Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

NBER Entrepreneurship Boot Camp に参加中

今週は、NBER Entrepreneurship Boot Campに参加するために、ボストンにきています。

米国には NBER (National Bureau for Economic Research、全米経済研究所)と呼ばれる民間の経済学の研究組織があります。米国中の優秀な研究者が集積している研究組織といって良いかと思います。多数の米国の大学教員がこの研究機関を兼務しています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/全米経済研究所
http://www.nber.org/

この研究組織は色々な分野を扱うのですが、そのうちの一つがアントレプレナーシップ。毎年、NBER Entrepreneurship Research Boot Campという若手 (博士学生・ポスドク・アシスタントプロフェッサー辺り)を対象にしたこの分野の研究の最新動向を学ぶためのキャンプがあります。少人数でのセミナーで、カフマン財団が旅費・宿泊費等を負担してくれます。今年は主催者曰く例年以上にcompetitiveだったようなのですが、おかげさまでacceptしてもらえることができました。

カンファレンスのスケジュールは以下のリンクの通りで、5日間のcampのために60本の論文を事前に読むことが事前課題となっています。Josh Lerner、Ajay Agrawal、Scott Sternを始め、僕の研究分野でのスター教授が集まっている場なので今からワクワクします。このコミュニティは僕の分野において、本流中の本流です。

プログラム: http://conference.nber.org/confer/2015/ERBCs15/program.html

僕は経営学のバックグラウンドなので、今回のように経済学の方々からも認めてもらえるのはとても嬉しいことです。米国においても、研究実績が認めてもらえるようになってきたことを実感します。

アメリカに来て、僕の分野のトップの研究者との交流を深めていきたいと考えていましたが、着々とその環境が実現しつつあります。

ちなみに、このcampに参加するにあたっては、事前に60本近くの論文を読み込んでいくことが条件です。印刷した論文を全部つむと以下のような感じになります。どの論文もとても面白くて、"State of the Arts"という感じです。この内容をうまく日本に伝えるような本を書けるかも知れないなと思いつつあります。

 

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留学中の学業・研究の実施状況 (9) - 2015年4月13日

半年に一度、奨学金財団の方に報告書を送信しています。こういった報告書はなるべく広く公開した方が有益だと思うので、ブログにもuploadしておきます。

 

留学中の学業・研究の実施状況 (9)

2015年4月13日

 

 

学業・研究関連

【研究】

博士候補になって以降は、研究活動が生活の中心です。2015年夏の博士取得を目指してラストスパート中です。博士論文に関連して、大きく (1) 大学の技術移転に関する研究、(2) 大学病院のオペレーションに関する研究、(3) カリフォルニア大学発ベンチャー企業の成功要因に関する研究、の3つに分かれます。

 

[大学の技術移転に関する研究]

  • Prof. Vish Krishnanとの共著。
  • 査読の結果に基づいて、大幅に加筆・修正しました。私の方での分析は終わり、現在共著者であるアドバイザが最終の校正をしています。近いうちにtop journalに投稿予定です。

 

[大学病院のオペレーションに関する研究]

  • Prof. Vish Krishnan他との共著。
  • Revise and Resubmitのステータスであり、現在修正中です。データ分析の方は完了し、現在共著者であるアドバイザが最終の校正をしています。近いうちに再度投稿予定です。

 

[カリフォルニア大学発ベンチャー企業の成功要因に関する研究]

  • Prof. Martin KenneyとProf. Vish Krishnanと共同でプロジェクトを推進しています。
  • 2014年12月に政策研究大学院大学において研究発表を行いました。
  • 分析の大枠は完了しており、現在ワーキングペーパーを執筆中です。

 

