深セン出張から学んだこと
JETROアジア経済研究所「アジアに起業とイノベーション」の研究会の活動の一貫で、1月上旬に深セン・香港に出張してきました。その際に簡単なレポートをまとめたので、ブログにも共有しておこうと思います。インタビューの結果、面白いなと思ったことを箇条書きにしています。
- 深センは20年の間に急速に発展した。常に外部からの人材の流入が続いており、平均年齢は32歳から35歳程度。この人口構成が深センのイノベーションを促進している。
- 深センへ流入する人材はほとんどが中国人である。ヨーロッパやアメリカからの流入もRocket Spaceなど一部には見られるが全体として少数。企業におけるエンジニアもほとんどが中国人。
- ドローン産業は、DJIの一人勝ちである。DJIが苦手な領域であるドローンの産業利用の一部(農業など)に、MMCなどの他の企業が参入している。
- DJIは名実共に深センのアンカー企業である。ただし従業員のほとんどは忠告人であり、世界からの移民が引きつける仕組みにはなっていない。DJIからもスピンオフベンチャーは生まれているようであり、例えばジンバルの技術などを活用している。テンセントは、深センに本社を持つもう一つのアンカー企業。
- 精華大学は深センに拠点を持つ。産学連携の拠点であるが、どちらかというと深センの企業から大学に持ち込まれる案件のプロジェクトが主体。投資機能なども持っている。
- 深センにおいても、トップ層は大学で米国に留学することが一般的。中国が発展しても、大学は米国にいくトレンドは変化していない。なお、最近は高校、中学などより早いタイミングで米国に移る人も出始めている。ただし、あまり早く渡米してしまうと、中国国内でのネットワークが薄くなってしまう。
- 「深セン第二世代」という用語がある。親世代は移民で深センに渡り苦労した結果、金銭的な余裕を持つようになった。第二世代は、自分たちは経済的に恵まれているのだから、リスクをとって新しいことをやろうというマインドセットになる。米国に留学して色々なチャレンジをする人が少なくない。
- もともと深センは、香港との地理的近接性を強みとして発展したが、近年は深センの自立性は高まりつつある。香港は金融のクラスターではあるが、必ずしもイノベーションに強いわけでもなく、香港と深センのイノベーション分野の連携はまだ手探り。
- 香港の大学は中国本土の連携のために深センに拠点を持っていることころが多い。その拠点を使って、中国の補助金などを受託している。
以下、深センを学ぶにあたっての参考文献。
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