アクセラレーターはベンチャーの成長にとって有効なのか?
この夏に卒業予定の米国の博士学生がまとめた「アクセラレータのベンチャーへのインパクト」をまとめた論文をご紹介します。
How Do Accelerators Impact the Performance of High-Technology Ventures? by Sandy Yu :: SSRN
アクセラレータに参加するベンチャー企業は、同程度のクオリティのアクセラレータに参加しなかったベンチャー企業に比較して、ベンチャーキャピタルから得る資金が少額で、より早く廃業する傾向にある。
メカニズムとしては、以下の二つの理由によるもの。
- アクセラレータに参加するベンチャー企業というのは、どちらかというと経験が不足しているベンチャーである。
- アクセラレーターへのフィードバックは、可能性のない事業プランをより早い段階で明確にするので、廃業の意思決定が早くなるし、無駄な投資もいらない。
アクセラレーターは失敗を加速する機能を持っているとすると、人材の流動性が高まるし、ベンチャーキャピタルからすると出資の効率性が高まるし、とっても大事な役割を果たしているし、アクセラレーターが直接的に、成功確率を高めてる訳ではない、というところがとても面白い視点だと思います。
この論文、アクセラレーターの本質をとっても良く分析していると思います。研究手法としては、荒削りなところもあるのだけれども、とっても面白い現象をとても面白い切り口でまとめていると思います。今年の米国のjob marketの中で、一番話題になってそうな感じがします。要は研究者新卒マーケットで話題になるってことは、その年の米国のこの分野の新卒の中でもっとも優れた若手研究者、みたいなイメージだと思います。
ベンチャーとかを研究していると、こういう切り口とデータセットの集め方が大事だな、って改めて思います。海外留学しようとしてる人は、博士卒業までにどんな研究がまとまっていないといけないかというイメージをつかむ意味でもとても良いと思う。