その他、以下のプロジェクトに携わっています。

  • 日本のエンジニアのモビリティに関する研究を Prof. Ulrike Schaedeと共同で推進しています。学生のアシスタントによるデータ解析中です。
  • 博士取得後の研究テーマでもある”Science of Science Policy”のプロジェクトの立ち上げを現在行っています。日本の科学技術費の有効性を検証するための研究プロジェクトです。
  • サイエンティストに対する起業家教育のプロジェクトに携わっています。

 

【教育関連活動】

2014年秋学期は、IR/PS (国際関係大学院)の”Strategy and Negotiation”というクラスのTeaching Assistant (TA)を行いました。他学部のTAは初めてで視野を広げる意味でとても良い経験になりました。特に10チームの企業コンサルティングのアドバイザとしての役割は学ぶことが多数ありました。

2015年冬学期は、引き続き、”Lab to Market”のTAを担当しました。

 

【授業】

研究に専念しているため授業は原則として履修していません。唯一自分の英語力の向上を目的に、エクステンションの”Grammar and Editing”という英文法を学ぶ授業を履修し、とても有益でした。

 

【収入基盤】

現在、Rady School of Managementからの奨学金(返済不要)及びTeaching Assistant (TA)の給与等により、生活費・学費を賄っています。また2015年1月からは、アドバイザの配慮により、TAに加えてResearch Assistant (RA) でも雇用されたので、金銭的には大分余裕が出ました。この夏は、Radyからの奨学金に加えて、昨年度と同様学部の授業を担当する予定です。

 

【進路】

2015年9月を卒業見込みとして、次のポジションを探していましたが、現在、新しい研究プロジェクトを立ち上げることにより、来年度はそのプロジェクトにおいて雇用される見込みとなっています。その他昨年担当した授業の評判が良かったため、講師として来年度以降継続的に雇われることになりそうです。

 

 

課外活動

UC San Diegoの国際関係大学院IR/PSのEmPac (Center on Emerging and Pacific Economies)のfellowとして、鈴木寛氏 (元参議院議員、元文部科学副大臣)を推薦し、10月末から11月頭にかけて、サンディエゴにお迎えしました。鈴木寛とはサンディエゴと日本を結ぶ新しいプロジェクトの立ち上げをご一緒しています。

同様に、この5月には藤原洋氏 (株式会社ブロードバンドタワー社長)がEmPac Fellowとしてサンディエゴにいらっしゃる予定です。藤原洋氏とは、サンディエゴを基盤とした産学連携プロジェクトの立ち上げをご一緒しており、来年度もご一緒する予定です。

 

 

 

IoTとサンディエゴとBaja California Mega Regionの話

 

最近、藤原洋さんをUC San Diego EmPac Fellowとして5月にお迎えするにあたって、サンディエゴでのIoTビジネスの可能性について色々と調べています。実は調べてみると、結構色々な可能性があって面白い。IoTといってもとても幅広いのですが、まずは3Dプリンタやデジタルファブリケーションの話から。

 

ロングテール」等で有名な元Wiredの編集長を勤めていたクリス・アンダーソンが設立した会社"3D Robotics"の本社はサンディエゴにあります。もともとはロボットをオープンソースで作る会社ですが、最近はドローンでも有名です。なぜこの会社がサンディエゴにあるか、その理由は、サンディエゴだけでこの地域のイノベーションエコシステムをとらえては駄目で、Baja California Mega Regionとして捉える必要があります。

 

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Why Tijuana - CaliBaja Mega Region for Manufacturing | Tijuana Economic Development Corporation より転載。

 

サンディエゴというのは、カリフォルニアの最南端に位置します。ダウンタウンから車で20分も走ればメキシコの国境です。その国境を超えるとティファナという街があるのですが、国境を超えると人件費が安いので、工場が沢山あります。関税の優遇もあるので、製造業はティファナで製品を製産し、アメリカで販売ということをやっています。なぜ、ソニーや京セラをはじめ、日本の製造業の多くがサンディエゴにブランチを持っているかといえば、ティファナの存在があるからです。

