Science, Technology, and Entrepreneurship

早稲田ビジネススクール准教授。研究分野である、「科学技術とアントレプレナーシップ」に関することを中心に、日常生活で考えたことをお届けします。

2013年を振り返って - 1年間の10大ニュース

 
毎年年末にその1年を振り返って10大ニュースをまとめています。今年もまとめようと思ったのですが、今年はいつになく、色々な出来事が多く、10個にまとめるのがとても大変でした。ちなみに今年は、渡米してから今まで積み重ねてきた努力が色々な形で実ってきたことを実感する1年でした。
 
1. 論文投稿 × 2本 + 博士取得へ向けて

今年の1年間の目標は、「アメリカのアカデミアで猛烈に研究すること」でしたが、今まで携わっていた研究が論文2本になりました。1本は10月に投稿し、もう1本も後は投稿するだけ、というフェーズになっています。猛烈に研究すること、という意味では4、5本サブミットするくらいの勢いを持ちたいところなのですが、とりあえず今年はこれが限界でした。でも、渡米して以来初の目に見える研究成果で、充実感を持っています。来年も引き続き、研究を頑張っていこうと思います。今まで取り組んできた研究のネタはこの2本の論文で出し切った感があるですが、その経験を通じて、研究の方法論、データセットの扱い方、論文の書き方など、随分とノウハウを学んでいるので、来年以降の研究はもっと効率性を高められると思っています。

ちなみに、それぞれの論文のタイトルは、"Collaborative Innovation and Knowledge Creation –Evidence from a Natural Experiment in Japan"と"Service Innovation for Improved Satisfaction: Designing Patient Call Back in Emergency Healthcare"でした。

関連して、1月には博士取得プロセスの前半の一番最後の試験であるCandidacy Presenattionで、研究発表をして無事合格しました。残る関門は最後に残されたOral Defenseだけとなります。

 

2. JAL Fly On Point 50,000 達成: JGC

この1年間の搭乗実績で、JALのFly On Pointを5万マイル獲得したので、JAL Global Clubのメンバーになれることになりました。

この話題を出すと僕が飛行機オタク、マイルオタクという反応をいただくことも多いのですが、海外出張の多い方であれば、この便益をご理解いただけるのではないかと思います。ちなみに海外出張の多い方の中でも、アカデミアにいらっしゃる方は特にこういったステータスを持つことの大事さをご理解いただけるのではないかと思います。 

もともと慶應時代から僕はマイルはユナイテッドでためていたのですが、特に学生に戻ったときなど今までと同様に飛行機の乗らない場合、ステータスの維持が困難になってしまいます。そんなときに昨年12月にJALのサンディエゴ路線が就航し、JALは一度ステータスを達成すればJGCメンバーになることによって、あまり飛行機に乗らない年にもステータスを維持することができます。もともと僕はJALに思い入れがあったので、これを機にJALに移ろうかなと思っていたところに、ステータスマッチング (ユナイテッドの搭乗実績を見て、初年度からJALの同等のステータスを用意してもらえる)をしてもらえることになり、JALへの乗り換えを決めました。

ところがいざJALに乗り換えてみると、JALマイレージ実績ではなく、Fly On Pointという独自のポイントを5万ポイント貯めなくてはならず、このポイントの換算率があまり良くない。特に安いチケットの場合、実際に搭乗したマイルの30%加算になってしまうこともあります。この1年でその換算率が下がってしまう制度変更などもあり、乗り換えた当初はどうやったら5万ポイント達成できるのか、少ない資金の中で、どのように実現するのかに悩んだものでした。

もともと乗り換え時から想定していた、日本3往復、アメリカの国内出張等での大陸横断3往復、日本国内出張2回では、とても足りず。最終的には、アメリカ在住者が日本国内を旅行する場合は、1路線100ドルで乗ることができて、かつFly On Pointはフルに貯まるということが分かり、沖縄旅行等を入れることで達成することができました。ちなみにこの沖縄旅行には、祖母からもらった最後のお小遣いをあてたりもしました。JGCのメンバーは生涯続くので、その獲得のために活用するのは、最後のお小遣いの使い方に相応しいと自分なりに考えたりもしました。

そんな訳で、この1年随分苦労したのですが、JGC資格、達成です。

 

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3. 引っ越し
サンディエゴに来て以来ずっと住んでいたMesa Apartmentから、UC San Diegoの大学院生の間で最も人気のあるThe Coast Apartmentに引っ越しました。The Coastは海の近くです。今回はシェアではなく、一人でstudioに住んでいます。パティオが広くホームパーティもしやすい。家から一歩出ると海風が心地よく、そして、パティオからは夕日が見ることもできます。もう La Jollaのquality of lifeってこういうものだよな、ということを日々満喫しています。
 

