日本国内にいると感覚が麻痺してしまうけど、すさまじい勢いで、既存のパラダイムが変わりつつある、ということを痛感しました。