サンディエゴとティファナを含めた地域は、 Baja California Mega Regionと呼ばれています。この視点で、イノベーションのエコシステムを捉えると、IoTに関する可能性が沢山見えてきます。

 

クリス・アンダーソンの「メーカーズ」には、サンディエゴとティファナの話が頻繁に登場します。

 

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

 

 

クリス・アンダーソンは、"3D Robotics"の法人化にあたり、ティファナ出身の若者ジョルディをCEOとして迎え入れる。

 

今日、ジョルディは、サンディエゴに再先端の工場を持つ数百万ドル規模の企業、3Dロボティクスの最高経営責任者(CEO)だ。いま現在、まだ二四歳という若さである。 

 

なぜ、ティファナ出身の若者が、サンディエゴを本拠とする企業のCEOになったのか。アンダーセンは以下のように説明する。

 

1 ある賢い若者がいた。彼はアメリカ生まれではなく、英語もそれほど上手ではなく、学業優秀でもなかったが、インターネットにはアクセスできた。好奇心とやる気のあるその若者は、史上最高の情報源を利用して、独学で世界最先端の航空ロボティクス専門家になった。彼はただ自分の情熱に従っていただけだが、その過程で「グーグル博士号」ともいえる知識を身につけたのだった。 

2 僕がみんなの反対に逆らって航空ロボティクスの会社を立ち上げることを決めたとき、自分が知る限りこの分野でいちばん優秀な人物と組んだ。履歴書を見せてもらおうなどとは思いもしなかったし、そんな必要はなかった。 彼はだれにも作れないものを作って、実力を証明していたからだ。  

3 コミュニティの大きな支えと、度胸と、またもやグーグル検索の力を借りて、ジョルディは電子機器製造と生産管理の基本を学んだ。彼は、アメリカ人とティファナ出身のメキシコ人の優秀なエンジニアを採用し、ほぼ全員二〇代の混合チームを作った。 彼らもまたジョルディと同じように、オンラインで研究を調べたり人に聞いたりして必要なことをすべて学んだ。一八カ月後、彼らは世界に通用するロボティクス工場を運営していた。 

 

そして、サンディエゴとティファナの関係、コスト面での競争優位性を以下のように述べている。

 

たとえば、サンディエゴの3Dロボティクスの工場は、ライバルの中国工場とほぼ同じ価格で製造装置や電子部品を買っている。労働者の賃金は僕らの方が高いが、その差は縮んでいる。サンディエゴでは時給一五ドル(月給二四〇〇ドル)程度だが、多くの大手企業向けに iPhoneiPad といった電気製品を製造する中国の巨大製造企業フォックスコンでは、月給はおよそ四〇〇ドルほどだろう。競争と技術力の向上、また労働者保護の圧力から、深センの人件費はこの五年間に五割も上がっているが、欧米の製造企業ではほぼ横ばいのままだ。

 

サンディエゴ工場からたった二〇分の場所にあるメキシコはティファナの新しい3Dロボティクスの工場の給料は、アメリカの半分(月給一二〇〇ドル)で、中国のちょうど三倍にあたる。たとえば、二〇〇ドルの自動操縦基板の場合、メキシコ製と中国製の人件費の違いは一ドル足らずで、製造コストのおよそ一パーセント(小売り価格の〇・五パーセント)にすぎない。賃料や電気料金といったその他のコストは、さらに中国の水準に近い。 

 

更に、アンダーソンは、3Dロボティックスのチームメンバーについて以下のように述べる。

 

チームメンバーの大半がティファナ出身であることは、この際記しておく必要があるだろう。そこに住む若い世代の起業家の目を通してこの街を見るようになった僕は、ティファナが多くのアメリカ人がイメージするような麻薬戦争の現場やテキーラばかり飲んでいる土地ではなく、 ハイテク製造業の街であることがわかった(アメリカ人が買っているフラットスクリーンテレビのほぼすべてがここで生産されている)。ここ数十年のあいだにTJ(ティファナ)で育った若者は、サンフランシスコからサンディエゴへと延びる、カリフォルニアのハイテク地帯の一部を担っているともいえる。 サンディエゴの国境から 20 分のその場所で、彼らはすべてのテクノロジーに、しかもほんの少しのコストでアクセスできる。香港と深センの関係と同じようなもので、国境を超えると低いコストで同質の労働力を手に入れることができるのだ。 