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4. Research Assistant for Division of Innovation and Industry Alliance

もともとUC San Diegoに留学をしようと思った背景には、このキャンパスが持つサイエンスの研究のインキュベーションを推進する仕組みに興味を持ったからです。博士3年目に入り、コースワーク以外にも目を向けることができるようになり、指導教員の力添えにより、Associate Vice Chancellor for Innovation (イノベーション担当副学長補)にリサーチアシスタントとして雇ってもらうことになりました。所属するのはDivision of Innovation and Industry Allianceというイノベーションと産学連携を担当する部署です。ここのリサーチアシスタントになることによって、キャンパス全体のイノベーションに関する活動が見えるようになりましたし、また自分自身が考える新しい施策を提案することもできるようになりました。UC San Diegoに留学した意味がまた一歩広がる貴重な経験でした。

 

5. 授業代講
2013年秋学期には、学部向けのビジネススクールでの授業"Innovation to Market"とIR/PSの大学院向けの授業 "Business and Management in Japan"において、代講を行いました。博士課程も佳境に入り、来年大学の授業を担当することも視野に入っているだけに、そのための大事なステップとしてこの経験は貴重でした。まだまだ授業やるには英語力のなさを感じる日々ですが、引き続き頑張っていこうと思います。
 
ちなみに、"Business and Management in Japan"にて代講した授業のスライドは以下にあります。
 
 
6. UC San Diegoから他大学へ
 
2013年春学期はUCLAで開講されていた"Growth, Sciecen, and Technology"を履修するため、毎週月曜日にロサンゼルスまで通いました。片道2時間のドライブは体力的にも大変でしたが、この授業を履修することで、自分自身の研究の視野が大きく広がりました。この経験の詳細は以下にまとめられています。
 

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2013年夏は、University of Michiganにて開催されたICPSR Summer Programという社会科学のための統計・計量経済学を学ぶためのサマープログラムに参加しました。今までアメリカに長期滞在したのは西海岸ばかり。ミシガン州のアナーバーに1カ月滞在したのは、アメリカ文化を新たに知る上でもとても貴重な経験でした。
この経験の詳細は以下にまとめられています。

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7. 黒川清さんと & c.japan
渡米して以来ずっと育んできたコミュニティであるc.japanも随分大きな組織となり、学内も認知度があがり、色々な活動ができるようになりました。その中でも、もっとも大きかったのは黒川清さんがサンディエゴに来訪なさるにあたって企画した一連のイベントです。このイベントは、自分にとってもサンディエゴでの様々な活動の総集編でした。そのときの詳細を以下にまとめています。
 

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8. Japan Business
今学期は、ずっと履修したいと思っていたProf. Ulrike Schaedeの"Business and Management in Japan"を10週間聴講しました。もともと自分自身日本人なので、日本型経営について良く分かっているつもりでいましたが、体系的な授業を受けることでとても理解が深まりました。この授業をきっかけに、改めて日本型経営に興味を持ち、自分自身の研究のポートフォーリオにこの分野も加えてみようと思うようになりました。2014年はこの分野の論文等のアウトプットを出すと思います。こうご期待! 
 
9. 出張等沢山
渡米して3年目に入り、学会発表やら、学会参加やら、旅行やら、アメリカの中で色々な場所に行き始めたのもこの1年の大きな変化です。主な訪問地は以下の通り。
  • 2月: Buffalo、入山さんのご自宅を訪問させていただきました。
  • 3月: San Antonio、AUTMの年次総会に参加しました。沢山の日本の研究者の方ともお目にかかり、人脈をリフレッシュする良い機会でした。
  • 5月: Charolottesville、バージニア州のシャーロッツビルにて開催された学会にて発表しました。終了後は久々にワシントンDCを訪問しました。
  • 6月-7月: アナーバー、サマープログラム参加のため1カ月滞在しました。
  • 7月: ワシントンDC、世界銀行などを訪問しました。
  • 8月: オーランド、ディズニーワールドにて開催されたAOMの年次総会に参加しました。

 

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10. 松倉秀実さんの逝去 
この1年を締めくくりにあたり、どうしても忘れられないのは、松倉秀実さんの逝去でした。もともと昨年から癌の闘病生活をなさっていたのですが、1月初旬に逝去のご連絡をいただき、アメリカに身を置く自分は、お通夜・告別式に参加することもできずでした。3月に日本訪問をした際には、何人かのメンバーで「偲ぶ会」を開催させていただき、どうにか自分の中でのお別れと、松倉さんから学んだことを今後に活かしていく決意を持つことができました。
自分自身が真剣にがんばった仕事をご一緒した方がなくなったことは初めての経験でした。どんな風に感謝の気持ちをお伝えできるのか、とても悩みました。
偲ぶ会でお話した内容は以下の通りです。