社会科学の研究手法を学ぶための定番中の定番
社会科学の研究手法を学ぶためのバイブルを一冊あげろと言われたら間違いなくこの本でしょう。かなり難しいので、初心者向けではありませんが。今回概要を読み直してみるとかなり忘れてしまっている。もう1回読み直さないとなというタイミングです。でも次読むときは日本語版ではなく、英語版をチャレンジしようと思います。
- 作者: G.キング,R.O.コヘイン,S.ヴァーバ,真渕勝
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2004/01
- メディア: 単行本
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3年くらい前にまとめたサマリーをupしておきます。
King, Gary, Keohane, Robert O., Verba, Sidney, "Designing Social Inquiry" Princeton University Press, 1994.(邦訳:馬渕勝、『社会科学のリサーチ・デザイン -定性的研究における科学的推論』、勁草書房、2004年.)
定性的な研究、すなわち数字による測定が不可能であったり望ましくない研究において、妥当な因果的推論や記述的推論を行うための統一的なアプローチを発展させることを目的とする。
研究設計において、「研究の問い」、「理論」、「データ」、「データの使用」の4つの構成要素がある。また研究設計を発展させるためには、1)理論とデータをつなぐ観察可能な含意を用いること 2)てこ比を最大化すること 3)不確実性を報告すること 4)社会科学者のように考えることの4点が重要となる。
社会科学の研究は、対象の記述と説明という二つの目的を持つ。社会科学の研究の第一段階は、記述 (歴史的な事実を要約すること)及び記述的推論である。科学的な記述は、1)推論を含む 2)観察された事実のなかで体系的部分とそうでない非体系的部分を区別するという特徴を持つ。記述的推論は、観察したものから、観察されない現象を理解する過程である。推論の方法の測定のためには、「普遍性」、「有効性」、「一致性」の3つの基準が重要である。
社会科学の研究の第二段階は説明であり、そのために、因果的推論が重要である。因果関係に関係する言葉は以下の通り。「従属変数」は時には「結果変数」と呼ばれ、「説明変数」はしばしば「独立変数」と呼ばれる。また説明変数を「鍵となる説明変数」と「制御変数」とに分ける。鍵となる説明変数はつねに二つ以上の数の値をとりそれらは「処理グループ」と「制御グループ」に呼び分けられる。因果関係は、「多重因果関係」、「対照的因果関係」、「非対称因果関係」等の整理が必要となる。因果的効果を推定するためには、「単位同質性の仮定」と「条件付独立の仮定」に分けられる。因果的理論を構築するためのルールとして、1)反証可能な理論をつくること 2)内的に一貫した理論を立てること 3)従属変数を注意深く選ぶこと 4)具体性を最大化させること 5)可能なかぎり包括的に理論を述べること が重要である。
分析を行う際に、事例もしくは観察対象をどのようにして選択するかが重要である。研究の成功は、選択する事例の選択にかかっている。定性的研究においては、1)不定な研究設計 2)無作為選択の限界 3)選択バイアス 4)観察の意識的な選択 等に留意する必要がある。
バイアスや有効性の低下を防ぐことも重要である。具体的には、「測定誤差」、「バイアス」、「有効性の低下」、「内生性」、「説明変数の値の割り当て」、「研究状況の制御」に留意することが重要である。
観察の数を増やす方法の検討も重要である。利用可能な観察を増やすことは、多くの場合、すでに集め終わったデータを利用することで可能となる。