 

サンディエゴイノベーションを生み出す力と、ティファナの製産拠点としての競争力。そして、ティファナから自体が「ハイテク製造業」人材の生まれる場となっている。これ、サンディエゴとBaja California Mega Regionが、IoTの発展にとって、いかにexcitingな地域か、ということがとっても良く分かります。

 

 

Happy New Year 2015 - 頭でっかちではない新年の抱負 -

 

あけましておめでとうございます。渡米して5回目の新しい年をサンディエゴで迎えています。皆様にとって、2015年が素晴らしい1年でありますように。

さて毎年新年にはその年の目標を決めています。ちなみに2014年の目標は、「博士のマーケットに出て、ポジションを得る」というものでした。この目標については、現在実際job marketに出て、色々な可能性を模索しているものの、今のところポジションを得るところまでは至っていません。ただ、思った以上に感触の良いところもあり、今色々な話が進んでいるので、そんな意味で、この目標はそこそこは達成できつつあると自負しています。

ところで、以下が過去13年間の目標の一覧です。良くもまぁ、毎年こんなに目標をたてるという行為自体が続いているものです。

 

参考: 過去13年間の目標一覧

2014年 「博士のマーケットに出て、ポジションを得る」

2013年 「アメリカのアカデミアのスピード感の中で猛烈に研究する」

2012年 「アメリカのアカデミアにおいて実績を出す」

2011年 「ワークライフバランスを身につける」

2010年 「自分にとってのディシプリンプリンシパルを身につける」

2009年 「海外進出」

2008年 「博士取得に専念」

2007年 「組織としてのマネジメントを学ぶ」

2006年 「マネジメントにおけるリーダーシップを身につける」

2005年 「多数の学会発表、論文の執筆を行う」

2004年 「ネットワーキング理論に強くなる」

2003年 「財務に強くなる」

2002年 「意思決定における公平性を身につける」

 

ところで、この目標見返してみると、ちょっと頭でっかちというか地に足がついていないというが、理想論ばかりというか、もう少し現実を見て目標をたてても良いのかな、と思いました。

今僕が抱えている最大の課題の一つは、渡米前に比べて体重がどんどん増えているということです。以下のグラフはこの4年間の体重の推移です。毎月測定しているわけではないので、横軸は純粋に回数です。最近ダイエットの成果のおかげか多少減りつつあるのですが大きなトレンドでいうと右上がりです(ちなみに最後の1回の測定は仮説と合わなかったので削除しました;)。

 

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そして体重にも増して、腹回りが渡米前とは比較にならないほどに太ってしまいました。今回日本にいった際にも、「太ったね」と言われるより先に「腹回りがすごいね」と言われる回数の方が多かったかも。

 

という訳で、2015年の目標は

「腹回りのダイエット」

ということにしようと思います。

 

家からオフィスまでの車通勤を辞めたり、少しでもジムに通ってみたり、歩く長さを増やしたり、炭水化物ダイエットを実践したり、家で少しでもエクササイズをしたり、色々工夫をしてみようと思っています。

あけましておめでとうございます - 2014年の振り返り

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。この年末年始は3週間弱日本に出張していました。例年は年内にサンディエゴに戻ってくるのですが、今年は色々考えて正月も日本で過ごすことにしました。実は正月を日本で過ごしたのは2010年以来5年ぶりでしたが、日本での正月も思ったより良いものでした。その分更に慌ただしくなりましたが。

