Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

Qualifying Examへ向けて

米国での博士課程は、一般的に2年目の終わりにQualifying Examという試験があります。これは最初の2年間のコースワークの習熟度をテストするもので、この試験にパスすると、博士候補(Ph.D candidate)に進み、研究に専念するフェーズになります。


この2年間のコースワークで沢山の授業をとり、随分沢山のことを学んできましたが、まだまだ分からないことも多く不安もいっぱいなのですが、アドバイザとも相談の上、この夏の終わり(9月の第一週)に受験することになりました。


この試験は、僕のdissertation committee(6人もいる!)のうちの教授3人がそれぞれ、僕の研究テーマに会わせて、試験問題を作成することになっています。試験内容としては、1) モデリング 2) モデリング+実験のデザイン 3) エコノメトリックス が出題領域で、僕の研究テーマに添う形で出題されます。


この試験の準備をするために、出題者がそれぞれ読むべき論文を指定してくれました。1)と2)の読むべき論文は以下の通りです。3)については、過去の授業のノートを読み返すように、とのことでした。



「モデリング」関連

  • W. B. Arthur, “Competing technologies, increasing returns, and lock-in by historical events,” The Economic Journal, vol. 99, no. 394, pp. 116–131, 1989.
  • G. Manso, “Motivating innovation,” The Journal of Finance, vol. 66, no. 5, pp. 1823–1860, 2011.
  • M. J. Armstrong and M. Lévesque, “Timing and quality decisions for entrepreneurial product development,” European Journal of Operational Research, vol. 141, no. 1, pp. 88–106, 2002.
  • R. Jensen, J. G. Thursby, and M. Thursby, The Disclosure and Licensing of University Inventions. 2003.
  • K. S. Moorthy and I. P. L. Png, Market segmentation, cannibalization, and the timing of product introductions. 1990.
  • W. D. Bygrave, “Theory building in the entrepreneurship paradigm,” Journal of Business Venturing, vol. 8, no. 3, pp. 255–280, 1993.

「モデリング + 実験のデザイン」関連

  • M. Dufwenberg, R. Sundaram, and D. J. Butler, “Epiphany in the Game of 21,” Journal of Economic Behavior & Organization, vol. 75, no. 2, pp. 132–143, Aug. 2010.
  • M. E. Schweitzer and G. P. Cachon, “Decision bias in the newsvendor problem with a known demand distribution: Experimental evidence,” Management Science, pp. 404–420, 2000.
  • N. H. Lurie and J. M. Swaminathan, “Is timely information always better? The effect of feedback frequency on decision making,” Organizational Behavior and Human Decision Processes, vol. 108, no. 2, pp. 315–329, Mar. 2009.
  • S. Erat and S. R. Bhaskaran, “Consumer Mental Accounts & Implications to Selling Base-Products and Addons,” 2010.
  • J. N. Bearden, R. O. Murphy, and A. Rapoport, “Decision Biases in Revenue Management: Some Behavioral Evidence,” Manufacturing & Service Operations Management, vol. 10, no. 4, pp. 625–636, Sep. 2008.

やはり自分の分野にあわせて論文を選んでくれているので、どれも面白いものばかりです。加えて、qualifying examは自分が勉強が足りない分野を明らかにする意味もあるので、その観点から選ばれている論文は、読むのも一苦労です。実際に読んでみると、コースワークでカバーされていないところも沢山あるし、コースワークでやったけれども、忘れてしまったり、理解が足りないところも沢山あります。この準備のために、dissertation committeeの教授の皆さんは、頻繁に時間をとってくれて、質問に答えたり、アドバイスをくれたりしています。


アメリカの博士課程にいて、指導教員たちが如何に丁寧に面倒をみてくれるか、ということにびっくりすることが多々あります。この恵まれた環境で、少しでも多くのことを吸収できるように、もっともっとがんばらなくては。。。


この夏は、この試験の準備のために専念しています。サンディエゴの夏は、素晴らしい気候なのですが、その気候を楽しむ余裕もなく、毎日オフィスにこもって勉強しています。