この3週間、東京では自分の研究やらプロジェクトやらのミーティングに追われて、とても忙しい毎日を送っていました。そんな訳で例年であれば年内に前年の振り返り、年明けすぐに新年の抱負をまとめているのですが、そんな時間もありませんでした。やっとサンディエゴに戻ってきたので、2回に分けて、2014年の振り返りと2015年の抱負をまとめてみようと思います。

という訳でまずは2014年の自分にとっての10大ニュースから。

ちなみに過去のまとめはこちらから: 2013年振り返り / 2012年振り返り / 2011年振り返り / 2010年振り返り

 

(1) 米国の大学にて初の授業担当

何と言っても2014年の最大の出来事は、米国の大学にて授業を担当したということだと思います。日本でも慶應時代に授業を担当したことはありましたが、全て英語で、アメリカ人の学生たちに教えるというのは新しい挑戦でした。こちらの学生は日本の学生以上に授業に対してdemandingだし、事前課題の出し方、授業の設計の仕方、クオーター制など慣れないとことも多々ありました。本当に準備は大変で毎週泣きそうになりながら日々頑張りましたが、結果的には最終回の授業で学生たちがスタンディングオベーションをしてくれましたし、とっても高い授業評価を受けることができました。ちなみに先日副学部長との面談で、今回の評価に基づいて、今後も継続して授業を担当して欲しいとの話もいただきました。また履修した学生から大学院進学にあたっての推薦状を頼まれるなど、色々な意味で自分がこちらの社会にきちんと入り込んでいることを実感することができる機会でした。博士課程に留学するだけであればただの米国社会にとってはただのお客さんなのですが、今やお客さんを迎える側になりつつある感覚を持っています。

 

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(2) サンディエゴ三田会50周年祝賀会開催

9月にはサンディエゴ三田会50周年が開催され、私自身も運営メンバーとして携わらせていただきました。私自身が2010年に渡米して以来、サンディエゴ三田会とは色々な距離感で携わってきました。はじめは若手だけのグループを別に立ち上げて交流の場を増やしてみたり、その若手グループと全体会を統合してみるなど。そんなプロセスを経てすっかりサンディエゴ三田会の運営の中核を担うようになりました。そんな自分にとって、サンディエゴ三田会と関わることの集大成がこの50周年祝賀会でした。プログラムの企画、参加者の声かけ、当日は司会など全般的に携わらせていただきました。もともとは清家塾長、國領常任理事をお呼びする予定でしたが日程が合わず、駒村常任理事がご参加下さいました。結果的に、駒村常任理事と親しく交流させていただく機会を得ることができて、自分にとっても財産となりました。またサンフランシスコに住む叔母が駆けつけてくれたこともとってもうれしい出来事でした。これを機に、サンディエゴ三田会の運営からはstep downさせていただきましたが、改めましてサンディエゴ三田会は自分にとって今までもこれからも大切なaffiliationなんだということを感じる貴重な機会でした。

 

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(3) 鈴木寛氏フェローとしてサンディエゴ来訪

UC San DiegoのEmPac Fellowとして、鈴木寛さんをお呼びしました。鈴木寛さんは10月27日から11月6日までの10日間、UC San Diegoに滞在なさいました。UC San Diegoとしてのホスト役はProf. Ulrike Schaedeでしたが、僕も鈴木寛さんを推薦した経緯や滞在中のアレンジをお手伝いするということで、community hostとしての役割を担わせていただきました。鈴木さんは僕が学部4年から大学院1年のときのアドバイザのお一人でとてもお世話になった方です。そのような方をUC San Diegoでの博士課程プログラムの最後の頃にお呼びできるというのは、今まで自分が日本でやってきたことと、こちらでやってきたことがつながりはじめているんだと思います。鈴木さんの様々なお心遣いのおかげで、僕自身のこちらでのネットワークが大きく広がりましたし、新しいプロジェクトも立ち上がりました。自分自身の今後のキャリア自体にも大きな影響の出る鈴木寛さんのサンディエゴ来訪でした。そして、うれしいことに、今回の滞在に留まらず、今後もまた継続的にいらしていただくことになりそうです。

 

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(4) 藤原洋氏サンディエゴ来訪

もう一人UC San DiegoのFellowとして2015年6月にお呼びするのが藤原洋さんです。藤原さんはサンディエゴにとっても深い興味を持って下さって、7月に下見にいらっしゃいました。その際に、UC San Diegoのエコシステムに関わる方々を沢山ご紹介させていただきました。これから藤原さんとご一緒に新しいプロジェクトが立ち上げっていくと思います。本当は藤原洋さんメインの来訪は2015年ですし、そのときを中心に色々なプロジェクトが立ち上がるかと思うのですが、2014年に既に色々なことが動き始めています。詳細については5月頃を目処に皆様にご報告させていただければと思います。藤原洋さんとサンディエゴの出会いも、僕自身のキャリアが色々な形で広がっていく大きな原動力となり始めています。
 

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(5) Job Marketに出る
2015年中に博士を取得する可能性が見え始めてきました。そんな訳で、そろそろキャリアとして次のステップを考えていかないといけないフェーズです。論文等の状況を考えると2015年の夏あたりが自分自身をcandidateとして最も高く売れるタイミングではあるのですが、2014年後半あたりから少しづつチャンスを広げるために色々なポジションを探し始めています。日米双方で色々なチャンスを探していますし、今色々な研究プロジェクトが動き始めているので、色々な可能性をうまく一つの方向にまとめていくことができたらと思っています。少なくとも、米国のjob marketでもそこそこ相手にされる実力があることは見えてきたので、引き続き色々な可能性を広げていきたいと思っています。
 
(6) Martin Kenneyとの出会い
2014年1月から6月までUC Davisの教授であるMartin KenneyがサバティカルでUC San Diegoに滞在していました。はじめは研究セミナーで僕が発表したときが出会いだったのですが、その後二人で海岸を散歩したり、ランチにいったり、飲みにいったりと、日本からのゲストをご紹介したりと、とても沢山の交流の場を持たせていただきました。Martinと僕とは研究分野でかぶる部分がとても多いので、今後も色々な形で連携することが増えていくだろうと思います。こんな風に日本にいた頃に読んでいた本の著者と直接親しく交流する場が持てたことは、やっぱり活動拠点を米国に移したことの良さだったように思います。
 

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(7) University of California Office of Presidentとの共同プロジェクト
Martin Kenneyがコーディネートしてくれて、University of California Office of President (UCOP)との共同プロジェクトをスタートしました。UCOPというのは、UCシステム10キャンパスを統括している組織です。今までUC San Diegoのイノベーションシステムしか見えていなかったのですが、この機会にUC全体が見渡せるようになりました。数年後には、世界最大の大学システムであるUCシステムのイノベーションシステムについて、世界で最も詳しい人になっていたいなと思っています。ここでの研究プロジェクトは色々な形で新しい論文の量産につながっていきそうです。このプロジェクトのお陰で、自分自身のキャリアが色々な意味で広がりました。
 
(8) 研究発表: AAAS、UCLA
自分自身の研究のパイプラインが広がる中で、対外的に研究発表できるような成果も増えてきました。それに呼応するように、色々な場での研究発表をさせていただく機会も増えてきました。2月にはGRIPS/NIESTEPの隅蔵さんのコーディネートでAAASのセッションで発表させていただきましたし、4月には副査であるLynne ZuckerのUCLAのセミナーでも発表させてもらいました。その他10月にはバブソン、12月の日本滞在中にはGRIPSや法政大学等でも発表の機会をいただきました。研究発表は、新しいプロジェクトを産む場でもあるので、今後ともこのような機会を大切にしていきたいと思います。
 
4月頃に「宇宙を目指して海を渡る」を読んで、以前から東洋経済オンラインでの連載も興味深く拝見していたので、著者の小野さんと会ってみたいなぁとFacebookでつぶやいたところ、LA三田会の中野さんが早速に小野さんをご紹介して下さって、4月にLAにいった際にランチをご一緒させていただきました。そこが最初の出会いで、7月に藤原洋さんがサンディエゴにいらしたときにご紹介させていただき、またその際には念願だったJPLの中をご案内いただいたりしました。その後は9月のサンディエゴ三田会50周年にご参加いただいたり、家にとまって次の日はサンディエゴ観光をご一緒したり、ちょくちょく交流させていただいています。Facebookのポストを含めて、小野さんの視点はなるほどな、と思うことが多く、いつも色々なことを学ばせていただいています。小野さんの著作や議論から、留学の意味やグローバル化、理系と文系の違い(違わなさ)等を考えさせられて、自分の視野が色々な意味で広がったように思います。これから日本の若者をサポートしていくとき、もしくはその仕組みを作っていくときに、小野さんには色々とご相談させていただきたいと思っています。
 

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2年間サンディエゴで一緒に過ごした山本一造が帰国するということで二人で旅行に行きました。どこ行こうかと色々と話したのですが、最終的にシアトルからシカゴまでの鉄道の旅に。こういう旅って、アメリカに住んでないとなかなかできないものですよね。

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という訳で、2014年10大ニュースをまとめてみましたが、まとめてみて2014年というのは例年以上に大きなニュース、別の言葉でいえば自分の人生の転機につながる出来事の多い1年間だったと思います。本当はもっと加えたい出来事が沢山あって10にまとめるのがとても大変でした。
最近自分自身の人生が今までにも増して、選択肢が増えているということを感じます。自分人身の人生を振り返っても今程色々な選択肢が多かった時期というのはなかったように思います。まぁ、僕は大学受験も就職活動もしてないので、そもそも人生あまり選択しないでここまで来ているから当然といえば当然なのですがw
 
「求めなさい。そうすれば与えられます。捜しなさい。そうすれば見つかります。たたきなさい。そうすれば開かれます。だれであれ、求める者は受け、捜す者は見つけ出し、たたく者には開かれます。」(マタイ 7.7-8)というのは祖母が好きだった聖句なのですが、2014年というのは自分にとってまさにこれを実践できた1年間だったのかも、と思っています。
 
 

 

アメリカで初めて授業を担当しました! - Innovation to Market A (MGT121A) -

この夏は、渡米して初めて授業を担当しました。今まで日本で授業を教えたことは何度もあったので授業自体は緊張しないのだけれども、やはり全部英語で、それもアメリカの大学で現地の学生を教える、というのは自分にとっては新しい挑戦でした。

 

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フルに授業を持つのはSFCSFCで2008年度に教えたのが最後だから5年半ぶり。最初の数回は少し緊張したけれども、全般的にはリラックスして教えることができました。英語でやるのはやっぱり日本語よりは辛いけど、全般的にクラスをうまくengageできたと思います。

授業をintereactiveにするためにiClickerというツールを活用したり、発言点を入れたり、事前に質問を色々練ったり、様々な工夫をしたのですが、調子の良いときは、授業のディスカッションで、学生の8割が手をあげてくれるようなときもあり、とっても壮観でした。

最終回の授業で学生にお礼言ったときに学生たちがstanding ovationをしてくれたり、授業評価も学生からそこそこの評価をもらえたので、この夏は本当に大変でしたが頑張った甲斐がありました。授業の改善を目的として、授業のビデオを1回分だけ撮影してもらっています。授業評価とビデオはpublicには公開できないのですが、見たい方にはお見せしますので、ご連絡下さい。

 

Innovation to Market A (MGT121A) というアントレプレナーシップとビジネスプランの書き方を教えるupper division (学部3、4年生向け)の授業を教えました。

授業のシラバスここにuploadしています。授業の概要は以下の通り。

 

DESCRIPTION

Innovation to Market A is the first course of a two course sequence that provides the student the competencies needed to identify and transform both technical and non-technical innovation into viable ventures that capture profitable market opportunities. The course will provide students an introduction to the strategic and operational issues of developing an innovation into a competitive and sustainable business. This is a team-based project course in which students apply management principles, technology strategies, market opportunity assessment and validation strategies, financing strategies, in the development of value propositions, business models and business concepts of a potential new business or organization. Project teams will be comprised of 4 or 5 students. Students will learn how to perceive needs and to propose unique products or services in a business concept that could satisfy those unmet needs. They will also learn about market segmentation and positioning, as well as market research techniques to test their ideas in a real world context and to identify potential customers, suppliers and partners. From this they will learn the definition of a business model and how it can represent the key operational design decisions that an organization makes to properly address a market opportunity in a profitable and distinctive manner. Through industry examples and case discussions, the participants will learn the nuances of the different types of business models and the opportunities and challenges of refining and evolving business models as more information becomes available. They will then demonstrate this learning through written and oral presentations of their research findings and selected business model. The course will utilize lectures, case studies, a project assignment, student oral presentations and guest speakers from industry. This quarter-length course is designed for upper division undergraduate students.

 

 

COURSE OBJECTIVES

  1. To provide you the necessary quantitative and qualitative tools to ascertain whether a good idea is truly a good, real world and valuable market opportunity.
  2. To provide you the frameworks and methods to conduct market and product research relevant to their innovative idea.
  3. To provide you the frameworks and methods to evaluate and synthesize the market and product research data to determine if an idea is a viable market opportunity.
  4. To learn about team dynamics, conflict management and group decision making through classroom discussions and interactions with team members.
  5. To learn what is included in a short business plan and techniques for successfully presenting your business concept.
  6. To provide you with a forum for presenting and defending your own recommendations and for critically examining and discussing the recommendations of others.  

 

GRADING

Assignments

Percentage

Class Participation

30%

Homework / Quiz

30%

Team Project

30%

Final Exam

10%

Total

100%

 

SCHEDULE

  • Class 1: Introduction & Idea Generation
  • Class 2: What is Entrepreneurship? (1) & Idea Generation Methods
  • Class 3: What is Entrepreneurship? (2) & Opportunity Recognition
  • Class 4: Business Model & Opportunity Assessment & Pitch
  • Class 5: Business Model Analysis & Screening Venture Opportunities
  • Class 6: Market Research & Competitive Analysis
  • Class 7: Intellectual Properties & Business Plan
  • Class 8: Team, Resource, and Finance
  • Class 9: San Diego Ecosystem, Social Entrepreneurship, and Ethics
  • Class 10: Final Presentation & Wrap Up
  • Take-Home Final Exam

 

留学中の学業・研究の実施状況 (8) をupしました

留学当初にいただいていた吉田育英会奨学金は半年に一度報告書の提出が求められています。この奨学金は2013年7月に終了したものの、半年に一度程度報告書をまとめることは自分自身の棚卸しとしても有益と思い、引き続き報告書を提出することにしています。更にこの報告書をネットで公開しておくことは、今後海外留学を目指す人にとっても有益とも思っています。

日本からの色々な留学生を見ていると、特に短期で来ている人は、報告書をまとめることができなかったり、まとめたとしてもとても公開することができないような内容の人も少なくないようにいつも感じています。特に税金を使って留学してて、この程度か、、と思う人とも結構出会います。

ちなみに、僕のFacebookはWork-Life BalanceのLifeに偏っているので、このような形でWorkの部分もしっかり公開しておくことも大事だと思っています。

 

なお、過去の全8回の報告書はここにupしています。また第8回分のPDFはここです。

という訳で、「留学中の学業・研究の実施状況(8)」、2014年9月18日現在のまとめです。

 

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